おみやげの定番 今昔
※ 武 頼庵(藤谷 K介)様 主催「思い出のお土産企画」に参加しています。
皆さん。旅行などに行った時には、おみやげを買うことがありますよね。
でも自分自身のために、『その場所に行った』ことを記念するようなおみやげって、買ったりします?
今なら、ほとんどの人が自分のスマホや携帯で好きなだけ写真が撮れるので、特にどこかへ行ったという記念品を買う必要はないかもしれませんね。
でも、自分が子ども時代を過ごした昭和40~50年代には、カメラをひとり1台持つような時代ではなかったんですよ。せいぜい、一家に一台あればいい方だったかな?
手軽に写真が撮れるような使い捨てカメラ『写ルンです』が発売されたのが昭和61年(1986年)。それ以前は、子どもが旅行先で写真を撮るような文化はほとんどありませんでした。
自分も、小中高の修学旅行などで、自分で写真を撮った記憶はありません。
同行してくるカメラマン(だいたい近所のカメラ屋のおっちゃん)がランダムに撮ったスナップ写真の中から、自分が写ったものを探して購入するのが普通だったんですよ。
そうなると、せっかく行った観光名所の写真なんかは意外に少なかったりします。
なので、行った場所にちなんだ記念品を買うのはよくあることでした。
まず定番なのは『絵葉書セット』。これは今でも、どこに行っても売ってますよね。
もうちょっと洒落たとこだと、景勝地の絵が浮き彫りになった『記念メダル』です。ただ、これだとただのメダルでしかありません。キーホルダーにするための枠をつけたり、行った日時を刻印する機械なども横にあったりして、全部やろうと思うとなかなかの出費でした。
これも、今でもたまに見かけることがあります。
ちょっと寂れたような観光スポットの方が遭遇率は高めです。
その一方、昔はおみやげのド定番だったのに、今ではあまり見なくなったものもあります。それは『ペナント』です。
細長い二等辺三角形を横に倒した形が主流で、幅が4・50センチほどの布製の旗。そこには観光地の名前や景勝地のイラストなどが色鮮やかに描かれ、周りはフリンジなどで飾られています。
(画像はフリー素材で拾ってきました。でも、こんなにフサフサではなかった気もする)
見た目も派手ですし、子どものこづかいでも買えるくらいのお手頃感!
特に男の子は、こぞってこれを買ったものです。友達の家に遊びに行くと、たいがい何枚か壁に画びょうで貼ってあったりして。自分も貼ってました。
まあ、カメラが普及していくにつれ、すっかり見なくなってしまいましたが。
──などと書いた後で知ったのですが、最近は外国人観光客にペナントのレトロ感が受けて、人気復活の兆しが見えるんだとか。
何が受けるか、わからないものですね。
さて、最近では皆が買うようなおみやげの定番って、食料品以外ではほとんどない気がします。
自分も、買うのはもっぱら珍しいドレッシングやふりかけ、ご飯の供やご当地カレーとかですし。
コレクション性を高めるために有名キャラとコラボした『ご当地ちいかわ』『ご当地キティちゃん』なんかのグッズもあるようですが、さすがにおっさんが買うのはちょっと、ねぇ。
まあ、旅行で上がったテンションから、ちょっと珍しいものを買いたいという衝動はかすかに湧いてくるんですけど、どこかに『あまり余計なものが増えるのも、ちょっとなぁ』という醒めた気持ちもあるんです。
──ところが。
ある時に気づいたんです。
どの観光地や美術館・博物館、アミューズメントパークなどでもたいがい売られていて、数が増えても保管場所があまり必要なく、なおかつ実用性もあって低価格という、おみやげにうってつけのグッズがあるじゃないか!
それは──【クリア・ファイル】です!
特に美術館や美術展のものだと、名画が丸々描かれてたりもしますし、ちょいと教養があるアピールができるかもしれません。
また、新作映画や『スタジオ・〇ブリ展』みたいな期間限定の特別展示なんかでも、よくオリジナルのものが売られています。何しろ、原価が安いですし。
左のふたつは、以前エッセイで紹介した『大塚国際美術館』、右はエッシャー展です(どこで開催していたかは忘れた)。
ちょっとおしゃれでしょ?
観光とは関係ないけど、たまに『豆知識系』とでもいうものも見かけます。
『戦国武将名鑑』に書いてるようなことはだいたい知ってますが、眺めてるだけで楽しいんですよね。
あとお魚の名前の方は、回転寿司とかに持っていったら楽しいかも。
──『うーん、でもあまり派手なクリア・ファイルだと、会社じゃちょっと使いづらいかも。学生のうちならいいんだけど』
そんな風に思っている貴方! 大人になったらなったで、使いどころは意外にたくさん出てくるんですよ。
これだけデジタル化が進んだ現代でも、紙で資料をもらう機会はむしろ年々増えているように感じてます。
例えば『健康診断データ』や『血液検査結果』、『親の介護に関する手続書類』等々──。
年を重ねると『髪』は減るけど『紙』は増え続けるものなのです。
さて。皆さんも、この先使いどころが多いかもしれない『クリア・ファイル』、新しいおみやげの定番にいかがでしょうか?
珍しいものや面白いものをゲットしたら、エッセイのネタになるかもしれませんよ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
最後に、自分のコレクションの中で一番のお気に入りの逸品を。
福井県の東尋坊に行った時に、おみやげ屋さんで『あっ、これこそ自分にぴったりの一品だ!』とひとめぼれしてしまったものです。
じゃじゃん。




