第七回の動画配信を見て
チャーリーが紺色の地に花柄のワンピ―を着て座ってる。例の和室だ。
チャーリー「最初に断っておくけど、チャーリーの名前で募金を呼び掛けている奴らがいるそうだけど、関係ないからね。そういうので電話かけまくってる匿名詐欺みたいなのも出てる。とにかくメールとか電話でチャーリーを名乗るやつは全部詐欺だから。騙されてもチャーリー責任取れないから。パシリ、お茶くれ。熱すぎるの駄目だぞ。チャーリー猫舌だから」
パシリ一号「み…水で薄めました」
ゴクゴクゴク。
チャーリー「うぱぁぁ、それで今日は沢山貰ったコメからパシリが厳選して選んだ質問に答えることにした。
えーと、チャーリーさんのスリーサイズを教えてくださいだって? こらパシリ、誰だこれ選んだの、お前か?
一号「よ……四号です」
チャーリー「四号、てめえぇぇぇ」
するとカメラ画面が左右に揺れている。否定してんのね?
四号「一号のやつです。冤罪です」
この声、カメラマンの声だから大きいぞ。
チャーリー「一号、お前そんなに知りたかったのか?」
一号「す……少しだけ。すんません」
チャーリー「メモの用意しろ。一度しか言わないぞ。
85・50・90だ。わかったか」
一号「そ……そりゃ盛り過ぎってもんっすよね」
ペチン。
あっ、一号どつかれた。本当に痛そう。でも喜んでいる。
こいつ変態だ。
おっと次のメモを読んでるぞ。
チャーリー「チャーリーさんはどうして女の子なのに、男みたいな名前なんですか?それとチャーリーさんのフルネームとか教えてください♡ これ女の子だよな。あっ、女の子でチャーリー好きになっても駄目だから。チャーリーの周りに女に飢えた野郎どもがウロウロしてるから、チャーリーのそばに来ちゃうと食べられちゃうよ。
おっと、名前だったかな。えと、チャーリーは話せば長くなるから話さないけど、捨て子だったんだよね。
でアイザック村のジャクソンさんに拾われたとき、男の子として育てなきゃいけない事情があったんだ。
だから男でも女でも共通に使われるこの名前にしたんだってさ。
でもってフルネームを使うとしたら、その時点ではアイザック村のチャーリーだからチャーリー・アイザックで、それは実際に使うことがなかったけど、三歳になったとき、チャーリーのお祖母ちゃんがベアトリーチェという名前をくれたんだよ。
でもって、チャーリーがミドルネームに格下げされて、お祖母ちゃんたちの前ではベアトリーチェ・チャーリー・アイザックになるんだ。パシリ、ジュースくれ」
一号「今度はオレンジジュース買っておきました」
ゴクゴクゴク
チャーリー「うっぱぁぁあああ。えと、チャーリーさん鉄パイプとかバットで殴られてますけど、避けるのは苦手なんですか?避けなくても平気だからですか?
うん、これは良い質問だね。実は今まで相手にした連中のレベルなら避けるのはそんなに難しくないんだ。でも避けないでヒットさせても平気な様子を見せると、絵てきにはインパクトあるよね? だから当たってやってんの。3号ちょっとお前竹刀持って来い。今避けるのやってみせるから」
あれあれ、また庭に移動したよ。ワンピースのままパシリ三号と対決するみたいだよ。
チャーリー「この三号は剣道2段なんだ。半グレのくせに真面目にやったときもあったんだな。県大会で優勝したこともあったってから、相当やれる口だよ。実家が剣道の道場やってて、期待されてたけど、道場主の父親と折り合いが悪くってぐれたんだ。じゃあ、やるよ?」
三号「でやぁぁぁあああああ!やっやっやっ、とおおおおおおおっ」
うわっ、気合がすげぇ。縦に斜めに真横に息もつかない攻撃だ。それを悉く避けたりいなしたりしてる。
あっ、やめた。
チャーリー「ふーはーー、実は避けるのは精霊の加護と関係ないんだよね。これだけは小さい頃からの努力なんだ。
何故かと言うと剣で斬られても平気だと人外の化け物に思われてしまうから、父さんのジャクソンに今みたいに斬りまくってもらってチャーリーは避けまくって、それをゲームにして遊んでいたんだ。
間違って斬られても平気だし、ジャクソンも本気で斬り殺そうとしてきたよ。
それを砂時計の砂が落ちるまで続けて何回斬られたか数が少ない方が良いんだ。そうゆうことだよ」
ゴクゴクゴク「うっぱぁぁぁぁ」
またジュース飲んでる。飲み過ぎだろう。糖尿病か?
チャーリー「えと。チャーリーさんがグローブつけてボクシングしてるところがみたいですって?
ああ、困ったな。グローブつけると精霊の加護でグローブが鉄みたいに固くなるから大変なんだ。
軽く殴っただけで相手の頭の骨粉砕するよ。顎は砕けて歯は全部折れるね。
そうならないようにグローブのとこだけ加護を切らして戦うのめんどいんだよね。
手首にグローブ分の重りつけて、グーでなくてパーでやるならできるかな。でも引き受けてくれるボクシングジムが思いつかないよ」
パシリ一号「知り合いのジムのおっさんに頼めます。チャーリーさんのこと動画で見て興味を持ってるみたいで」
チャーリー「あ、そう? じゃあ、次の動画でそれやろう。手首の重りと、その時着る可愛い服買ってくれ」
「「「」おっす」」」
あれれ、まだ質問のメモ残ってるのにやめちゃったよ。
おーい、あれれ画面が切り替わってまた、メッセージだ。
『次回の動画はボクシングジムでのロケになるよ』
知ってるよ。いま言ってたろ。




