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第九回の動画配信を見て

今度はチャーリーは相撲部屋に来ていた。

これもパシリ何号かのコネを辿って協力をして貰えることになったらしい。

チャーリー「えと、今回は日本の国技である相撲を体験させてもらいにやって来ました。で、本当はセーラー服でやりたかったんですが、それは駄目ってことで、この格好です」

顔のアップから全身を映すと、黒いTシャツと短パンの上に白い子供用?のマワシを付けた格好だ。

えええ、相撲とるの?

チャーリー「えーと相撲を取る時張り手や突っ張りはやめてくれと言われてます。さっきこの部屋の柱にテッポウというのをやってみたら、柱が揺らいで屋根が落ちそうになったので、そう言われました。張り手や突っ張りは下手したら相手が死ぬそうです」

うわぁぁぁ、チャーリーの悪名は各界に広まって行きそうだな。

チャーリー「この部屋には親方様のご厚意で各部屋の有望な新弟子さんたちが集められています。でも関取の方は参加させないそうです。チャーリーと対戦させるのはやめさせた方が良いと、ボクシング協会から助言があったそうなので、チャーリーちょっと寂しいです」

そりゃそうだ。関取以上の力士のプライドズタズタにされたくないものな。

そこにイケメンの力士が現れた。

チャーリー「この方は学生相撲チャンピオンの経歴がある、里山さんです。里山さんは私に相撲48手のうちごく基本的な技をかけて教えて下さいます。よろしくね」

早速、寄り切り、押し出し、上手投げ、下手投げ、つり出し、うっちゃりなどの技をかけてやり方を教える。チャーリーも素直に技にかかって倒れたり転がされたりしてる。

けれども体に少しも土がついてない。みんな不思議に見ている。

ちなみにみんなチャーリーの動画を見ているらしい。二千五百万回以上のアクセスがあったらしいからな。

里山がつり出しを教えるときチャーリーのマワシを持って、まるで段ボール箱でも運ぶように軽々と持って土俵の外にポンと置いたときはみんな失笑していた。

動画を見てる筈なのに、チャーリーの手強さをわかってないな。

だけど、相撲には力や体重だけでなく技があるから、分かんないぞ。

チャーリー「やっぱり相撲は国技だけあって奥深いよね。技のほんの一部だけ習っただけでもびっくりしたよ。じゃあ、早速相撲とろうかな? 誰か相手してくれる?」

すると丸々と肥えた十代後半の青年が土俵に上がった。ドシンドシンと四股を踏んでからすり足をして見せてから手をついて構える。

そしてチャーリーに向かって突進した。

その様子は自転車に突進するトラックという感じだ。

ズシンとぶつかってズズズズズ……と押して行く。

だがだんだん勢いが弱くなって最後に土俵際で止まってしまう。

青年がいくら顔を赤くして力んでもそれ以上押し出せないし、持ち上がらない。

そのときフワァッと青年の巨体が浮かんだと思うと土俵の外に投げられた。

うっちゃりだ。さっそくやりやがった。

チャーリー「えと、次お願いします」

やはり若い新弟子が土俵に上がった。

そしていきなりチャーリーのマワシを取るとヒョイと持ち上げた。そのまま荷物を運ぶように前にどんどん進む。

つり出しだ。だがもう少しで土俵際というところで、チャーリーを下におろしてしまう。

チャーリーが彼の両の二の腕をパンッと叩いた為だ。

そして逆にチャーリーが相手の巨体をフワッと持ち上げて向きを変えて土俵の外に出した。

逆に吊り出したのだ。

チャーリー「えと、次願いします」

チャーリーは疲れないのか? あんなでかいのを二人も相手したんだぞ?


里山「ふふふ面白い。じゃあ僕がお相手しようかな?」

学生相撲のチャンプでチャーリーにさきほど技の手ほどきをした里山が均整の取れた体で土俵に上がって来た。

里山は力で押す様子もなく、チャーリーと大人しく組んだ。そして急に片方の手を放し、横並びになると右足でチャーリーの左足を絡めて少し上げ気味にしてバランスを崩して来た。

見たことない技だ。

チャーリーはケンケンして堪える。

そのままケンケンして里山は投げを打つか土俵外に出すかって感じだな。

あっ、チャーリーが軸足の右足一本だけで跳んだ。

跳んだ拍子に左足が里山の足から抜けた。そして降りながら今度は自分の左足で里山の右足を絡んだ。

絡んだ足を思い切り上げると学生相撲チャンプの体はバランスを崩して立っていられない!

そのままチャーリーはケンケンしてから思い切り足をあげてマワシの後ろを引いて里山を後ろ向きに倒そうとする。

あわやというときに里山は堪えて体勢を元に戻すとチャーリーと向き合った。するとチャーリーが頭を里山の腹につけてマワシをしっかり握り腰を落とした。

里山はなんとかマワシを切ってしまおうとするが、まるでチャーリーにロックされたようになって動かない。

そのままズズズズッとすり足のようにして押して行くとついに土俵際まで追い詰めた。

そこで里山はうっちゃりをしようとするが、それもむなしく土俵の外に押し出されてしまった。

チャーリーはその後カメラに近づき、小声で言った。

チャーリー「里山さんはテクニッシャンだから、二倍の体重にして対抗したよ。これ内緒ね」

また戻るとチャーリーは、

「次お願いします」

という。

なんか最初は猫被っていたチャーリーがだんだん本来の生意気な感じを出して、煽り出した。

チャーリー「もう誰でも良いからもっと思い切りぶつかって来てヨ。たまにチャーリーを土俵の外にぶちかましてみて。さっき笑ってた奴どこに行ったんだ?さあ、カモ―ン!」

おっ、頭から湯気出して強そうなのが出て来たぞ。

新弟子A「この小娘、相撲を舐めてると死ぬぞてめえ!」

チャーリー「おお、いいぞいいぞ。かかって来い、でぶ」

新弟子A「どっせぇぇぇ!」

ゴツッ

おっ、ぶちかました。頭と頭がぶつかって変な音がしたぞ。

すごいチャーリーが2mくらい後ろに下がった。

もう土俵際だ。

チャーリー「なにくそぉぉぉぉ」

おっ、今度はチャーリーが押し返した。すごい見た感じは物理法則無視だ。小人が巨人を押している。

新弟子A「どっせいっ!」

おっと相手はいなした。はたき込みか。

チャーリー堪えた。相手の右足に掴まってうつ伏せに倒れるのを防いだ。

あっ、右足を掴んで持ち上げた。

普通は絶対持ち上がらないのに。

あっ、やめろ。足を頭上にあげるのは。

倒れた。仰向けに倒れたぞ。決まりては分からない。

チャーリー「まだやってない人、カモ―ン」

ああ、チャーリー態度が悪い。最初の謙虚さはどこに行った?

新弟子B「休ませずに行くぞーー」

チャーリー「もしチャーリーが勝ったらーー」

そこでガツ―ンとぶつかった。

お互いに動かない。

チャーリー「チャーリーが勝ったら君たちのチャンコが食べたい」

B[食わせるもんかっ!」

おっと上手投げだ。チャーリー堪えた。堪えて下手投げだ。

ズドーーーーン

技が決まった。

チャーリー「もういないの? じゃあ、チャーリーの勝ちだね」

「その生意気な小娘、許さん」

出て来たのは関取だった。

チャーリー「えっ? 髷を結った人って関取じゃない?」

関取「それがどうした? 小便臭いガキが」

チャーリー「酷いなぁ、チャーリーおしっこなんてしたことないよ。生まれてから一度もトイレしたことないんだよ」

ええっ、それ新情報???

関取「何言ってる?そのふざけた眼帯外せ!」

バシ――ン

あっ、思い切り張り手で顔面を叩いた。

でもアイマスクは外れなかったし、チャーリーは平気な顔してる。

その代わり関取はビックリして自分の赤くなった掌を見てる。

関取「ななんだ? お前の顔は鉄の塊か?」

チャーリー「関取とはやらないって約束そっちが破ったから、こっちも張り手や突っ張りしないって約束守らなくてもいいよねっ?」

関取「何を言ってる?お前ごときが張り手や突っ張りしたところで痛くもかゆくもないわ」

チャーリー「言質とったぁぁあああ」

あっ、チャーリーがビョーんと飛び上がって両手で関取の顔面を平手打ちしたぁぁぁぁ。

バッチ―ン!!

「あがっ……」

関取鼻血を出してふらついたところを一度下がったチャーリーが助走を付けて跳んで両手で関取の胸板を突っ張った。

バッシ――――ン!!

「ぐほっ」

ドシ――ン

関取は尻もちをついてしまった。

チャーリーの勝ちだ。

画像はここで終わって、また例のごとくメッセージ文が流れた。

『この後ちゃんこ鍋を新弟子さんと飛び入りの関取さんたちと食べました。その後腕相撲大会もしたけど、それも全勝したよ。仕方ないよ。チャーリー精霊の加護受けてるもん。それとお知らせです。チャーリーのアイマスクの下には目の周りに赤い痣がひとつあります。

その痣の形はベアドラゴンの逆鱗さかうろこと同じ形をしてます。ではどんな形でしょう。ハガキでイラストを描いて下の住所に応募してみてください。当たった人にはチャーリーの大事な大事な宝物をプレゼントします。ではまた。あっ、締め切りは守ってね。当日の消印あれば有効だよ』


ベアドラゴンって裸の竜って意味だろ? 裸なのに逆鱗はあるんだな? あっ、俺も応募しようっと。でも異世界の魔獣の鱗なんて知らないな。まあ適当な形にしようか。ハート型なんて洒落ていいんじゃね。向きは目尻の方向に斜めに下がってる感じで。よし、これで応募しよう。なんだろ、チャーリーの大事な宝物って。楽しみだな。

 

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