最終話『記憶に響く一撃』
【記憶と対話する最終戦】
55歳の男が、少年の頃の自分と“戦う”時。
この戦いは、心の奥にある何かを突き動かします。
ミッションの最終ボス――“ロコ゚スの守人”は、
AIがプレイヤーの記憶を読み込み、それに応じた強さ・形・台詞を持つ敵だ。
真観の前に現れたのは、少年の姿をした自分だった。
「ゲームばっかやって……何か意味があるのか?」
その問いに、真観はしばし黙したあと、こう答えた。
「意味は、あとからついてくる。お前が握ったすべてのコントローラーが、今の“私”を創ったのだ」
――技発動:思念一閃・覇
その瞬間、周囲の景色がモザイク状に砕け、記憶の断片が空に浮かび上がった。
初めてゲームを起動した日。初クリアの喜び。友と競い合った夏休み。
あらゆるゲーム機を購入し、友達からは本体収集家とまで馬鹿にされた、あの日…。
それらが光の粒になって剣となり、ボスを貫いた。
《MISSION CLEAR:深層記憶との対話に成功しました》
ログアウトした真観は、そっと呟く。
「やっぱ、ゲームってええなぁ」
【完結しました】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
“ゲームを続けてきたことに意味があった”
そんな物語を、心のどこかに残してもらえたら幸いです。
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