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斬狼

57話


『斬狼』

それはグリムが唯一所持している刀である


能力は斬撃を振ることなく使用者の意思で自由に出し自在に操作、属性付与も可能 斬撃の形を変えられる


この能力でサエルとカエデをも超える強さを得た



グリムは『斬狼』を振ることなくキザの周囲に斬撃を生み出し、形を変えていく


「おいおい、お前が戦うわけじゃねぇのか?」

「たかが1人に本気出す訳ないじゃん お前の相手にはこれがお似合いだよ でも侮ったらすぐ殺られるから気をつけてね」


斬人形スラッシュドール


「それそれは、ご忠告どうも せいぜい気をつけながら

戦うことにするぜ」


キザはそう言うとタガーを両手に構え、斬人形スラッシュドールと一定の距離を保つように立ち回る


グリムは斬人形スラッシュドールを操作して腕を地面に振り下ろさせる

すると、斬撃がキザ目掛けて直線的に飛んでいく


「マジかよ 斬撃飛ばすとか反則だろうが!」


キザは斬撃を避け、斬人形スラッシュドールに向かって走っていく












「ねぇ、サエル本当に私達行ってよかったの?」

「そうだぜ 一応百鬼ギルドは有名なPKギルドだろ?危険じゃねぇのか?」

「そうか、2人はグリムが戦っている所って見た事無いんだっけ?」

「「無い!」」


実際グリムが戦っている所を見た者はPKプレイヤー以外では数人しか居ない

しかもその数人はギルドメンバーと知り合いしかおらず限定公開や非公開でのPvPでしか戦っていない


「まぁ、強いのは確かだよ ただ偶に相手を侮って痛い目に遭うけど...(アイツ大丈夫かな...)」






「あ〜あこれはマズイな 倒されちゃった...」

「それで?次はお前が相手をしてくれるのかよ?」


斬人形スラッシュドールの四肢は斬られ所々に散らばっている


「え〜めんどくさいな まぁでも斬人形スラッシュドールを相手にここまで戦えているから少し本気出そうかな」


斬狼を構える

「そういえば、お前のその刀何処かで見たような?」

「ん?君とは会ったことないけど?」


戦場の中央で刀とタガーがぶつかり合う

「少しは戦えるんだね」

「たりめぇだ、PKの中では上位なんだよ俺は!」

「へぇー (どうでもいい...)」

「絶対興味無いだろ」

「あ、バレた だって君そこまで強くないもん」


グリムが刀を振るっていくと、斬撃が斬狼の切先に凝縮して溜まっていく


「あァ!?さすがに俺の事舐めすぎだろ!」

「事実を言ったんだけど?」


そう言うとグリムは突きの構えを取る


『狼衝』

突きと同時に狼の姿をした斬撃がキザに向かっていく


「斬撃が噛んでくる何て... でも、何とか接近することができたぜ」


キザは持っているタガーをグリムの首に目掛けて攻撃をしようとする













「あ〜あ 逃げれば良かったのに...」

「何言ってやがる!首を刺されてお前は殺られるんだよ」


その瞬間、キザの両手は切り落とされる

「っ、何で...」

「そんなの、決まってるじゃん 斬人形スラッシュドールだよ 君は倒したと思ってたらしいけど倒れてなかったってこと」


斬人形スラッシュドールはキザを地面に押し付ける

「くそ、やっと思い出したお前の事を」

「なになに僕って有名?」

「あぁPKギルド間では有名だよ PKKを趣味としている猛者がいるって噂で聞いていたが、まさかお前とは...」


「やだなぁ、猛者って 君達が弱いだけだよ」

「1つ聞かせてくれねぇか?」

「死ぬ前の質問か いいよ 答えてあげよう」

「何でお前はPKKをやっているんだ...」


「え?」


キザは起き上がりタガーを口に咥えて攻撃しようとする





しかし、

「せっかく答えてあげようと思ったのに」


斬人形スラッシュドールは首根っこを掴み地面に

叩きつける

「今の攻撃は冗談だったんだよ 許してくれよ な!」


キザはグリムに対して命乞いをしてくる


だが、グリムは無情にも

「冗談?そんな見え透いた嘘が通じると思うなよ」





噛みちぎれ 斬狼



グリムがそう言うと『斬狼』は刀の形からみるみると姿を変えていき狼の姿へと変わっていく


キザはその後も命乞いを続けるが、斬狼が脚から徐々に噛みちぎっていくと叫び声に変わってき

最後には復讐を決意したかのように


「覚えてやがれ お前だけはうちのPKギルド いや、全PKギルドを集合させてでも殺してやる!」


そう言うと斬狼はキザを丸呑みした



「よしよし、斬狼 良くやったね〜」


第一印象としては怖いが、しかし斬狼は意外と可愛いし人懐っこいが敵対者には容赦しない

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