カエデの想い
49話
そう、私はリク君がナンパしてきた人達から助けて
くれた人だと薄々感じていた
私達の大学は、昨日から夏休みに突入していた
そして夏休みの課題を終わらせたらMOFで遊びまくる
約束をサエル達としていた
私は夏休みに突入する前に全ての課題を終わらせて
夏休みはMOFを遊びまくるつもりでいた
しかし、私は全ての課題データが入っていたUSBを
大学に忘れたという失態を犯してしまった
しかも大学は明日から一般生徒の敷地内の立ち入りを
禁止していてUSBを回収するのは今日しか無かった
それなのに、今日は大事な日 MOFがリリースされて初めてのイベント日 これには、1位のギルド 副マスターという地位もあり絶対に参加しないと行けない
その為に私は、
ログインするのがギリギリになると分かりつつもUSBを回収する為に大学に向かっていた
USBは無事に見つかり、家に帰って提出するのは
時間の無駄という事もあり、大学のPCから課題のデータを各担当の先生のメールに添付して送信し
夏休みは課題に追われる事は無くなった
あとはマンションに帰って、MOFにログインするだけ
だったのに帰り道の交差点で多数の暴力団員の男達に囲まれてナンパされた挙句、半ば強制的に路地裏に連れていかれた
嫌がる私に一人は興が醒めたと言いつつ、路地裏から去っていた
それをいい事に暴力団員の男達は突如としてナイフを一斉に懐からナイフを取り出して、嫌がる私を無理矢理襲おうとしてきた
私はあまりの怖さに大声で助けを呼ぶ事もできずに
恐怖のあまり掠れた声で助けを呼ぶ事しかできなかった
その時に私を助けてくれた男性は奇妙な真っ赤な仮面を着け、現実ではとても説明することが出来ない
まるでこの男性は自分の血液を自由自在に操れる力を
持っているのだと
私の目にはそう映っていた
そして血液を様々な武器に変形させていき
何故か分からないけど刀を抜刀する構えを、しただけなのに突如として男達が気絶したりと
一瞬危ない場面があったものの、最終的に一人で
全員倒してしまった
男性は何か大事な用事があったのか姿を消した
それに私もこのイベントの為にすぐにでも
MOFにログインしないといけないこともあって、警察
に匿名の通報だけをしてその場を去った
自分の血液を思いのままに操るのは現実では
不可能な事を重々理解はしている
しかし、私の目に映った現象はその不可能を可能に
変えていたのだ
昨日の時点でサエルから、今度新しく加入する
ギルドメンバーのリク君の種族がヴァンパイアという事それに加えて、本気を出していないガイをPvPで
倒す程の強者だとも聞いていた
でも、
正直私は昨日始めた新規プレイヤーに
本気を出していないとはいえ、あのガイを倒したとは
とても信じることは出来なかった
だからこそ、私はオーク三体にリク君一人で戦わせ
本当に強いのかを確かめようとした
最初はピンチになったら私が代わりにオークを倒そうと甘い考えをしていた
しかし、リク君はそこまで苦戦することなくオーク三体を倒していた
私はこの時、薄々感じていた疑問の数々が確信へと
変わっていく感覚を感じていた
血液で作った刀があの仮面の男性が構えていた刀と同じそれに加えて、刀をガントレットに変形させる方法
戦闘スタイルも血液の操り方も酷似していた
でも、この確信に変わりつつある疑問を直接本人に
聞いていいのか
それにもし私の勘違いだったら...
そう思うと、
この気持ちを胸の奥に隠すのがいいのか
それとも思い切って聞いてみる
この二択で私は延々と迷い
思考の邪魔をして欲しくないからデススコルピオンも
瞬殺してしまったし
そしたら、いつ間にか四角形部屋に戻ってきていて
しかもネオとカリンは部屋の隅っこで仮眠を取っている
問題の
私をこんなに悩ませる原因のリク君は、中央に座り込んでステータスウィンドウと睨めっこしている
今この空間で起きているのは私とリク君の二人だけ
「隠しておきたい秘密なんだと薄々感じていたのだけどどうしてもナンパから助けてくれた礼を言いたくてね
迷惑だったかしら?」
「いえ、俺も現実でヴァンパイアのスキルを扱えるのは不思議でしたが、この力を人助けの為に使えたのなら
良かったと思っているので全然迷惑じゃありませんよ」
「そう言ってくれると助かるわ」
「ん〜何が助かるんッスか?」
その瞬間カリンが寝ぼけながら話してきた
「カリン何でも無いわよ ねリク君!」
「そ、そう 何でも無いので安心してください」
俺たちは慌てて話の内容を隠す為に何も無いように
振る舞う
「ん〜そうッスか? 二人がそう言うなら信じるッス...まだ眠いのでもう少し寝てもいいッスか?」
「あ、まだ探索に時間かかりそうなので終わり次第
起こすので全然寝ても構いません」
「分かったッス〜 それじゃあおやすみッス」
まだ探索には時間がかかる
感想お待ちしております