あの時の出来事
48話
階段を降りている際、ステータスウィンドウが勝手に
表示されて文字が出てくる
《ここは迷路型迷宮 数多くの罠を見破り10階層までを
攻略できたらアイテムゲット》
「よりにもよって迷路型ッスか」
「迷路型の迷宮に何か問題でも?」
「探索が面倒面倒」
確かに進んだ道が行き止まりの連続だとストレスも溜まるか
「迷子や罠に気をつけながらモンスターとの戦闘をするのは結構大変なのよ
集中力を維持するというのも込みでね」
「なるほど集中力を維持するのは大変ですしね」
そうこうしているうちに俺達は迷宮のスタートラインの四角形の部屋に辿り着いた
しかし、
辿り着いたと同時に左右と中央の壁が突如として崩れ道が現れた
「一先ず中央の通路を進みましょうか」
「何で中央通路何スか?お姉ちゃん」
「こういうのは、悩むより即断即決がいいのよ」
「カエデの言う通り悩むのは時間の無駄無駄」
カエデの言う通りに俺達は中央通路に進んで行く
「そういえば、カリンは罠を見破れないのか?」
「さすがに罠は見破れないッスでも、モンスターなら分かるッスよ
って前方にモンスターが出現したッス!」
地面から魔法陣が浮かび出て、《デススコルピオン》が三体出現した
「あのモンスターの針には猛毒が塗られていて、突き刺し攻撃や発射したりするんッス」
そうカリンが喋った瞬間、毒針が首元を通り過ぎた
「な!」
「ほら飛んでくるんッスよ!」
「リクリク気をつけて」
「今の私達が毒を喰らったら、毒消し草でしか治せないから注意して動きましょう」
三体同時に毒針を無数に発射してくる
俺は『雪血刀』を地面に突き刺し氷壁を生み出し
毒針が発射し終わるのを待ち続ける
「リク君防げたのはいいッスけど、こっちも攻撃する事が出来ないッスよ?」
「大丈夫です その点も織り込み済みの氷壁なので
そろそろ毒針が止まりますね」
毒針攻撃が止まった事を確認した後、俺は氷壁を刀で
切り刻み、多数の塊をデススコルピオンに向けて蹴り飛ばす
衝突音が通路に鳴り響きデススコルピオンは何とか
立ち上がろうとしている
「おぉ、爽快ッスね!」
「イメージしていた攻撃が綺麗にハマると気持ちいいですよね」
「じゃあトドメは私がしてくるわね」
『神重』『魔斬』起動
カエデはそう唱えながら二刀の刀を抜いて構える
「あの刀は?」
「『神重』と『魔斬』ピラミッド迷宮の宝箱から私達が見つけて、現在はカエデが装備している」
「効果は凄いんですか?」
「そうッス」
『神重』
一度魔力を込めると納刀するまで速度が急激に上がり、重力も操れる
斬撃を空中に固定して使用者のタイミングで起動できる
『魔斬』
一度魔力を込めると納刀するまで使用者の好きな
付与効果を付けれる
攻撃が当たるとMPを刀に蓄え、使用者のMPを任意で
回復できる
「何かどっちも凄い効果の武器ですね」
「うんうん」
「普通なら扱うのは難しいッスけど、今のギルドで
あの二刀を扱えるのはお姉ちゃんだけなんスよ」
カエデは神速の如くデススコルピオンを一瞬で抜き去り
斬撃を『神重』で固定する
そして三体同時に切り刻みダメージを与え『魔斬』で
スタン効果を付与した
「これでトドメね」
身動きが取れないデススコルピオンの周囲を無重力にして
固定した斬撃を全身に当てて三体同時に討伐する
「さすがお姉ちゃんッス!」
「扱い方上手上手」
俺だったら、この二刀をどうやって扱って戦闘に組み込もうか?
まぁ戦闘は無事に終わったし問題はどうやって、
迷宮を攻略するかだよね
「それでリク君どうだったかしら?私の戦闘」
(どうだったかしら?なんて答えれば...)
「刀の特殊効果を上手に使用してモンスターを倒したと思いますよ 俺だったらその特殊効果をどう戦闘に
組み込もうかと考えましたし カエデより上手く使える自信はないですね」
《ダンジョンマッピング》で進んだ道は分かるけど、さすがに先の道は分からないか
「リク君の血液で罠を見破ることはできないんスか?」
血液...
そうか!《ダンジョンマッピング》は俺が進んだ道を表示させていくなら先に血液を先行させていれば、行き止まりかどうか把握できるんじゃないか?
「《血液コウモリ化》」
俺は多数のコウモリを血液を媒介として生み出す
「リク君は何をするつもりかしら?」
「こういう新しい事を試す時のリク君は何かを閃いた証拠なんッス」
そしてそのコウモリ達を前方に行かせる
「リクリク何するつもり?」
「ダンジョンマッピングのスキルを活用すれば、進むべき道が分かるかなぁと思って」
「ダンジョンマッピングを使って事前に進む道が分かるようにするなんて、普通ならそんな発想できないわよ」
「いえいえ、カリンの一言で閃いただけですから」
俺の予想通りコウモリが進んでいくと、マッピングが更新されていく
しかも、コウモリを通路に敷き詰めて進ませているおかげで罠が発動してもコウモリが倒れるだけ...
落とし穴には反応してくれないけど
俺達には一切被害が無いのは儲けものだ
まぁ強いて言うなら、コウモリが倒れるのと同時に
血液を1消費して復活するようにしているから
俺の貯蓄に被害が生まれるけど...
「それで進むべき道は分かったんッスか?」
「道は分かりましたが、この中央通路の全通路
行き止まりな上に罠が大量に張り巡らせていました」
「何処かの通路は全部行き止まりの可能性は
もちろん考えていたけど、まさか一階層からなんて」
「ん、運営の性格の悪さ分かる分かる」
「でも、まだ中央通路は全然進んでなかったんッスからそこまで深く考えなくていいんじゃないッスか?」
「それもそうね...(でももし私の想像通りなら一階層の
通路はフェイクの可能性があるけど...)」
「リクリク、次は最初の四角形部屋からコウモリを
出発させれば時間短縮できる」
「そうですね 少し時間かかりますが、出来なくはない
探索の方法ですね 試してみます」
俺は四角形部屋の中央に座り込み、先程使用した
コウモリに加えてまた大量に生み出して左右の通路を
探索させて行く
「ねぇリク君、ネオとカリンは今寝ているから少し気になったことを聞いてもいいかしら?
集中がいる作業だったら別に構わないのだけど」
「いえ、常時マッピングと貯蓄の減り具合を見ているだけで暇なので、答えられる質問なら全然聞いても
構いませんよ」
(今日の私に起きた出来事をずっと考えていたわ
リク君に出会って疑問が生まれたのも事実
そして会って接していくうちに疑問が確信に変わったわ)
「ねぇリク君、君はもしかして現実でもMOFの力を
扱えるのかしら?
もし扱えるなら今日ナンパから助けてくれた事を感謝しているわ」
気付かれた... というかまさかあの時ナンパされていた女性がカエデとは 何て答えれば問題にならないんだ?
(例え本当だとしても答えないわよね)
「そ、そうです 現実でもMOFの力をヴァンパイアの
スキルを何故か扱えます
そしてカエデをナンパから助けたのも俺ですね...
でも、出来ればこの事を他の人に無闇に言うのは辞めて欲しいです」
(まさか答えてくれるとは...
それも嘘をつかずに正々堂々と秘密を喋るなんて)
「え、えぇ もちろん命の恩人の頼みだしリク君が現実で何故か力を扱えるって事は言わないわ
でも、サエル達にはナンパされた事を伝えてしまったのだけどそれは構わないかしら?」
「はい、それくらいなら構いません」
感想お待ちしております