初めての弟子? それはまだ先の話
47話
先程の出来事を改めて振り返ろう
草陰から物音が聞こえた為に俺は銃口を向け引き金に手をかけた瞬間、急に草陰から女性が飛び出してきた
そしてその女性は突如として俺にヴァンパイアの
戦闘スタイルを教えて欲しいと乞うてきたのであった
(とりあえず落ち着いて話を聞こう)
「えっと、ひとまずその理由を聞いてもいいですか?」
「私は今日から始めた新規プレイヤーなのですが、
種族選択時にヴァンパイアを間違って選んでしまって
どうすればいいか分からないまま友達とイベントに
参加する流れになりました...」
「あぁ、それはなんというかご愁傷さまですね...」
「それで、子供みたいな君が血液を扱いながらモンスターと戦っているのを先程拝見してヴァンパイアの戦い方を私にも教えて貰いたいんです!」
「貴方がどれくらい戦えるのかを知る前に
これだけははっきり言っておきます
ゲームのバグで俺は子供の姿に見えますが、本当は16歳の高校生なので子供扱いは辞めてくれますか?」
「やっぱりそうですよね!見た目は子供なのに雰囲気が子供とは違っていたので気にはなっていましたが、
それに16歳ということは私と同い歳ですね」
そのあと軽く自己紹介をすると
現在彼女こと《サクナ》はギルドに所属していないものの友達のギルドに所属する事は決まっているらしい
しかもそのギルド
俺が今後所属する『瞬光』が1番のギルドなら、
2番目のギルド『宵闇の烏』に所属するらしい
但し、この事を俺が知るのは先となる
「それでヴァンパイアの戦闘スタイルを教えて欲しいと言ってたけど、具体的に何が知りたいんだ?」
「今はとにかくスキルの扱い方を知って、戦闘面に
支障が出ないようにしたいんです」
「でも、俺と同じスキルを持っていれば誰でも思いつくスタイルなんだよね」
「そのスキルって何ですか?」
「血液創造っていうスキルですけど、スキル構成時に
種族スキルを7個選べたのに選んでないんですか?」
「あはは、実はスキル構成も組み合わせとかを考えずに選択した感じで...」
(なるほど、適当に選んだってことか...)
「それで何のスキルを取得したんですか?」
「あぁはい
《血属》《血液向上》《血液吸収》
《血液貯蓄》《魔力血液変換》《聖属性ダメージ無効》《銀武器ダメージ無効》を取得しました」
サクナが取得した7個のうち俺が取得していないスキルの《血属》《血液向上》の2つである
《血属》
血液を対象者に与え従わせる テイムのような能力
《血液向上》
血液を消費してスピードや威力を上げる
「この2つは俺は取得してないスキルですね」
まぁ俺には《血液向上》はまだしも《血属》は当分必要ないスキルだろうな
「とにかく血液創造を取得出来るほどのスキルポイント、何レベですか?」
まぁスキルポイントは20必要らしいし、新規プレイヤーでもモンスター5体は倒してレベル3くらいには
なっているだろ...
「レベル2でモンスターはまだ3体しか倒してないです」
はぁ、
「とにかく血液創造を取得してから、また会いに来て
ください 教えるのはそれからということで」
「わ、分かりました...」
寂しい背中を見せながら、サクナは海辺へと戻っていく
しばらくしてから
また草陰から物音が聞こえ俺は銃口を向けると
草陰から何かが飛び出してきた
「わぁ、リク君私ッスよ カリンッス!」
カリンとネオさんそれとカエデが草陰から出てきた
「何だ、皆さんでしたか 危うく撃つ所でしたよ」
「リクリク危ない 銃口向けるの」
「すみません、ネオさん 360度いつモンスターが
襲ってきてもおかしくないので警戒していて
つい銃口を向けてしまいました」
「一応決まった事を伝えるわね モンスター狩りをする
為に二手に分かれることになって、そのメンバーが
この4人ってわけ それと19時には拠点に戻ることになっているから忘れないようにしないとね」
「分かりました 俺も時間を気にするように動きます」
俺達は周囲を探索しながら森の奥深くに向かっていく
「それにしてもリク君 さっき誰かと話してたッスか?人の気配と匂いを感じたッスけど?」
「あぁ、何かヴァンパイアの戦闘スタイルを教えて
って言ってきた新規プレイヤーと軽く雑談を」
「へ〜リク君以外にもヴァンパイアがいるんッスね」
「ん、居てもおかしくないない」
「それでリク君は戦闘スタイルをその新規プレイヤーに教えたのかしら?」
「いえ、血液創造を持っていないので戦闘スタイルを
教えるのはその後ってことにしてひとまず帰しました」
「今日出会ったプレイヤーにわざわざ手の内を明かす必要はないわ 賢明な判断をしたわね」
「え、ああぁ、ありがとうございます」
「ん、三人とも階段発見発見」
「階段... それってさっきネオさんが言っていた迷宮の可能性がありますよね」
「そうッスね もし進むなら気をつけて行かないと行けないッスよ」
「それじゃあ迷宮攻略しましょう」
「「「え?」」」
「お姉ちゃん、何で行くんスか?」
な、何を言っているんだカエデは何が起きるか分からないのに進むなんて
「だって、他のプレイヤーやギルドに先を越されたらイベントの楽しみが減るじゃない
それなら私達が入って攻略した方が得じゃないかしら?」
「確かに階段付近の匂いと足跡的に私達が初めて発見した感じッス
他の人達に先を越されたくないなら今がチャンスなのは確かッスよ」
「よし、反対意見は無さそうだし迷宮攻略行きましょ」
俺達は半強制的に階段を降りることになった
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