先史ー機神と神々の戦いと、その終結ー
戦争というものは、いつの時代であろうと痛ましさと悍ましさ、そして———快楽に満ちている。
敵を打ち滅ぼし、そして屈辱を与えながら殺す。
自分がそうされるかもしれない、という可能性に体の芯が震えるほど恐怖し———そのうえで今生きている事に信じられない程の優越感を覚える。
『貴方は本当に戦いが好き』
「そんなことは無いですよ———生きている事に幸せを覚えているだけに過ぎません」
しかし、その幸せもすぐに消えて無くなる。
それは、この喜びの正体が優越感であるからに他ならない。
優越感とは自分に近いものに対して感じるものだ。
死人に、、、否、死んだ神に優越感など感じるはずないのだ。
そこにいるのは敗北者であり、それ以上でもそれ以下でもないからだ。
『———矮小なる人間ごときがあまり調子に乗るな』
「!!」
背後から声が聞こえた。
冷たい、唯々冷たいその声が聞こえた頃には———既に戦いが始まっていた。
「———『黒炎』」
『蓮花』
「『廻天』」
『桜花』
その戦いは、魔術の撃ち合いから始まった。
色とりどりの魔術が入り乱れ、周囲が昼間のように照らされる。
それはまさに神話の戦いで———彼が生を実感する唯一の瞬間だった。
『やるな人間———』
「まだ何もしちゃいないさ、、、【神斬】」
『次は魔法剣か、、、よかろう【雪華】』
周囲が一気に暗くなり、鋼同士がぶつかり合う音が響く。
「【栄華】『天昇』『流天』【影斬】―――」
『ほう、、、剣技の間に魔法を挟むとはやりよるな―――』
受け切られた―――
『だが、神には及ばぬな―――【■■■■】』
「―――!!!?」
全身から血が吹き出す。
不思議と痛みは感じない。
どころか世界がゆったりと進んでいるように見える。
『神殺しの勇者、だったか?その歳でよくぞここまで鍛えたな―――名を聞いておこう』
「俺の名前はアル・レイヴンズ・プライド―――この世で最も美しい記憶の女神の眷属だ」
『そちらの名前ではない』
「、、、お見通しか―――そうさ。俺はアルじゃない―――俺は■■■■だ。尤もこの世界じゃあ発音すらできないが」
『ふむ―――お主の勇姿に免じてこの女神は封印に留めておこう』
「感謝する」
『お主は、、、転生するのだろう?更に強くなって―――』
「そうさ―――ところでお前の名前は?」
溜息をつきながら答える。
『私は武神、、、名前はまだ無い———というより忘れた』
「そうか、、、ありがと———」
そこで体力の限界が訪れ、俺は意識を手放した。
■■■レーテーの廻天に逆らえ。■■■
『また君か———まぁ良いか、まだやりたいならやらせてあげよう 』
「すまんな」
『けどこれが最後だぜ?———頑張れよ』
■■■レーテーの廻天を断った。■■■
■■■勝利の女神が捕縛された。■■■
■■■王冠は機神の物となった。■■■
■■■花月の女神が捕縛された。■■■
■■■地上から花が消えました。■■■
■■■麗月は機神の物となった。■■■
■■■記憶の女神が封印された。■■■
■■■勇者の記憶が封印された。■■■
■■■そして勇者は目を覚ます。■■■
最初だから短め。
ユルシテッ!ユルシテッ!