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17歳の遺書。  作者: UnO
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 最近のSNSを見て、思うことがある。それは最近、というより人類の歴史的に見ても言えることだが、人間死んでからの方が評価が高まったり、注目を浴びたりしているのは何故だろうか。


 おすすめ、に流れてくるトピックの中で、時折「このアカウントの持ち主の○○ですが、このアカウントの持ち主は逝去しました」という話が流れてくる。そして、大体それを呟いているアカウントを覗くと、他の呟きの平均が基本二千前後に対し、報告の呟きだけは一万を超えていたりする。これは、SNSの話だけではなく、著名人にも当てはまる話である。芸術家だって、死後注目を集めて人気が爆発しているのだから、昔からその習性は変わっていないのかもしれない。神さまの世界に行ったひとが神格化されるのは、確かに当たり前のような気がするし。


 そして私は、自分も死んでから美談にされるような人間でありたい。と思った。死んでから「あいつ、死んでくれてよかったな!」なんて一ミリも思われたくないものだ。


 思われるなら、絶対に「死のうとしてるなんて全然思わなかった、そんな面影なかった。なんで死んじゃったの?」と、不思議がられていたい。そういう、人間でいたい。多分、これは私が厨二病だからかもしれない。死んでから、しばらく引きずられるような人間でいたいのだ。


 だからわたしは、人前では笑っているし、声が大きくて、楽観的で、悪ガキのような女でいる。病むとか死ぬとか、こんなポエムとか、こんなイメージとは真反対の。そんな女。なんの予兆も残さず、ただ消えたい。死にたいと他人に振り撒き、その病んでいる心の重荷をだれかに背負わすこともなく、救えなかった。あの時話を聞いていれば、なんて罪悪感も残すことなく。ただ、ぼんやりとこの世から消えたいなあと、おもう。


 こうして反省しているのに、本当に治したい部分は治らない。そういう経験しかして来なかったひとと、すごく友達になりたい。わたしはこの、自分の意思の弱いところも嫌いなところで、死んでしまいたくなるところだった。治せないなら、消えてしまいたいのだ。なかったことにしたい。本当にそれだけである。何度も何度も直すべき所をメモに書いているが、直せないのだ。人間そう簡単には変わらないとはこの事である。


 調子に乗らない。執着をやめて、過去を忘れる。高望みを辞める。未来を明るいと信じ込む。何か話す時は一度脳で考えてから話す。欠点を見つけない。すぐにイライラしない。イライラしても態度に出さない。承認欲求を捨てる。軽率に物を買ったり、出掛ける計画を立てたりしてはいけない。購入ボタンをすぐ押さない。商品検索をすぐにかけない。金額計算をしてから親にお金を借りる交渉をしない。

 これらすべて、今の私に必要なことである。そして、何ひとつ達成していない。ただただ愚かであった。

 

 こうして書いていて思う事は、本当に、この先どうせ死ぬなら今さっさと死んだ方がいいな。だった。なのに、今の私は好きなキャラクターの型でチョコレートを作る計画を立てていたり、二月末に美容院に行き、通販サイトで購入したコンタクトを楽しみに待っていたり、三月にはネットの友達と会う約束をしていて、それから好きな作家の同人誌を買う予定も立てていたりする。(書いている時は2月上旬)


 人間、遺書を書いて残していても、じさつの方法をいくら調べても、泣いても、沈んでも。こうやってなんだかんだ生きていくんだなあ。と、思った。

 これらの全てを投げ捨てて、今死んでしまおうという気持ちは、この瞬間の私には未だ存在していない。

 もし、しにたいひとや、少し未来の私がちょっとだけ勇気をだして、空を飛んだり、ながめの眠りにつこうとしたりしていたら、その時はこんな世界に二度と戻ってこなくてもいいよう、今のうちに念を込めてお祈りしておこうと思う。


 さようなら。そしておやすみなさい。これがちょっとだけ格好つけて書いた、いつか私の遺書になるであろうものの全文です。少しでも、誰かの共感を得られたらそれが私の幸せです。

 

 


 


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