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「それに今日、マスクウェル殿下の顔面に見惚れていたら、ついつい紅茶にお砂糖入れ過ぎてしまったわ……!えへへ、でもさすがエマね。あの手捌き惚れ惚れしてしまうわ。あっ、何でああなったかって言うと、マスクウェル殿下が何でわたくしにだけ塩対応なのかってことを考えていたからで……まぁ、少し寂しいけどマスクウェル殿下のためなら何でも我慢出来るわ!欲を言えば、優しく微笑み掛けてもらったりなんかしちゃったりして!フフッ、そしたらまるで本当の婚約者同士みたいになれるのかしら」


「…………」


「ああ、言わなくてもわかってるわ。本当はマスクウェル殿下に嫌われているのかしら。笑ってくれないし、一緒にいても詰まらなそうにしているもの。でも嫌われてたっていいの!わたくし愛に生きるって決めたから!たとえ使い捨てにされるだけだとしても、マスクウェル殿下の幸せを見届けるまで生きていこうって決めたのに……わたくしったらダメね」


「…………」


「エマ、怒らないでね。でもマスクウェル殿下が別の人と結ばれたら……結ばれたら、多分ご飯が一週間くらい喉を通らない自信があるわ!でもトレイヴォン様が〝そうなっても俺がもらってやる〟って言っていたし、大丈夫よね?三年前のあの約束はまだ有効なのかしら……エマはどう思う?」


「……!?」


「でもね、正直なところ……こうしてマスクウェル殿下と過ごすとどんどん欲張りになっていくの。こんなわたくしじゃマスクウェル殿下に嫌われちゃうわ……!ねぇ、エマ。さっきからわたくしの話を聞いてる?怒ってるなら機嫌直してよ。わたくしはエマの幸せも勿論、願ってるし……そういえばこの間、縁談がきたって言っていたけど、やっぱりわたくしは受けるべきだと思うの!」



ノックの音が聞こえて、バタンと扉が開く音と共にファビオラは

体を起こす。

ワゴンを引いたエマがこちらにやって来る姿が見えた。

それと同時に紅茶の良い香りが立ち込める。

ここでファビオラが何かが違うことに気づく。


(あれ……?何でワゴンを引いたエマが扉からやってくるの?)


エマから「ファビオラお嬢様、目が覚めたのですね」と冷静な言葉が聞こえた。

エマが今、扉から入ってきたというのなら今、誰と話していたのだろうか。


(き、気のせいよ……!たまたまカタンって音がして、わたくしが勝手に一人で喋っていただけよ!そ、そうでしょう!?誰かそうだと言って)


冷や汗がタラリと流れていく。

ギギギッと首をゆっくりと動かすと、ベッドの横に座っている人物を見て思いきり目を見開いた。


(───ギャアアアアアァアアァァッ!)


自分が今、早口すぎて何を言ったのか思い出せなかった。

エマにいつも語りかけるようにして喋ってしまったのはマスクウェルについてだ。

つまり本人に相談していたということになる。


(わ、わたくし……マスクウェル殿下に何を言ったの?)


答えは自分の心内を全てである。

鋭い視線にファビオラはエマに助けを求めるように視線を送る。

ただ自分が普段、エマに話しているような気持ちを赤裸々に喋ってしまったことだけは理解できた。


しかしエマはまたいつものようにマスクウェルの前ではしゃいでいただけだろうと思っているのだろう。

エマのフォローを期待できないと思ったファビオラは人差し指を合わせながら視線を泳がせる。



「あー……」


「…………」



目の前に座っているのは、氷のような表情でこちらを見ているマスクウェル。

その瞬間、ファビオラの頭が真っ白になる。

思考を停止したファビオラの口から咄嗟に出てきた言葉は自分でも予想できないものだった。



「あっ……好きです」



「……」


「…………っ!」



二人の間に、今までにない気まずい沈黙が流れた。

ファビオラの全身の毛穴から汗が噴きだしていく。

エマも何かやらかしたのだと状況を把握しようと頭をフル回転させているようだった。

ワゴンを持ったまま珍しく固まっている。

ずっと長い時間、地獄のような時間を過ごして数秒……。


マクスウェルの形のいい唇がゆっくりと開いた。



「…………君の気持ちは十分、わかったよ」


「へ……?」


「目が覚めてよかった。僕は失礼するよ」


「…………は、ひ?」



立ち上がって部屋から出て行くマスクウェルの後ろ姿を見ながらファビオラは動けずにいた。

エマがマスクウェルを案内するために早足で彼の後を追いかけていった。

どのくらい時間が経ったのかはわからない。

その間「マスクウェル殿下にここまで付き添ってくれた御礼をいわなくちゃ」とか「わたくし、何を喋ったんだっけ?」と答えが出ないことをぐるぐると考えていた。

エマが部屋に戻ってきたことはわかっても、声すら出せずにいた。



「…………ファビオラお嬢様」


「……ッ」


「大丈夫ですか?」



エマの声に、ファビオラの体の力がフッと抜けてベッドの後ろに倒れ込んだ。

そして「うわぁあぁあぁん!」と、子供のように泣きながらベッドの上に伏せになりゴロゴロと体を左右に動かした。



「どうしようぅうぅ、やっちゃったあああぁ!マスクウェル殿下の前でッ、マスクウェル殿下の前でぇぇっ」


「落ち着いて下さい、ファビオラお嬢様。マスクウェル殿下は……」


「うわあぁん!エマァァァッ!エマァアアァァッ」


「……うるさいです。お嬢様」


「クールゥウゥッ、でも好きぃ」



布を持ってきたエマに抱き着きながらファビオラはワンワンと失敗を嘆いていた。

砂糖たっぷり紅茶を吹き出したかと思いきや、失態を晒した挙句、本人の前で悩み相談をしてしまったようだ。



「絶対に嫌われたぁあぁっ!もう嫌われているけど好感度は地の底よ!もう無理なのよぉぁぁ」


「……ファビオラお嬢様」



鼻水がエマのエプロンと鼻を繋ぐのを軽蔑の眼差しで見ているエマを気にすることなく泣き続けて数十分。

溜息を吐いたエマが珍しく「大丈夫ですよ」とデレてくれて落ち着くまでファビオラを抱きしめてくれた。


ファビオラがやっと落ち着いて、叫び過ぎて声がガサガサになった後……カチャカチャと微かに食器が擦れる音。

少し冷めた紅茶を目の前に出されて肩を揺らしていた。

紅茶に映る顔は涙でぐちゃぐちゃだった。



「完全にマスクウェル殿下に嫌われてしまったのね」


「そうでしょうか……?」


「わたくし、いつもエマに話しているようにマスクウェル殿下のことを語ってしまったのよ!?」


「それなら逆によかったと思い……「よくない!よくないわよ!それに好きって言ったら無視されたのっ」


「気が動転しただけではないでしょうか」



エマは布でファビオラの鼻水や涙を拭っている。

ファビオラは鼻を啜りながら、ある決意をする。



「エマ、聞いて!わたくし、少しマスクウェル殿下と距離を置くわ!このままじゃダメッ!耐えられないっ」


「はい……?」


「その間に立派な淑女兼悪役令嬢になってみせる。マクスウェル様に婚約を破棄されるその日まで、隣に立っていても恥ずかしくないように!失態を犯さないように鍛えるのっ」


「御言葉ですがファビオラお嬢様……方向性がおかしくないでしょうか?」


「このままマスクウェル殿下に拒否されたら、絶対に立ち直れないもの……」


「それが本音ですか?」


「──止めないでエマ!もう決めたのッ!あなたもそう思ったのでしょう!?


「違いますけど」


「エマの言っていることはいつも正しいし、今日もとっても可愛いけど今回だけは譲れないわ」


「意味のわからない勘違いばかりしていないで、話を聞いてください」



「半年後にある学園の入学パーティーまでにマスクウェル殿下断ちを……ゔぅっ、考えただけで胃痛がするわ。でもマスクウェル殿下のためだったら頑張れる!だって……わたくしは悪役令嬢ファビオラなのだからっ!」


「……意味がわかりません」


「フフッ、早速お父様とお母様に相談しましょう。そうすれば、これ以上あんな姿やこんな姿をマスクウェル殿下の前で見せなくて済むものっ!」


「ファビオラお嬢様はそのままでいいと思いますけど」


「わたくしはこれ以上、嫌われたくないの!」



そしてファビオラは断腸の思いでマクスウェルに手紙を書いた。


『半年後、学園の入学パーティーで会いましょう』


そう認めた手紙を涙と鼻水を流しながら書き上げてエマに手紙を預けた。

その時も「行って!」と言いながらも、ずっとエマの足にしがみついていた。


「こんなことをして、何の意味があるのでしょうか?」


そうファビオラに問いかけるエマに「マスクウェル殿下のためよ!」と言ってファビオラの意志は固かったのだが、体は嫌だと反発しているのか言うことを聞かないのだ。


「エマアアアァァ!早く届けてぇっ」


という叫び声を上げたファビオラを置いて、エマはスタスタと歩いていき手紙を持って行ってしまった。

手紙を届けてもらう間、ファビオラは部屋の中をずっとウロウロしていた。


手紙を送ってから、ファビオラが手紙に書いた通りマスクウェルはピタリと会いに来なくなった。

自分で言っておいて何だが、かなり悲しい。


一週間は立ち直れずにいたのだが、ファビオラはその間食欲も出ずに部屋に閉じこもりながら涙を流していた。


「いい加減にしないと、マスクウェル殿下を呼びますよ?」


珍しく怒っているエマに首根っこを掴まれて部屋から出され目が覚めたことで、本来の目的を思い出す。



「そうだわ……!ざまぁされる前にマスクウェル殿下に相応しい立派な淑女兼悪役令嬢になってみせると決めたじゃない」


「意味がわかりませんので、きちんと食事をしてください」


「それなのにわたくしったら!落ち込んでる場合じゃないのよ。しっかりと自分を鍛えなきゃだめよっ」


「意味がわかりませんので、きちんと食事をしてください」


「そしてマスクウェル殿下の前で失態を犯さないように昂る気持ちを制御するの!」


「…………」


「待ってて、マスクウェルで……っ」


「ファビオラお嬢様、まずは食べましょう。話はそれからです」


「ひっ、ひゃい……」



何故か般若のように恐ろしい顔をしたエマの手のひらがファビオラの頭をがっしりと掴んでいて身動きがとれない。

ファビオラはあまりの恐怖に小さく首を縦に振りながら返事をする。


どうやらエマはここ数日、ファビオラがろくにご飯を食べずに泣いていたことが心底、許せないようだ。

まずはエマの言う通りにしようとミルクリゾットを食べて、入浴をしてから身なりを整える。


そして次の日から父と母に用意してもらった講師達に厳しいレッスンをしてもらおうと思ったが、この三年間で王妃教育も終わっていたため「教えることはもうありません」と言われてしまい、あまり意味をなさなかった。


けれど何かが足りない。

今後、これ以上嫌われないために必要なことは何かを考える。

そして思いついたのはエマとの特別訓練である。

画家に描いてもらったマスクウェルを前にデレデレしない訓練……つまりは彼の前で表情を取り繕う訓練を始めたのだった。


(これもマスクウェル殿下のため……っ!)


今、椅子の前にはマスクウェルのリアルな肖像画の顔を切り取った仮面を付けているエマがいる。



「じ、準備できたわ……!」


「いきますよ?」


「はぁ……今度こそ!絶対大丈夫なんだからっ」


「…………ファビオラ」


「うぐっ……!」


「ファビオラ」


「~~~っ、はい!ありがとうございますっ」


───パシンッ!



容赦なく飛ぶエマからの喝と頬を摘まれてしまう。



「あたたっ……!」


「やり直し」


「……はぁい」



そんな毎日を繰り返していると、徐々にマスクウェルに対する耐性がついてくる。

紙のマスクウェルには大分慣れてきた。

それから再び瞑想に滝行と精神を鍛え上げて、いつも表情が微動だにしないエマに表情を変えないコツを教わる。


約束のパーティーと学園の入学を一ヶ月前に控えたある日のこと。

ブラック伯爵邸に大きな箱が家に届く。

それはファビオラ宛で、誰からの荷物かというと……。



「見て、見てみてっ!エマ、見てよ!見てみてッ」


「見ています」


「マスクウェル殿下からわたくしにって、ドレスが届いたのっ!信じられないわ!こ、これはパーティーにきていいってことよね?」


「はい、そうでしょうね」


「どうしようどうしよう……!嬉しすぎて鼻水がっ」


「……。合わせてみましょうか」


「そ、そうねっ!」



完全に浮かれながらドレスを箱から取り出した。

シンプルではあるが、大人っぽくて綺麗なドレスが目の前に広げられた。

髪を結えてから優しい赤い色の生地のドレスを着用した後、鏡で確認してみる。

動くとキラキラと光るサイズもピッタリで体のラインも綺麗だった。

特に意味はないだろうが、ハート王家を象徴する赤色のドレスをプレゼントしてくれたことも嬉しくてファビオラは両手を合わせて感動していた。



「…………素敵」



思わず漏れる本音。

ファビオラはドレスを着た自分の姿に釘付けになっていた。



「さすがマスクウェル殿下ですね」


「え?」


「ゴホン……何でもありません」


「変なエマ。でもサイズまでピッタリだわ!マスクウェル殿下……すごいわ」


「…………」


「一生の宝物にしましょう 」



マスクウェルからのプレゼントが嬉しくて感動していた。

彼にはよく思われていないし、距離を置いているにも関わらず、まさかドレスがプレゼントされるとは思っていなかったからだ。

ご褒美ともいえるサプライズにファビオラは浮かれきっていた。


そんな時、扉を軽快にノックする音が響く。

いつものように返事をすると、慣れた様子で部屋の中に入ってきたトレイヴォンはこちらの様子を見て足を止めた。



「ビオラ……?そのドレス、どうしたんだ」


「レイ……!いい所にきたわね!見てみて~!フフッ、マスクウェル殿下からまさかのまさか、ドレスが届いたのよ!パーティーに着て行くドレスッ!素敵でしょう?」


「…………あぁ」


「えへへ~」



デレデレしながらもトレイヴォンにドレスを見せていた。

彼は複雑そうな表情を一瞬だけ浮かべた後にいつもの表情に戻った。



「じゃあ、今日のドレスを選びに行く予定は中止だな」


「あー……うん、そうね!そうなるわね」


「全く。その様子だと俺との約束も忘れていただろう?」


「大変、申し訳ございませんでした」


「はぁ……」



今日はトレイヴォンと共に街に行って、マスクウェルと出席するパーティーのためにドレスを選びに行こうと思っていたのだ。

やはり男性目線と女性目線ではタイプが違うのではと思い、いつも暇そうにフラリとブラック邸に現れるトレイヴォンの意見を取り入れようと思っていたのだが、マスクウェルから直接プレゼントされた以上、もう必要なくなってしまった。


それにより「今日は気合いが違うわ!時間厳守で来てよね!あ、街に行く時の格好で来てよ!ただでさえ、レイはイケメンなんだから」と、口うるさく言っていたせいか申し訳ない気持ちになる。

実際、トレイヴォンは言われた通り時間を守り、服装も指定された通りだ。


いつも綺麗にまとめてある真っ赤な髪に銀色のメッシュの髪はボサっとして結えており、切長の銀色の瞳を眼鏡で隠している。


約束を破ってトレイヴォンを振り回してしまったことに罪悪感を感じていた。

三年間で後略対象者である彼ともすっかり仲良くなる。

今ではマスクウェルの護衛をしているトレイヴォンに様子を聞くのを必死に我慢しながらチラチラと視線を送っていると、トレイヴォンからマスクウェルの様子がどうだったのかを説明してくれる。


以前の表情は固く令嬢達から怖がられていたトレイヴォンだったが、ファビオラがいつも楽しげに話していたからか、誤解はあっという間に解けていき、トレイヴォンは婚約者がいないこともあり、今や王太子のマスクウェルを超えて凄まじい人気を放っている。

令嬢達が放っておかないそうで、よくファビオラのところに避難してくる。


しかしこれだけトレイヴォンと関わっているのにアリスと顔を合わせないのも不思議なところだ。

約束をしておいてこのままでは申し訳ないと思ったファビオラは、いいことを思いつく。



「なら、今から街に行きましょう!」


「はぁ!?」


「エマ、街娘風にお願い!」


「かしこまりました」



そうして予定通りにトレイヴォンと共に街に出かけることになった。

馬車の中でいつものように話していた。

隣にはエマが限りなく空気を薄くして座っている。



「さっきのドレスに合う髪飾りを探しに行こうと思うの!レイ、さっきわたくしのドレス姿を見たでしょう?マスクウェル殿下のドレスに合う髪飾りを選んでちょうだい!」


「マスクウェル殿下、マスクウェル殿下って、よく飽きないな」


「全然……!むしろ年々、好きが増していくの。不思議よねぇ」


「ふーん」


「どれだけ嫌われたって少しの希望に縋りたくなってしまう。たとえ自分が散るとわかっていても、最後まで側にいたい……まぁ、レイにはわからないかもしれないけど」


「いいや……わかる」


「え……?」



今日のトレイヴォンはいつになく大人っぽく思えた。

眉を寄せて困ったように笑ったトレイヴォンの笑みを見て、呆然としていると御者から声が掛かる。



「ビオラ、そろそろ行くぞ」


「…………」


「マスクウェル殿下のために頑張るんだろう?」


「も、もちろんよ!」



そう言ったトレイヴォンはいつもの彼と同じだった。

先程の言葉の意味を問おうとしても、何故かいつものように聞くことができなかった。

騎士として腕が確かなトレイヴォンと共に行動すれば護衛いらずだ。

いくら仲がいい友人とはいえ婚約者でもない令息と二人きりになるわけにもいかずに、エマにも同席してもらっている。

トレイヴォンとエマを連れて色々な店を巡った。



「わぁ……!ここの店可愛いっ」


「ビオラ、声でかい」


「レイ、見てみて!これ、コレっ!」


「見てる」


「マスクウェル殿下にこのピアス、とても似合いそうね。でもわたくしがプレゼントしたものを受け取ってくれるかしら。でもドレスの御礼をしたいし」


「……。喜ぶと思うぞ」


「ほっ、ほんとかしら!どうせならお揃いにしましょう!」



トレイヴォンの言葉を信じて、ファビオラはハートのピアスを購入する。

赤と黒のハートを半分ずつにできて、合わせるとひとつのハートになるというものだ。

調子に乗りすぎかとも思ったが、勢いで買ってしまった。

ファビオラは鼻息荒く興奮していた。

トレイヴォンは溜息を吐きながらも一緒についてきてくれる。

ふと、黒い石の飾りがついた髪紐が目に入る。



「これ、レイに似合うそうね!」


「髪紐か……?」


「そうそう!最近、髪が邪魔って言っていたでしょう?あ、そうだわ。今日のお詫びにこれ買ってあげるわね。ちょっと待ってて……!」


「あ、おい……!」



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