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13 変顔?いえ、お家芸です

本日も投稿しました。


 まぁ、“冬はつとめて”とは、よく言ったもので、清涼な朝の空気と東の山際からうっすらと射す朝日が心地いい。

だが、既に多くの人が慌ただしく廊下を早足で行き交う音が煩わしく思える。


『きっと、炭を配っているんだろうな。』

『枕草子って平安あるあるなんだね。』

『ところで清少納言って居るのかな?』


そんな『よしなしごと』を現実逃避のネタにしている私は、歩智。


それもこれも、静音ちゃんが朝からご立

腹なのだ。


「分かってるの?()!私たちのことはバレたらダメなの()!」


「いや。聞けばファーストコンタクトの時には半ばバレてたというか?」


「ふぁすこん?」


『いや、レトロな家庭用品ゲーム機じゃ無いからね。スーパーな配管工には、ドハマりしたけど。』


俺の鼻先の上にたって、両手を腰に私怒ってますの、ぽーず。


「ね。聞いてるの。此方を見なさい。」


俺は一所懸命に目を見開きそのまま目玉だけを目頭に寄せる。


何音()。ふざけてるの?()


『近いのだよ、貴女。』


絶賛ご立腹中の静音ちゃんに、そんなことは言えない。俺に出来ることは、必死で笑い必至の顔を作ることだけだ。


「ふっ、ふふ。」


笑いをこらえる美紅ちゃんが正面にいる。


そりゃ居るわな。ここ、律ちゃんの隣の部屋で護衛の控え室、つまり、彼女の仕事部屋だ。


「生活感はないが、中々いい部屋貰ってんだな」


「生活感が無いのは当たり前。ここは護衛の為の控えの間、そもそも身分の低い私の居間は宮中の外。ものを知らぬ、ぬいぐるみ。」


この部屋に移動して早々に馬鹿にされた。

『くっそ。』


「また、余所見してぇ。()。」


慌てて目を見開いて目玉を目頭に寄せる。


ニヤニヤと笑う美紅ちゃんの気配を感じて悔しさから、口がへの字に歪む。

俺の居た現代では無形文化遺産になってる有名なお家芸をイメージして必至に顔を作る。


「プッ、あはは。」


とうとう堪えきれなくなったようだ。

美紅ちゃんがお腹を抱えて笑う。


「貴女もこっちに来なさい()。」


「あの、えっと・・・遠りょ。」


「いいからこっちにくる()。」


美紅ちゃんは、果敢にも断ろうとしたようだが失敗に終わる。

静音ちゃんが美紅ちゃんの鼻の直前で浮かぶ。


「ほら、こっちみる()。話を聴くときは、相手をしっかりみる()基本音()。」


美紅ちゃんの目が見開いたまま中央による。


プフフ。


つい笑いを誘う


美紅ちゃんが俺を睨んだ。


「だから、こっちみる()。」


目線が逸れたことに静音ちゃんが咎める。

美紅ちゃんの目がまた中央によるが、今度は俺に笑われた悔しさからか口がへの字に歪む。


『あっ、お家芸だ。』


「先ずは歩智、貴方は律様を陰で護るのが導真様から賜った任務でしょ。夜中にあんなに大きな物音立てての大立ち回りどういうつもり()。私が結界張ってなかったら初日で任務失敗なんだから()。」


「えっと、それは。(導真様が何とかしてるだろうという確信を持っていたからで、とは言えない。)」


これは、長くなるかなと覚悟を決める。


「大きな音を立てるわ、なんか光るわ。ほんとに私が頑張った()。」


「人払いと消音の結界でも大変なのに、光るから目隠しの結界も()。」


『うん?』


「3つも同時結界張ったの()。もうくたくた()。」


そこで俺は気づく、さっきから静音ちゃんの“私頑張りました”アピールが凄いことに。


「そっ。そうだよ。ありがとう静音姐さん。やっぱり頼りになるなぁ。静音姐さんがいるから。これくらい大丈夫かな?って。さすが静音“ねぇさん”」


敢えて“ねぇさん”を強調する。


「こんなの簡単音()。やっぱり、私は頼りになる姐さん()。」


美紅ちゃんも気づいたようだ。


「えっと、静音ちゃん。いや静音姐さん。小さいのに凄いですね。」


「小さいは余計音()。」


「あっ、えっと。その」


いかん!直ぐに称賛を被せねば。


「静音姐さんは凄いなぁ。色んな術使えるだね。頼りになる大人だよね。」


「お・と・な・()。」


「そうそう、大人。」


「そう()。。私って大人なの()。」


露骨に機嫌が良くなる。


『やっぱり静音ちゃんは、愛すべきチョロインでお子ちゃまである。』


「美紅殿。居られますか。」


戸板の向こうから、やや歳を感じさせる女性の声が聞こえた。


「はい。こちらに。」


美紅ちゃんは、俺達を素早く部屋の隅にやり小さな屏風で隠し、戸をそっと開ける。

そこには、気難しそうな中年の女性が立っていた。


「程なく、律様のあさげの用意が整いますよ。はよう侍られませ。」


そう告げて特に部屋を確認もすることなくさっていった。

美紅は、さっと戸を閉め頭を抱えて思わず吠えた。


「あっ、ご飯!たべそこねた~。」


美紅ちゃんが朝食を食べ損なったショックに目を見開き口が大きくへの字に歪む。何故か見開いた目は、中央に寄っていた。


『よっ!成田屋!』



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