終わりは始まり
読んでくれる人がいてくれて大変うれしいです
これからも頑張っていこうと思いますのでよろしくお願いします
Every new beginning comes from some other beginning’s end
“あらゆる新たな始まりは、ほかの始まりの終わりから生じている”
ローマ帝国の哲学者セネカの言葉である。
始まりは終わりからしか生まれないということだ。
今希望がついえた自分には何かが始まってくれるのだろうか?
気づけば街灯のつき始めた通学路を歩いていた。
時間はちょうど20時を過ぎたぐらいだろうか。
Bio Aliasについての掲示板を確認したが予想通りkirariが単独トップを走っている。
開始から三時間以上たった今、1位をとれる可能性は0になったといってもいい。
なぜならkirariはイベント期間、一日一時間ほどしか睡眠をとっていない。
そして起きている間は無論スコアアタックをしている。
そのkirariと四時間ほどの差を開けてしまったのだ。
もはや属性云々の話ではなくなったとみるべきだろう…
しくじった!
まさか先生に呼び出されてしまうとは!!
このイベントで一位にはなれない…
この期間に俺は何をすべきなんだ?
新たなキャラのレベル上げか、スキル因子を集めるか?
いや、今の期間オンライン対戦は過疎化しているはずだ。
あまり豪華な報酬は望めない。
ならやはり10位以内を目指してイベントを走るか。
いや、どうせならこの期間は自身の成長に当てたい。
プレイングの練習はどうだ?
ただオンラインで強いプレイヤーと戦える望みは薄い…
となると…
行き先はもう決まった。
よし、まだ開いているな。
目の前にあるのはただの空き倉庫にしか見えないようなおんぼろな建物だ。
錆や蔦がより一層不気味さを醸し出している。
一応言っておくとここはゲームショップだ。
自分はここでBio Aliasや様々な名作ゲームを買ってきた。
そして今自分は全知全能のゲームスキルを身に着けるべく新たなゲームに挑戦する決意をした。
そのための高難易度ゲームを探しに来たのだ。
なぜもっと広くてきれいなゲームショップへ行かないのかと思う人もいるだろう。
それには明確なわけがある…
金だ!!!
ランカーとはいえ所詮は高校生、親にもらった小遣いでやりくりしている身だ。
定価で売っている店になんて行けるはずがないだろう。
それにこの店は決して品ぞろえが悪いということはない。
中古品がメインだが新品も少なからず扱っており、穴場として知られている店でもある。
実際に自分はためたお金で新品のBio Aliasを発売日に来て買ったのだ。
だが今回の狙いは傷ありだったりパッケージがなかったりするものが乱雑に入った安売りカートだ。
値段は千円以下とかなり手ごろである。
何が何でもいいゲームを見つけ出してやる!
ドアはもちろん自動ドアではなく引き戸だ。
建付けが悪く初見では開けるのに手こずるかもしれない。
だが常連となった今の自分にはこんなものはレベル1のゴブリン程度でしかない。
まずは右斜め上に30度くらいに持ち上げつつ引く。
そして三分の一程度引いたら次は下に音がするまで押す。
後は下向きの力を加えながらスライドすれば完全に開く。
ちなみにめんどくさいので出る時までドアは閉めない。
そして安売りカートを見つけ物色を始めた。
“ドラゴンの町長選挙”一昔前にはやっていたゲームだ。
たいていラスボスとして勇者と戦わされるドラゴンが町長になって法律を変えるゲームだ。
政見放送や決起集会が勇者たちに妨害されるがそれに打ち勝っていく展開が熱い!
だが難易度が甘めなので却下。
“勇者逮捕物語”これは難易度としてはかなり高い方だ。
だが難易度のベクトルが違う。
このゲームは勇者が魔王を倒す“勇者物語”の続編として同じ作者に作られた。
魔王を倒した勇者が金におぼれ悪事を働くこととなった世界が舞台だ。
警察は逮捕しようとするも魔王を倒した勲章と有能な弁護士により阻まれてしまう。
そしてプレイヤーが新米警察官として確固たる証拠をつかみ逮捕するというシナリオだ。
つまりバトル要素はないので却下。
うーん…なかなかいいのが見つからないな。
かれこれ二十分ほど探しただろうか?
おっこれはいいんじゃないか!
“real vs fantasy”
名前は聞いたことがないが見たところバトルゲームのようだ。
裏面には“現実世界を手に入れようとする異世界の王を倒し、君の世界を守り切れ!”
“超リアルなVR体験を味わえ!”などなどなかなか興味を惹かれる内容が書いてあった。
それに超リアルは言葉だけではないようで見たところグラフィックはかなりいい。
他にも難易度はかなり高いということをほのめかすような文章が書かれていた。
これが千円で買えるとは、買うしかないでしょ!
この時は浮かれすぎていて気付かなかった…
このゲームが一昨年のクソゲーオブザイヤーに輝いた素晴らしいゲームだったとは…
次の話からクソゲーやり始めていきます
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