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此処は何処、リアルを否定する

静まり返った部屋の中、冬眠カプセルのハッチがパシュゥゥゥーと音を立てゆっくり開く、部屋は寒く吐く息が白い。

徐々に覚醒する意識と感覚そして覚束無い記憶。

『あれ?確か死んだ筈』

と独り言を呟いて惚けていると其処に影が近付く。

(子規さんお目覚めですか?)

艦内アンドロイドが囁く。

(子規さん桜がブリッジでお呼びです、用意ができ次第至急ブリッジへお願いします。)

どうやら此処は艦内で、あの世では無いらしい。

そそくさと着替えて、ブリッジに向かう。長い通路を歩く、途中から艦内空調が作動したのか暖かくなって寒さに震える事も無くなった。

一体全体何がどうなっているあの時、飛鳥IIIは重力磁場に確かに飲まれたはず助かるはずない。なのにこうして生きている。

自問自答を繰り返しながらブリッジの扉を潜ると、そこにはメインモニターいっぱいに周辺宙域図と2つの衛星を従えた青い惑星が映る。


(子規さん目覚めて早々にお呼び立てて恐縮ですが、どうしても至急に状況説明と現場報告をしなくてはならなくて誠にすみません。)


『桜、気にしなくて良い。で、此のモニターに映る星は?当然地球じゃないよね。』


(ハイ、この星系と周りの銀河集団等の位置から推測して、一番可能性のある結果は、地球からペルセウス座方向に2億3200万光年離れたルービン銀河星団と推測されます。)


『2億3…馬鹿な有り得るかそんな事‼︎』


(あの重力磁場が一種のワームホールだと仮定して時空と空間を飛び越え、この宙域に飛ばされた結果ではないかと思います。)


突拍子もない桜の回答に目眩を覚えながらも、今する事を思考する。

探査機を送り込み大気成分の解析、細菌や生命体の探索等の考えを自分なり頭の中で纏めて行く。


『桜、惑星の調査を最優先事項、探査機投入』

(了解、探査機射出、20分後にデータ来ます)


たった20分が異様に長く感じる、モニターに映る2つの衛星を持つ惑星を睨みつけたままデータが送られて来るのをひたすら待った。

(データ解析モニター出します。)

質量地球比1.2倍 窒素78 酸素20.9 アルゴン0.93 二酸化炭素0.04 大気圧、地球と同等

陸3海7の海洋惑星


(人類に酷似した生命体多数確認。)


モニターにアップされる銀髪以外には人類となんら変わらない人々が中世時代風景さながらの腰に剣を帯刀し、甲冑を纏った姿。


『そんな馬鹿な!!!そんな偶然有り得ない!!!』


あり得ない、あり得ない、あり得ない、そんな偶然有ってたまるか、頭の中を言葉がリフレインする。


『桜、惑星軌道上に衛星ありったけ、ばら撒け』

(了解、衛星射出)


『惑星探索隊を出せ!先方アンドロイド小隊、大陸中央に探査艇降ろせ!降下してベース構築、安全が確保でき次第、俺も降りる。』

(危険です!推奨出来ません)

『命令だ‼︎パワードスーツ着用、現地で破棄しても良い様に兵装は2020年頃の火薬銃装備、ナイフだけは超振動ブレードで行く』


(降下艇発艦、先発隊大気圏突入、潜入先大陸中央、無線モニター共に暫く途絶します。)


長い長い沈黙、1分1秒が異様に長く感じる。手の腹には手汗が滲み口が緊張の余りカラカラに渇く。





(モニター回復、映像出ます!)


すると、其処には、緑の枝を蓄えた木々がそして、透明度の高い清流写し出され、彼方の集落からは竈門の煙らしき物が映しだされた。

確かに命の痕跡、人々の暮らしが見える。

モニター越しには、まるで地球の風景が其処に有った。


それでも納得できない、実際この目で確かめる迄信じられない、信じられるわけが無い、此処が2億3200万光年の宇宙の彼方で目の前の星が地球じゃなくて、しかも人が住んで居るなんて‼︎



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