大きなノッポの
ある日の朝。
四階のアパートの窓から、この曲が聞こえてきた。
「大きなノッポの古時計、おじいさんの~」
僕は、(?)と、不思議に思い、ベランダから顔を出して外を見た。
白髪の老人が、ロープで足から肩の所までぐるぐると結び付けられ、五階建てのアパートのベランダから吊り下げられている。
あのままで叩かれたのか、ロープもろとも血だらけだ。
まったく………動かない。
(死んでいるかもしれない)
真っ黒な人影が、その死体を下に降ろしては、ガッと右肩に背負った。
そして、町の中心にそびえ立つ時計台に上ったかと思うと、長針にその死体を合わせようとしている。
(なぜ、そういうことをするんだろう?)
了