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3


「凄い…」


三浦君に見送られ、自分がいた場所を見て驚いた。

豪邸。そう言ってもいいと思う。


「口が開いてるぞ」


慌てて手を口に当てたけれど口は開いていなかった。


「愁の家は隣の病院を経営している。ホラ」


ズボっとヘルメットを私に被せた。

宮野君は毒舌なだけでなく、女の子の扱いも雑かもしれない。


「乗れよ」


「…これ?」


こんなに大きなバイクに乗ったこと無い。

戸惑っていると宮野君は私の脇腹に手をかけた。


「え!?キャ!!」


「騒ぐな。乗れないお前が悪い!」


ストン。とバイクの後ろに乗せられ、宮野君は自分もバイクに乗った。


「掴まってろよ」


ヘルメットを被るとエンジンをかけてバイクを走らせた。


「ヒャア!!」


「落ちるぞバカ!」


「イヤあぁ!」


慌てて宮野君にしがみついた。

イケメンは背中も引き締まっていた。




「意外に近くに住んでたんだな」


ヘルメットを外して彼に渡すと、彼は辺りを見回していた。


「ありがとう」


バイクから降りようとしたけれど、足が短いからか地面に届かなかった。


「…どんくさいな」


「ヒャア!」


脇の下に手をかけられ、また変な声が出てしまった。

そこ、弱いからやめて欲しい。


地面に降ろしてもらい、改めて宮野君に頭を下げた。


「本当にありがとうございました。借りた服は今度返しに行きます」


「シャツ一枚だろ?別に気にしなくていい」


「助けてもらって何もお礼しないなんて!」


面倒そうに髪をかきあげるその姿に思わず見とれてしまった。

整った顔立ちをしているけど、それだけじゃない。この色気…


「千尋?」


声をかけられて振り返ると松田先輩がいた。


「先輩…」


「結構酔ってたから心配して来たみたけど…それ、誰?」


眉を吊り上げて怒っている先輩を見て、気持ちがどんどん冷えていくのが分かった。


「男に送られて朝帰り…」


違う。と言う気持ちにはなれなかった。


「おまえはそういう女だったんだな!」


「だったら、なんだよ?」


ぐっと肩を引き寄せられると宮野君の綺麗な顔が頬に触れた。


「あんた、千尋さんとどういう関係?」


宮野君が挑発すると、先輩はポカン、と口を開けた。


「…オレは千尋と「酔った千尋さんを送らなかった理由は?」


畳み掛けるように聞く宮野君を先輩は睨むように見ていた。


「あんたが放置したおかげで、オレに助けてって連絡もらえてよかったけどな」


チュッ、と頬にキスをした。


「と、宮野君?」


何も言わずに松田先輩は帰っていった。



「やり過ぎたか?」


私の部屋でコーヒーを飲みながら宮野君は聞いた。


「びっくりしたけど、ありがとう。これ以上惨めにならなくて済んだわ」


あれは宮野君の優しさだ。


「何かあったら教えろよ。始末をつけてやる」


「始末なんて…大袈裟よ。先輩は学部も違うし」


「どこの大学?」


大学名の学部を言うと、宮野君はフッと笑った。


「あんたが保育士の学科?子供の面倒みれるのかよ」


「ちゃんと一人暮らしだってしてます」


「くだらねぇ男には捕まったろ」


何も言えない…

ぐっと黙っていると、宮野君はニヤリと笑った。


「年上だけど危なっかしいな」


笑顔も綺麗なのね…


「サークルも辞める」


「何のサークル?」


「旅行」


「インカレ?それってヤリサーだろ」


そういう噂があるのは知ってる。

でも、皆優しいし違うと思ってた。


「松田先輩にはもう会わない。宮野君、色々ありがとう」


「スマホ貸して」


私からスマホを取ると操作をしていた。


「挑発したのはオレだ。何かあったら絶対に言えよ」


口は悪いけど優しい人ね


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