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秋桜 葵と千尋の出会いのお話です。


「岡本さん資材の整理、よろしくお願いします」


「ハイ」


アルバイト先のパティスリーで持ち帰り用のケーキを入れる箱の束を受け取った。


「いらっしゃいませ、お持ち帰りですか?店内でお召し上がりですか?」


店に入ってきた高校生に声をかけると、男子高校生がニコリと笑った。


「店内で」


学校帰りにデート?

楽しそう。青春よね…


ホール係に二人を案内するようにお願いして、店の奥へと下がった。


「あの子、今日は東青のコと来たわね」


「この前は同じ学校のコと一緒に来たわよ」


店の奥ではコソコソと噂話に花が咲いていた。


噂の主は時々来る女子生徒。

彼女はいつも、男の子と一緒に店に来る。


東青学院という偏差値Sランク高校の生徒と自分が通う同じく偏差値Sランクの高校の生徒。

どちらの男子生徒もイケメン。女子生徒本人も美少女。


「あの彼って東青学院の生徒会副会長だって聞いたわ」


大学生のアルバイト達は年下のイケメンを見ながらキャッキャとはしゃいでいた。

彼女達を見ていると、天は二物以上を与えるんだと世の中は不公平だと感じてしまう。






「すごいな、ウチの学部の偏差値の倍だよ」


今日のバイトでの出来事を話すと、松田先輩は呑気に笑っていた。


「先輩、次のサークルの集まりは出席するんですか?」


バイト帰りに迎えに来てくれて、一人暮らしをしている私の部屋へ来た。

一緒に買ってきたご飯を食べて求められるままに体を重ねる。


「多分」


こういう時は出席しないことが多い。

先輩は気紛れな人だというのが最近分かった。




「岡本、サークルに出るの?」


「うん、これから行くよ」


同じ学部の男子と一緒にサークルに使っている部屋へ向かうと、次の旅行について聞かれた。


「次の名古屋、岡本も行く?」


「考え中」


松田先輩はどうするんだろう?

先輩に行きますか?って聞いたら、「多分」っていう答えが返ってくるような気がする。


「あ、松田先輩だ」


彼が指す方を見ると、先輩が中庭にあるガゼボで誰かと話していた。

見かける度に誰かが傍にいる。今日も髪を綺麗に巻いた学生と楽しそうに話している。


「松田先輩の周りってキラキラしている人が集まるよな」


「…そうだね」


松田先輩は同じ大学のサークルで、人当たりが良くてみんなから人気がある。

そんな先輩から声をかけられて親しくなれたときは嬉しかった。


好きだよ。その言葉をもらってとても嬉しかった。


バイトが終わると迎えに来てくれることがある。

そんな時は大抵セックスがしたいから…求められるままに応じてしまう私も悪いけれど、断れなかった。


つきあっていると思っているのは自分だけかもしれないと最近思う。




「おっかもとー!飲んでるか!?」


「ハイ!」


飲んでるか?と聞かれてウーロン茶が入ったグラスを掲げて元気よく返事をした。

私が未成年だっていうこと、皆が忘れている。

適当に話を合わせて、愛想笑いをしてこの場をやり過ごす。

このサークルに入ってから何回同じ飲み会を過ごしたんだろう?


大学生ってもっと楽しいと思ってた。


「岡本ちゃん、サークル楽しい?」


女の先輩に声をかけられてその人が昼間に松田先輩と一緒にいた人だと気づいた。

遠目でも思ったけど、近くで見るとキラキラしていて綺麗。


「あれ?これ、ウーロン茶じゃない?」


綺麗な先輩にお酒を飲んでいないことを見つかってしまった。


「これなら飲みやすいよ」


グラスを渡してニコリと笑う先輩の後ろから松田先輩が顔を出した。


「おまえ、千尋に酒飲ませるなよ?」


「なによ、純也ってば真面目?」


呼び捨てにする仲なんだ…


「千尋、飲まなくていいからな。…おい、千尋?」


イライラしてグラスを口につけた。


…甘くて美味しい。


「千尋?大丈夫か」


「大丈夫です。お酒位飲めますから」


どうしてこんなにイラつくんだろう…

グラスを煽り、緑色のカクテルを飲み干した。






「おい、あんた大丈夫か?」


「こんなところで寝てると襲われちゃうよ?」


クラクラする。でもふわふわしていて気持ちいい…


「へい、き…」


「だから、寝るなって…おい、寝るな!」


うるさ…



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