ギルドの洗礼3
ディーン「さて、君はドム君に勝ったわけだが、だからと言って最初からS級の冒険者になれるわけではないんだぁ。
実績や名誉、それらによってS級へとランクアップできるのでねぇ。
ということで君は、A級の冒険者で登録をさせてもらうよぉ。
ちなみに君が討伐したキングウルフ、あれはS級魔獣に値するからねぇ。」
あれがS級!?
俺って、この世界じゃかなり強いんじゃないか?
ディーン「普通のワーウルフならA級の魔獣なんだけど、取り巻きの魔獣を従える知能を持っていると、階級が変わるんだよねぇ。」
なるほど。
やっぱりあれはワーウルフだったのか。
歩成は、静かに首を大げさに縦に振り納得した。
「そういうことならわかった。」
正直納得のいかないところだが、そういうことなら仕方ない。
それに、とりあえず必要なのは身分が証明できる道具であって、ランクなんてよくわからないし必要ない。
冒険者になれるならなんでもいい。
ディーン「ただ一つ問題があるんだよねぇ。君の職業についてなんだけどぉ…。」
「何が問題なんだ?」
ディーン「君に該当する職業がねぇ。はっきり言って無いんだよねぇ。」
無いって、なんで無いんだ?
そんなのいくらでもあるだろう。
ディーン「君、魔法が使えないんだろぉ?そんな事例が今まで一度もないからねぇ。
魔闘士でも、魔剣士でもないしさぁ…。さて、どうしたものかねぇ。」
「魔法が使えないって、そんなに珍しいのか?」
ディーン「う〜ん。そもそも魔法って誰でも使えるはずなんだよぉ。
強弱はあれど、全く使えないなんて、聞いたことがないねぇ。」
「じゃあ俺、冒険者になれないってこと?」
ディーン「そんなことはないよぉ?
この際新しく作ってしまおうと思っているんだけど、何がいいのかなぁ?」
「なら、武闘剣士ってのはどうだ?一応剣も使うつもりなんだ。」
ディーン「なるほどねぇ。それでいいよぉ。ただ君、その職業は他の人には隠しておいたほうがいいとだけ忠告しておくねぇ。」
なんで隠しておかなきゃいけないんだ?
まぁそんなことはどうでもいいか。
とりあえず、冒険者にはなれるんだもんな。
ディーン「それじゃあ、この内容で登録するねぇ。」
その後、歩成はギルドカードを受け取って正式に冒険者となった。
宿に戻り、また剣を降った。
特に何もなかったので街を見て回ったり、食事をとったりと空いた時間を適当に潰した。
ドムは、あのあとクエストを受注して魔獣の討伐に出ていたことは、街で歩いていた他の冒険者が話していた。
歩成は、しっかりと睡眠をとり次の日城門へとむかった。