最初の冒険3
薄暗い森の先に光が見えた。
かなり歩いたが、道中は特に何も襲ってはこなかった。もっと探索してみたい気持ちもあったが、引きずっているこの荷物と、この世界の人間に会ってみたいという高揚が、急ぎ足で森を抜けさせた。
無事に、というか何事もなく森を抜け、その先に広がっていたのは。
「すげぇ...。」
ぽかんと口を開け、その言葉しか出てこない。
かなり大きな都市だ。
真ん中に大きな城、を中心に四方に伸びる大きな通り。
ぐるっと囲むように大きな壁が建設されている。
まさに異世界建築。
俺はワーウルフを担いで引きずり、道の先にある、大きな門まで歩いた。
すると、なぜか門は勝手に開き、俺は特に何もすることなく、中に入ることができた。
「人だ。 人がいる。」
入ってすぐにまっすぐ城まで伸びる大通り。
ここは城下町か。
人が溢れかえるようにいる。
賑わっていて、少し先の方では、特に騒がしい。
何もわからないおれからみても、ここいい街だ。
が、なぜだろう…。
みんなが俺を見ている…。
てか、若干引いてる?
あ、こいつのせいか。
ワーウルフを引きずって門をくぐったんだ。
普通にやばいやつだ。
けど仕方がないじゃないか。
こっちだって何もわからない世界に急に飛ばされて、生きるのに必死だ。持ち運びの手段なんて、これ以外ない。
遠くの方から鎧を着た兵士の集団が、大通りの真ん中を歩いている。民間の人は、邪魔にならないように、そそくさと道を開けた。
「あれ、こっちに向かってるなぁ。」
鎧を着た兵士を、数人引き連れてやってきた1人の男が、俺の前に立つと、後ろのワーウルフをちらりと覗いて、
男「こいつは貴様がやったのか?」
「えぇ。まぁ。森を抜けようと思ったら襲われたので。」
男「なるほど、ついてこい。」
言われるがまま俺は、その男についていった。
溢れかえるようにいた人は、まるで全員が、男の向かっている先を分かっているかのようにまた道を開け、その先に見えたのは、半壊した家?だった。
あと、なんか見覚えのあるのがいる…。
男「貴様はこのルインウルフに見覚えがあるな。」
この狼はルインウルフっていうのか。
多分、あの時吹き飛ばした狼だ。
あれ…?まさか……。
男「こいつは森の方角から飛んできて、この店に直撃したそうだ。」
「えっと…。つまり?」
男「貴様を器物損壊罪で捕らえる!!!」