13.呪い。
───世界の果て、暗黒大陸にて。
「これで、最後だ!!」
俺は光の剣を振りかぶり、邪神の胸深くに突き立てた。
「hamoeilifuehifauhh!!」
この世のものとは思えない断末魔を上げ、ついにこの世界の邪悪たる神は灰となって消え伏せる。
「やった!やったぞ!」
「ついに……ついに我が国の民にかけられた呪いが解ける!」
「勇者様……ありがとうございました!!」
国から派遣された、仲間の騎士達が歓喜の声を上げる。
「俺達の……人間の勝利だ!!」
その声に答え、俺は邪神を貫いた剣を天に突き上げ、勝鬨を上げた。
俺が勇者として召喚されてから早10年。
遥か昔、ヒトの力を恐れた邪神がかけた『弱体化』の呪い。
邪神を倒し、この世界の人々にかけられた呪いを解く。その戦いに今、終止符が打たれたのだ。
──────────
───数か月後。
ようやく王都に凱旋した俺達を、国中の民は歓迎した。
王女の待つお城への参道は人で埋め尽くされ、どこからともなく賑やかな楽器の演奏まで聞こえてくる。
拍手とともに、綺麗な色とりどりの花束を抱えた町娘が現れ、祝福の言葉をかけてくれた。
この国を救ったという実感が胸にジワリと生まれ、思わず顔を綻ばす。
お城の前までやってくると、部下を連れた王女が俺を待っていた。
「ありがとうございました!勇者様。あなたのお陰で我が国の民は救われます!」
王女がそう言った瞬間、
───バサッ
王女の背中から、大きな黒い翼が現れた。
「な!?」
王女の流れる麦穂のように美しかった金髪が漆黒に染まり、白磁のような肌が血の紅に染まっていく。
頭から山羊のように捻じ曲がった二本の角が伸び、禍々しいオーラが周囲を威圧する。
こちらを見る瞳は縦に割れ、まるで爬虫類のように鋭く光っていて……。
「ようやくあの忌々しい神が我々にかけた呪いが解かれました!これでアクマ族がこの世界を支配するという夢を果たす事が出来るのです!」
邪神➨悪魔にとって。
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