小説家さんとぷろれすようじょ【読みきりお試し版】
俺は売れない小説家……。毎日毎日、家に引きこもり小説を書いているわけだが……。
「うーん、書けない……はぁ」
いいネタが浮かばない。昔は書いているだけでも楽しかったものだが……。次から次にアイディアがあふれてきて……。
「もう、若くねぇのかなぁ」
そんなことを呟いていると、ぴんぽーんと間の抜けたインターホンの音が部屋の中に響いた。誰だ? 新聞の勧誘か? それとも宗教の勧誘か……。
とりあえず玄関に向かい覗き穴から見てみる……誰もいない。いたずらか?
ドンドンドンと扉が叩かれる。音が鳴っているのは腰辺りだ。子供?
とりあえず俺は玄関の扉を開けることにした。
「おじさん!」
そこにいたのはつぶらな瞳をした小さな……幼女だった。
「あ? え? 雨ちゃん?」
「おじさーん!」
幼女……おそらく姉夫婦の子供の雨ちゃんが飛びついてくる。俺は無意識に手を広げて迎え入れようとするが、腰に抱きついてきたかと思うと遠心力を利用して腰を抱いたまま後ろに回る……え?
そして、着地……右手は腰に掛かっている。左手は足に巻きつき……。そのまま持ち上げられる……これは!!
「バックぅ……ぐぁああ!」
俺は背中から叩きつけられる。ゴギリッ! と腰が鈍い音を立てる。
「おじさん。お久しぶり!」
俺にバックドロップをかましてくれた雨ちゃんは笑顔でこちらに手を伸ばしてくる……。
その手を取り俺が立ち上がろうとしたところで……。つぶらだった雨ちゃんの目が姉を思い出させる鋭い目をする。
そして腕が引かれ……俺より軽い雨ちゃんは俺を引っ張る力を利用して飛び上がり……お尻をこちらに向ける。
「ぶおっ!」
ヒップアタックだとぉおぉお!! コキコキと首の骨が子気味よい音を立てる。
俺は再度、床へと倒れ付す。そして下駄箱の上にのぼる雨ちゃん……後ろを向き……おい、嘘だろ?
「いくよ。おじさん。雨を受け止めて……」
まって、シリアスなシーンじゃない……死んじゃう。やめて!
俺の願いはむなしく……雨ちゃんは宙を舞うバク転しながら落ちてくる雨ちゃん……。
「おじさん……」
落ちてくる雨ちゃんは笑っていた。そして……ぶふぅううう!! 俺は腹にダメージを受け意識を落としたのだった。
書きたいから書いた……プロレス技って難しいって思いました! 特に幼女が使える技となると身長差がある程度あっても使えるとか、片膝をつかせるとかしないとなかなか難しいなと。
これがファンタジーなら魔法もありで浮かせたり魔法で補助したりと幅が広がる気はする。
幼女×プロレス×ファンタジー……。そういうのもありだな。