第4話 ジョブ検査
(やっぱ女は大嫌いだ。)と再確認したのであった。
離れていった女性は声を大きくして、遅くなったことを謝り、綺麗に並ぶように子供達にお願いし、
綺麗に並んだことを褒めたあと、自己紹介をする。
謙虚な姿勢で子供達には好印象を与えていた。
どうやら巨乳女は適正調査をしにきた遣いで、龍族のミリア。
続けてジョブ検査について説明をする。
今から名前を呼ばれたらミリアの前にいって10秒目を閉じる。
ジョブ検査は龍族にしかできないが、検査結果は鑑定士でないとわからないということ。
検査内容を紙に記すが、見た目は白紙なので間違えて捨てないように大事にすること。
失くさないように持ってかえって、親御さんに紙を渡してほしいという内容だった。
ようは、
10秒目を閉じたあと紙を渡すので紙をお母さんかお父さんに渡してね。
簡単だった。
「では始めます、ライム・ミン・トーマスさん、こちらへ。」
「はい。」
シロムに挨拶をしてくれた子だ。
さきほども感じたように心地の良い透明な声。
顔立ちは美少年って感じで将来はモテモテのイケメンだろう。
実際、今も女の子たちは目をハートにさせながらライムを見ている。
---ライム視点---
(見た目はどこにでもいるような地味な顔だし、背だって僕の方が大きい。
仲間に入りたそうにあたふたしたと思ったら、結局はなしかけられずに、
あきらめたせいか静かになってぼーっとしてたし、根性もなさそう。
でもなんだかか気になる。
自己紹介はできたけど、女の子達に邪魔されちゃって名前きけなかったなぁ。
検査で名前呼ぶから、名前をしっかり覚えて、もう1回挨拶してみよう。)
シロムの事をなぜかわからないが気になっていた。
「では始めます、ライム・ミン・トーマスさん、こちらへ。」
名前が呼ばれた。
返事をし、ミリアの前に行く。
(たしか10秒くらいで終わるって言ってよね。
ミリアさんの目はするどいけど、黒目の部分が大きくて、くっきり二重。
唇も小さいけど、下唇がぷりっとしててかわいい人だなぁ。
それに胸だって大きいし・・・。 )
目を閉じる。
ミリアがライムの頭に手を置いたときだった。
「ひゃっ?!」
手が頭から離れる。
お互いにびっくりしているのだが、声をあげたのはライム。
「ごめんなさい、頭を触らるのが苦手なんです・・・。」
ライムは感度が良く、感じやすい。
ミリアも頭に手を置くとびっくりする子は初めてではないし、
自身も頭を触られることに弱く(性的な意味で)、
手を置かないとジョブ検査が出来ないので我慢するようにお願いした。
そして改めて、ミリアの右手がライムの頭に、左手は紙の上に置かれた。
(あたたかい。気持ちよくなって力が入らない。)
ライムの頬が赤くなりはじめていた。
どころではない、下腹部辺りがムズムズして足の力が抜けてきた。
(どうしよう。おトイレにもいきたくなっちゃった。)
---ミリア視点---
(シーズ村は40人くらいだからいいけど、
次に行く『キーリ街』はきついわよ・・・。
キーリ村の2000人の子供達を私一人でさばけって、何考えてるのよ。
いくら私が優秀だからといっても限度があるし。)
ミリアは次の街での仕事のことで頭を抱えていた。
ジョブ検査は無限に出来るわけではなく、
たとえば人族が200mを全力疾走する、これが検査1人に使うエネルギーに近いといえば想像つきやすいだろう。
1人検査するのに莫大な魔力が消費される。
だから1日にできる回数には限度があるのだが、
ミリアは特別で『限界突破・魔』という魔法能力、魔法威力、魔力といった、
魔法に関するすべてが向上するレアステータスを持っている。
おかげで歴代最強の龍族だと言われるほど。
しかし、しかし、しかし、
それに反比例するかのように、
頭がとても、とても、とても、弱い。龍族なのに。
自覚もしている。
だから今は王宮で働き、今は検査員をして生活をしている。
通常10秒ほどで終わるのだが、20秒を経過したくらいだった。
ライムの顔が赤くなり、息が荒くなって、足が震えていた。
姿勢は少し前かがみのような状態で、さきほどとは様子が全然違う。
(感じすぎでしょ。早く終わらせないとまずいことになりそうだけど、そろそろ終わるわね。)
レアジョブを持っているせいで終わるまでに時間がかかっていたが、
心配していると終わった。
急いで部屋を出るライムを見送って次の子の名前を呼んだ。
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余談ですがライム立っていた場所は水を5滴たらしたような跡があったが誰も気付かないまま乾いてしまったそうですよ。