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第3話 ライムとハエとおっぱいと。

「ジョブ調査をします。対象者は速やかに決められた場所に集合してください。」


ほら、噂をすればシーズ村にアナウンスが流れた。

このアナウンス、実は獣族が魔力に声を乗せ、村にいる全員が聞こえるように獣族が伝えている。

全員が聞こえるような声だからといって大きい声ではない。魔力にのせてるから、魔法範囲にいる人へ届いているだけだ。

これは獣族ならではのスキルで、声の届く範囲は魔力の大きさできまる。

平均は半径10メートルくらいなので、この声の持ち主は村全体を範囲にできる魔力の持ち主ということになる。


さてさて、

この合図ともとれるアナウンスに大人たちは子供達を誘導し、6歳になる子、6歳の子、大きな部屋に集められる。

みたところ40人ほどいる。集められた部屋の中にはどうやら大人は居ないようだ。

部屋の様子は真っ白い空間みたいな感じ。

子供達は机も椅子も何もないので、座ってる子、立っている子がグループを作り、

お互いに自己紹介しあっている。


もちろんその中にシロムもいる。

ひどく緊張もしているせいで、ほかの子のように仲良くなりたいのに自己紹介に切り出せずにいた。

その光景をぼーっとみていると、1人の子共が近づいてきた。


「僕の名前はライム・ミン・トーマスです。あなたの名前は?」


白くて丸い大きな帽子、目がくりっとしてきれいな二重、髪の毛は帽子の中に隠れていて、

獣族特有の尖った耳がはっきり見え、透きとおるような心に残る綺麗な声で自己紹介をされていた。


その子が笑顔でシロムに話しかけてきていた。

どうやら友達がほしいオーラを出していたみたいで、ライムがそれに気付いてくれたようだ。


もちろん挨拶を返す。

「ありがとう。ライムくんだね。僕の名前はシロ・・・」


その時である。

ライムの周りに女の子が集まりシロムの言葉はさえぎられた。。

ちょっと酷いがその光景はまるでウ○コに群がるハエのような。


「女嫌い。」


せっかく友達が出来るかと思っていたのに、シロムは肩を落とし、その光景に背を向ける。


すると目の前にやわらかい感触の、体温を感じるような、気持ちの良いものにぶつかる。

「お尻・・・・?」


見上げる。

お尻の上から肩、首、顔がある。

お尻と間違えたそれはお母さんよりも大きい胸肉だった。

それは、つまり、おっぱいだった。

鋭い目でシロムを見ているわけだが。

鋭い目とはとても似つかわしくない小さい鼻と唇のせいか怖いような感じは一切なく、安心と暖かさまで感じ取れる。

肌はきめの細かいヤスリで磨いたようにきれい。

数秒だが、気付かないうちにシロムはおっぱい・・・ではなく、その女性にみとれていた。

瞳にはシロムが映っていてどんどん大きくなる、顔が近づいてきたからだ。

鼻と鼻がぶつかりそうになると


「私は男が大嫌い。」


その女性は離れて行った。


(やっぱ女は大嫌いだ。)と再確認した。

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