表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

第八話《裏切》

「へぇ、倒したんですか」

呪払は、どうでもよさそうにそう言った。

「ん? そこは喜ぶべきじゃないのか?」

俺はそう言って首を傾けた。

「いや、なんていうか……愚かだなぁと思いまして」

「愚か?」

「なんでもないですよ。さて、私は少し出かけてきます。あ、その間鱗目さんとアムッカーズの残党達を倒しておいて下さいね」

「ん、あぁ、わかったよ」


これが、五代能力者最強最後の敵を倒してから少し経ったころの会話だった。



……




それ以降、呪払との会話は少なくなり、鱗目さんと、アムッカーズの残党狩りをして、気づけば一ヶ月が過ぎていた。



……




「ねぇ、目的」

鱗目さん……いや、未幸はそう言って俺の方を向いた。

「ん? 何ですか。未幸」

僕はそう言って、未幸に返事をした。

「君、普通になったよね」

「普通? どういう意味ですか?」

「ううん、何でもないよ。そっちの方が好都合だ」

「うん?」



……



そこからさらに一ヶ月。町の中にいる人物を全員殺した。

つまり、アムッカーズを壊滅させたのだ。



……



「さて、作戦は次の段階っすよ。霧笹」

龍円寺君は僕にそう言ってパソコンの画面を見せた。

「ん? 全人類虐殺計画?」

何だこれ? しょうもない映画のタイトルか何かか? 全人類を虐殺って無理ありすぎるだろ。

「そう、全人類虐殺計画。とりあえず強力な能力者が多数いた俺らの邪魔者であるアムッカーズは倒したし、まぁ余裕っすけどね」

「は?」

どういう意味だ?

アムッカーズは能力を悪用する組織じゃなかったのか?

強力な能力者が多数いる邪魔者?

もしかして、嘘だったのか?

全てが?

こいつら黒雲は、全人類を虐殺するためだけにこの町の住人、つまりアムッカーズを殺していたというのか?

ならむしろ、アムッカーズは、五代能力者は、全人類虐殺計画を阻止する為の、組織だったということなのか?

ってことは俺のしたことは…………。

「それでー、霧笹ー。お前、もちろん手伝ってくれるっすよねぇ」

「ば、馬鹿をいうな! 全人類虐殺なんておかしいだろ!」

「ははっ、そうっすかぁ……」

「あぁ、そうだ」

「なら死んでくれっす」




……



脳内操作(ジャッジ)。これが俺の能力っす」

「くっ、あ」

俺は自分を刺そうとしていた。

自殺である。

「そろそろ俺の能力、わかってもらえったすかねぇ? 脳内を操作し、どんな命令でも聞かせる能力っす。まぁ、あんたはギリギリ耐えてるみたいっすけど」

「は、ははっ。脳内を操作は流石に反則だろ……」

「そろそろ死んでくれないっすか?」

「う、あぁ」

ナイフを持った自分の手が段々と近づく。

「早く早く早く死ねっす」

「く、ううぅ…………まぁ、効いてないけどね」

「は?」

そう、俺には効かない。

こんなもの効かない。

脳内を操作するなんて異能は効かないのだ。

「さぁて、どうやって殺そうかなっと」

「や、やめろっす! 俺を殺さないで欲しいっす」

「ははっ、そんな訳にはいかない」

なぜならーー。

「俺は殺人鬼だから」

そう言って俺はナイフを構える。


刺して

終了だ。


刺終(キリ)式!

これが俺の技能。


「あ、あうあ、あぁ。まだ、終わっていないゾオォォォ。鱗目さんなら…………鱗目さんならぁ…………てめえをぜってぇに殺せる………………っす」

血を口から吐き出し、つまり吐血し、龍門寺は死んだ。



「モブキャラみてえな登場頻度の癖に調子のってんじゃねえよ」

俺は吐き捨てるようにそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ