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第五話《血肉》

「あぁー。疲れたー! らいらいちゃん肩もんでーMonday月曜日!」


「一日で地獄落としと時空切りを殺して帰ってくるとは……」


「あ? 余裕だろ。あんなん。何が五代能力者だよ」


「ふーむ、五代能力者も後二人……明日にでも終わってしまいそうですね」


「うえー。またあいつらとやんの? 余裕だけど疲れんだよ。あいつら」


「へぇ? 怖いんですか?」


「余裕だって言ってんだろうが!」


「へぇ……」


「はっ、そんな安い挑発に乗るかよ。俺は明日は適当な奴しか殺さねえからな」


「ふーん、以外と冷静ですね。挑発すれば乗ってくるタイプだと思ってました」


「俺は頭は切れるんだよ。高校の偏差値も割と高いんだぜ?」


「へえーーー」


「なんだよ! 俺が高学歴じゃおかしいかよ!」


「相当おかしいですね。腹筋が割れちゃいます」


「こ、こいつ……本気でいつか殺す」


「あ、そういえば! 明後日、海に行くことになってるんですが貴方も来ますか?」


「あ? 誰がいんの?」


「そんなの黒雲(ブラックライド)のメンバー達とに決まってるじゃないですか」


「俺たち以外にいたのか⁉︎」


「当たり前でしょ」


「全然登場してねえじゃねえか」


「そりゃあ貴方が殆ど人殺してて外にいるからでしょ」


「そりゃあそうだ」


「それで来るんですか?」


「んー。友達連れて来ていいか?」


「え? アムッカーズの人じゃないですよね」


「あったりまえだろ? さて、寝ようぜ」

言って俺は布団に潜り込んだ。



……



「朝だー!」


「朝からテンション高いですね。霧笹(きりざさ)君。」


「そりゃあそうだろ? 朝からテンション上げていかねえとやる気でねえじゃん?」


「ふーん」


「さーて、と! じゃあ行ってくる」


「朝からですか⁉︎」


「うん。今日のノルマは五千人だ!」


「えぇ……。きついんじゃないです? 流石に」


「いいんだよっ! きついくらいが萌えるんだよ! っと燃えるんだよ!」


「はぁ……。そうですか。じゃあ頑張って来て下さい」


「うぃーっ!」



……



「ただいまー! らいらいちゃん疲れたー! 膝枕してー!」


「嫌です」


「そんなこと言わないでさー」


「それで? 今日は何人でしたか?」


「六千人」


「千人追加されてるじゃないですか⁉︎」


「目標プラス千人くらいで丁度いいんだよ」


「そ、そうですか」


「明日の海に備えて寝やがんぜえええ!」

そして、俺は布団に潜り込んだ。



……



俺は今、海に向かっている。

車に乗って、とある海へと向かっている。

車に揺られながら見る風景は、とても綺麗で、俺の心を癒してくれた。

天気は晴々とした晴れで、雲一つない良い天気である。

真っ赤に燃え盛る太陽が少し痛いくらいだ。

まぁ、だがそれも海というか夏の醍醐味だなぁと、俺は思う。

そういえば、初めて海に来た時はワクワクしたものだ。あの日もこんな風な天気で、家族みんなで楽しく車で向かったのだ。

今みたいに友達や、同僚との海も楽しいが、やはり家族と行くというのは良い思い出になるもので、俺の心の中に今でも残っている。

「霧笹君はどう思う?」

ん? いつの間にか話を振られていたようだ。

「あ、すまないね? なんの話だったかな?」

「えー。しっかり聞いてよー!」

「ごめんごめん。鱗目(うろこめ)さん」

鱗目 未幸(みさち)。俺がいる組織、黒雲のメンバーの一人、綺麗な黒髪の女性で、年齢は俺と同じである。因みに俺の好みど真ん中を貫くくらい可愛い。今朝、彼女を呪払に紹介されてから、俺のテンションは相当おかしいことになっているけれど、その辺は特に気にしなくてもいい。

「もう! 仕方ないなー。霧笹君は! えーっとね? 目玉焼きに何をかけるか! って話なんだけど」

定番かよ! でもそれも可愛い。

「うーん、僕は塩胡椒かな?」

「えー! 普通!」

「ははっ、ごめんね。少しつまらなかったかな?」

「別にいいよー!」

優しいし。本当に可愛い。

「鱗目さんは何をかけるの?」

「何にもかけないよー!」

「え⁉︎ それは相当変わってるね」

その後も、鱗目さんや、その他黒雲のメンバーやらと楽しく話し、気づけばもう海まで後数メートルというところだった。

その辺でもうみんなはワクワクとし始め、いそいそと準備を始め出す。

特に準備の無い俺は、再び風景を見て、鱗目さんについて考えつつ、少し笑った。



……



「海だああああああ!」

叫んだのは明伊 木井子(あきらい きいこ)。茶髪でショートカットの少し派手な女性。年齢は俺より上で、二十歳。今回、車の運転をしていたのもこの人である。

今朝、会った時からとてもテンションが高くてびっくりした。

「少し声デカイっす。うるさいっす。明伊さん」

っすっす言ってるのは龍円寺 伏楼(りゅうえんじふくろう)。ちょっと髪の長い男。年齢は俺より下で、まだ中学生らしいけれど、機械、特にコンピューター系ならば、天才的な能力を発揮するらしい。

「まぁまぁ、いいじゃないですか。龍円寺君。せっかく海に来たんですから」

特に説明する必要はないだろうが、今、龍円寺にそう言ったのは呪払(じゅばらい)。下の名前は葉来(はらい)だったと思うけれども、俺は基本的にらいらいちゃんと呼んでいる。

「とりあえず早く海に入ろー」

今話したのは鱗目さん。鱗目 未幸さん。黒髪の綺麗な女性で、年齢は俺と同じである。

好きな色はピンクで何とも可愛らしい。

好きな食べ物はマカロンでとても可愛らしい。

好きな事は料理でとても家庭的、後可愛い。

目玉焼きには何もかけず、味噌汁にはネギを必ずいれる。

頭も良いし、運動も出来る。

一人暮らし。サンタクロースを中学二年生まで信じていた。

幽霊が怖いとかで未だに一人で寝られない。

趣味はピアノ。コンクールに出て優勝したこともあるらしい。

そして、とにかく可愛い。俺の好みのど真ん中。

「そうですね。早く入りましょうよ」

俺は鱗目さんが早く海に入りたいと言ったので、みんなにそう言った。

すると、みんなは海に向かって走っていった。

俺もそろそろ行くかとゆっくりと立ち上がると、急に肩を叩かれる。

「ん?」

そう言って背後を見ると、男がいた。

「おい、お前いつもとキャラ変わりすぎだろうが! 俺馴染めねえじゃん? 超暇じゃん? 車の中で泣きそうになったわ!」

「そうかな? 夏尾君。僕はいつもと変わらないと思うけれど……」

問答 夏尾(もんどう なつお)。俺の親友だ。車に長く乗っていて酔ったのか、とても変なことを言っている。

「その君付けとか僕とかいつも言ってないだろうが!」

「え? そんなことないよ、夏尾君。僕はいつもこうだよ。酔って気分でも悪いのなら少し休みなよ。今、飲み物でも買ってくるからさ」

「ああー! もういいよ! へっ、俺は休憩しとくぜ! さっさと飲み物買ってこいよ」

「うん、何がいいかな?」

「人の血で頼む」

「一リットルなら今すぐ用意できるけど」

「こわっ⁉︎ なんですぐ用意できんだよ」

「ペットボトルに入れて少し持ってきたんだよ。飲むんでしょ? ここに置いとくね」

言って俺は夏尾君の横に人の血が入ったペットボトルを置いた。

そして、俺は海へと走っていった。



……



「いやぁ、楽しかったねぇ」

海で、10時間は軽く遊び、そろそろ疲れたということで、帰る準備をしていたら、そう言って鱗目さんが俺に話しかけてきた。

「そうですね。とても楽しかったです。鱗目さんの可愛い水着も見れたし」

「ええー。霧笹君って意外と変態ー!」

「いやぁ、男はみんなこんなんですって……それに本当に可愛かったですし」

「ありがとねー! 霧笹君!」

「ええ! 今日は僕も楽しかったです。またみんなで海に来ましょうね」

「うん! あ、そういえば……」

言って鱗目さんはトコトコと僕のところまで歩いて来た。そして顔を近づけて来る。それにとてもビックリし、ドキドキしていると……。

「今度は本当の霧笹君を見せてくれると嬉しいな」

と、俺の耳元で呟いた。

嘘……だろ? バレてる? 何故だ。

「ふふっ」

少し笑って、鱗目さんはみんながいるところまで走っていった。

「くっそー! 無駄に真面目ぶった俺が馬鹿みてえじゃねえか。今更キャラ変えるのも負けた気するし、これから黒雲の奴らといる時はずっとこのキャラでいくか……」

俺はそんな独り言を言って、みんなのところへと走り出した。



……



「帰ってきたなー」


「そうですね」


「あー! 楽しかったー!」


「そういえばあの時、貴方、全然キャラが違うかったじゃないですか。何でですか?」


「鱗目ちゃん超可愛いじゃん? そりゃああんなんにもなんよ」


「はぁ…………」


「なんだよ。その、これだから男は……みたいな目は!」


「へぇ、読心術使えるんですか」


「使えねえよ! お前わざとわからないフリしてんだろ!」


「へぇ、読心術使えるんですか」


「RPGの村人か。てめえは!」


「へぇ、読心術使えるんですか」


「殺すぞ」


「すいません」


「お前の悪いところはしつこいところだと思うんだよな。俺は」


「はぁ……なんで説教されてるんでしょうか? 私は」


「しつこいからだよ」


「しつこい?」


「いやいや、へぇ、読心術使えるんですかを三回も言ってるんだからしつこいにもほどがあるだろう?」


「正確には二回ですけどね」


「え? マジで? えーっと……一、二、三。ってやっぱり三回じゃねえか!」


「おおー! 数も数えられるんですかー」


「俺は意外と頭も良いって言ってんだろ!」


「まぁ、そんなことは置いておきましょう。疲れたんで眠たいんです」


「俺だって眠たいわ!」


「はぁ? 霧笹君でも眠たくなるんですか?」


「また罵倒して話を引き延ばそうとするな! とにかく俺は寝るぞー!」

言って俺は布団に…………布団に潜り込まず、夜の街へ駆け出した。


「ふう…………すまんな。夏尾!」


「ちっ、全くだぜ。海に呼んでおいてあの仕打ちはねーわ。俺は、ずっと寝てたんだぞ」


「ごめんって、言ってんだろ?」


「あぁ、許してやるぜ? 今日一日俺に付き合ってくれたらなぁ……」


「はっ、いいぜやってやる」


「よし……喧嘩(バト)ろうぜ?」

「おう……喧嘩(シバ)いてやんよ」


今夜も喧嘩で血肉が舞う。


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