表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人竜―愛したい人がいる―  作者: 覇斗
6/15

 サイファーは一人湖のほとりに立っていた。

 (どこだ?ここは……。)

 三日月の光が淡く彼を照らしている。

 サイファーはすぐ気づいた。

 (夢、か……。)

 ここは毎晩夢に出てくる湖のほとりだった。

 あたりを木々に囲まれ、彼と湖しか生きていないような不思議な感覚。

 ふと、茂みから物音がした。

 (トラスト?いや、違う……あれは……。)

 茂みから出てきたものに彼は驚いた。

 出てきたのは、一人の美しい少女だった。

 艶やかで黒い髪を持つ彼女には見覚えがあるような気さえもする。

 (あの子は、一体……?)

 悲しそうに伏せる緑の瞳、透き通るような白い肌。壊れてしまいそうなくらいに華奢だ。

 ふと、彼は少女に触れたいと思った。話してみたいと。

 そっと、気づかれない様に歩み寄ろうと足を踏み出す。

 彼女はじっと三日月を見上げていた。

 (あの子はなんで月を……?)

 そう思った矢先、木の枝を踏んでしまった。

 枝が割れる音が響き、少女が驚いたようにこちらを見る。

 サイファーに臆しているのだろうか、目を見開いている。

 しばらく互いを見つめ合った。

 見れば見るほど美しい少女だ。

 「や、やぁ……。」

 恐る恐る声を出す。

 サイファーの声に少女は我に返ったように身をひるがえし、茂みの中へ逃げるようにして姿を消した。

 「!まっ……」

 『こないで。』

 呼び止めようと声を上げた瞬間、凛とした声が頭に響いた。

 『こないで。お願い。私達の住処を……。』

 奪わないで……―――――――。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ