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少女
夜空に浮かぶ三日月が、森に囲まれた湖を仄かに照らしていた。
そこに佇む一人の少女。
少女はとても美しかった。凛とした横顔に哀しそうに伏せた緑の瞳。艶やかな黒い髪は月光の光を浴びて耀いている。幼さは殆どなかった。
彼女は三日月を見上げ、何か囁いた。
すると、彼女の姿が徐々に変わり始めた。
顔が段々と縦長になり、犬歯が鋭く伸びる。手足も黒い鱗に覆われ、鋭い鉤爪が現れる。背中からは一対の黒い翼が生え、艶やかなその髪は長く伸びた首を覆う鱗へと姿を変える。
醜くも美しい変化を遂げ、月光に晒された彼女の姿はまさしくドラゴンであった。