5日目 ③
それは運転を再開した《ハルネ村》行きのバスの中。
「はぁ〜、マジで夢みたいだ……」
美少女、にしか見えない貴族の少年ーー一堂淳は、その端整な顔立ちをゆるっゆるにニヤけさせ、もう何度目かになるセリフを口にした。
「俺達、本当にあの『ハイオーク』を倒しちまったんだよな? なっ?」
「はい、兄様」
繰り返される問答に嫌な顔ひとつせず、少年の隣に座っていた大和撫子風メインヒロイン級美少女ーー一堂弥生が、兄に負けじと顔をほころばせて和やかに言う。
「一時はどうなることかと思いましたが、天さんのおかげで何とか上手くいきましたわ」
「ほんとだよな〜、今回ばかりは俺もそれ認める」
「はいです! 天さんは、とってもとってもすごい盾役ですぅ!」
そう言って元気よく兄妹の前列の席から顔を覗かせたのは、『あどけない』を絵に描いたような黒い猫耳しっぽ付き童女ーーラムであった。
「ちょっとちょっと〜、みんな誰かのこと忘れてない?」
ほぼ同じタイミングで、ラムの隣にいたグラビアアイドルも裸足で逃げ出しそうな抜群のプロポーション&美貌を持った金髪ポニテガールーー一堂ジュリが、頬を膨らませて口を尖らせる。
「天の活躍もそりゃあ凄かったかもしれないけどさーー」
ジュリは、誰も見てないところでひとり金色の髪をひるがえし、
「でも、事実上『ハイオーク』にトドメを刺したのはこのボク……天才美少女魔技士のジュリさんなのだよっ」
えっへん、と言わんばかりに豊満なバストをこれでもかと仰け反らせる。
それからしばし沈黙が流れ、
「あれだけお膳立てを整えてもらえれば、いくら毎回後先考えずに行動するジュリさんでも首尾よく事を運べますわ」
「だな」
ふんだんにトゲが混ぜ込まれた弥生のコメントに、彼女の兄である淳もうんうんと頷く。
「結果的に『ハイオーク』を倒したのはジュリかもしれんけど。ぶっちゃけそれも、単に天が相手を動けなくして、ジュリがおいしいところを持ってっただけだし」
「違いありませんわ」
「うわぁ、この兄妹……さっきまでビビりまくってた癖にホント調子がいいのだよ」
「「そのセリフ、ジュリ(さん)にだけは言われたくない(ですわ)」」
息ぴったりに仲良し兄妹が従姉妹のトラブルメーカーにツッコミを入れたところで。
「あの〜、天さん」
可愛らしい猫のしっぽを不安げに揺らめかせて、ラムが座ったまま通路側に身を乗り出す。
「…………」
ラムの視線の先にいたのは、彼女から通路を挟んで隣の三人席に一人で座っていたーー『ガタイがいい』という以外にこれといった特徴のない、だぼだぼのTシャツにジーンズ姿の、地味な人間の青年だった。
「て、天さん!」
一度声をかけてもまるで気づく気配がない。そんな青年へ、今度は多少声のトーンを上げて呼んでみるラム。
「……ん?」
と、そこでようやく彼ーー花村天は、窓の外へ投げていた視線を車内に戻し、ラムの方へとゆっくり振り返る。その様は、相変わらずぼんやりとしたままではあるが。
「どうしたんですぅ? も……もしかしてっ! どこか具合が悪いんですか⁉︎」
明らかに様子がおかしい天が心配になったのだろうーーラムは思わず声を張り上げる。途端、
「おいっ、大丈夫かよ、天⁉︎」
「や、やはり、どこかお怪我をされたのですか⁉︎」
「ほら見るのだよ、だから言わんこっちゃない!」
弾かれたように、他の面々も一斉に身を乗り出し、天に迫る勢いで顔を近づける。
「怪我してんなら早く言えって!」
「ただいま私が治療いたしますわ!」
「おかしいと思ったのだよっ。あれだけ無茶なことしてかすり傷一つないなんて……もう! なんで男ってこういうとこ強がるんだろ?」
「あたしのお母さんも、よくお父さんに言ってたです! どんなに頑張っても、ツバだけじゃさすがに限度があるって!」
捲し立てる美少女カルテット(内一人は一応は♂)。例によって戦闘終了後の治療を一切不要と断じたこの男の身体を、四人とも内心気にかけていたのだろう。
「あぁ、いや……なんでもないんだ」
だが当の本人は、歯切れの悪い返事だけして、また窓の方に顔を背けてしまう。
車窓に流れる景色を眺めながら、彼はこう続けた。
「たださっきの一戦で、いろいろ壊れちまったなって……」
「「「…………」」」
淳、弥生、ジュリの一堂シスターズ(内一人は戸籍上はブラザー)はきょとんと一瞬顔を見合わせた後、皆一様に大きく破顔一笑した。
「なんだ、そういうことかよ? 今さらそんなこと気にすんなって」
と、笑い顔で淳。
「そうそう」
ジュリも愉快げに天を見やり、
「さっきの戦闘で壊れちゃった盾も傘も、明日にでもまた本部に顔を出すんだからさ、その時いっぺんに買い替えちゃえば済む話なのだよ」
「そうですわっ」
いいことを思いついたとばかりに、弥生がパンッと手を鳴らす。
「今回のお仕事でまとまったお金も入ってきますし、ここはひとつ奮発いたしましょう、兄様」
「そうだな、今度は思い切って三十万の盾でも買うか!」
「天さん愛用の傘も、今度こそ最高級の品をご用意いたしますわ。もちろん、そちらは私が個人的に天さんへ贈らせていただきます!」
「いや、弥生……そこはチームの経費でいいと思うぜ? だってアレ、もう天の装備品の一つみたいな感じだし」
「いいえ。これだけは如何に相手が兄様でも譲れませんわ!」
「弥生、さりげなくそのこと根に持ってるよね……」
ジュリがそう締めくくった直後、三人は一同にドッと笑い出した。少女たちの陽気な笑い声が車内に満ちる。
当然、彼等の他にも乗客はいるのだが。バスの運転手も含め、その笑い声を咎める者はおろか、鬱陶し気に顔をしかめる者すらいない。
乗客たちは知っていた。と同時に感謝しているのだ。自分達を魔物の脅威から守ってくれた、若きヒーローたちに。
「あ、あの……天さん!」
そして、その中でも最も称賛を受けるべき人物を、彼女は幼いながらに理解していた。現場にいた冒険士の一人として。彼の仲間として。
「本当の本当に、大丈夫ですぅ?」
「……あぁ。大丈夫だ」
そう言うと、天はわずかながらに口元に笑みを浮かべる。それは普段通りの、ぎこちないながらも必死に作った彼なりの笑顔だったのかもしれない……
「心配してくれてありがとうな、ラム先輩」
気づけば、バスの窓から見える景色はすでに夕焼け色に染まっていた。
窓から差し込む夕日に照らさた天の面持ちが、ラムにはどこかとても儚いものに思えてならなかった。
◇◇◇
「にゃふ〜〜ん♪」
つぶらな瞳をキラキラと輝かせ。
口の中の容量では到底収まり切らなくなった大量のよだれを滝のように流し、猫耳の少女は絶叫する。
「どのごはんも、と〜っってもおいしそうですぅぅ〜!」
大きなテーブルに並べられた数々の料理、そこから立ち込める柔らかい湯気と食欲をそそる香り……彼女、ラムの理性はもはや限界値に達していた。
「なんか、すいません。こんなに気を遣ってもらっちゃって」
これは淳。チームを代表して少年が遠慮がちに頭を下げると、テーブルを挟んで向かい合わせで立っていた優しそうな白い髭の老人が、恭しく頭を下げ返した。
「とんでもございません。皆様はこの村を二度も救ってくださった、いわば我々の恩人」
言いながら顔を上げると、老人はニッコリ微笑む。彼は《ハルネ村》の村長だ。
そしてここは、この村で唯一のめし処である素朴な雰囲気の小さなレストラン。
有り体に言えば、村に到着した天達五人を待っていたのは、村人たちの手厚い歓迎ーー心ばかりの『おもてなし』と言うやつだった。
「どうぞ皆様、冷めないうちに召し上がってくだされ。もしも料理が足りなくなったら、奥にいるこの店の主人に言ってもらえれば追加もご用意できますので」
「ほんとですかー⁉︎」
ラムが再び絶叫する。すると、木彫りのカウンター席の奥から太い腕だけがにゅっと出てきた。おそらく店主のものだろう。その手には『任せろ』と言わんばかりにグーサインが作られていた。
「にゃふふ〜〜ん‼︎」
「ら、ラムちゃん」
「ていうか……これだって五人じゃまず食べきれない量なのだよ」
「俺もそう思う……」
大興奮のラムとそれを宥める弥生をよそにーージュリと淳が、げんなりした顔で用意された食卓を見やる。
二人の言う通り、テーブル一面にずらりと並べられた豪勢な晩餐は、ざっと見ても大人十数人がかりでも完食できるかという量だ。
「大丈夫ですぅ!」
獲物を狙う目で視線をテーブルに固定したまま、ラムが咆哮をあげる。
「今ならあたし、自分の限界を超えらそうな気がするです、はい‼︎」
「いやいや、いくらなんでもラムだってこの量に加えてお代わりなんてーー」
「ここで目一杯食べさせておけば、少なくともラム先輩に『ハイオーク』を食われる心配はなくなるんじゃないか?」
「ラム! 今こそ自分の限界にチャレンジするときなのだよ!」
「はいです‼︎」
天がさりげなく耳打ちをし、それに合わせてジュリが檄を飛ばし、ラムがそれはそれは見事な敬礼をしたところで。
「……兄様。村長さんのおっしゃるように、せっかくのお料理が冷めてしまいますわ」
「そうだな。温かいうちに、有難くいただこう」
「だ、だな」
これ以上待たせたらラムが暴走するから早く始めよう、そう天と弥生から暗に促された淳はーー首を縦に振りながらそそくさと食卓についた。
若者たちが祝賀の膳をワイワイと囲む姿を見て、村長は優し気に微笑む。
「本日は皆様の貸切ですので、今日の疲れを存分に癒し、明日の英気を養ってくだされ」
いかにも年配者らしい言葉だけ残して、いつの間にか老夫はその場から離れていた。
「ウップ……もう食べれませんですぅ」
イカ飯のようにパンパンになった腹をさする子猫娘。そしてテーブルの上に置かれた大量の『デザート用』の空の食器……それらが意味するものは、一つしかなかった。
「これが世に言う女子専用のスキルーー『甘いものは別腹』の法則か」
激闘を制した少女の勇姿を目の当たりにして、天は思わず感嘆の声を漏らす。すると……
「いやいやいやいや、いくらデザートが別腹って言っても、これは流石に無理があるのだよ!」
当の女子であるはずのジュリが、強く否定的意見を主張した。
「ていうか、それ以前にあの用意された食事を残さず全部食べちゃったことの方も、いまだにボクは信じられないのだよ」
「私たちも普段よりは食べた方だと思いますが、それでも半分以上はラムちゃん一人で平らげてましたわ……」
「まさかあの量を食い切るとはな……。その上さらに店のデザート全制覇とか、ある意味武勇伝だろ、コレ?」
ジュリ、弥生、淳の順にうめき声を発すると、彼等は戦慄の念が込められた目でかの幼き戦士を見やる。
「限界を突破しましたですぅ……」
ラムは満足気に、椅子の背もたれに身体を預けていた。
「ところで」
と、天がドバイザーの画面を指でタップしながら、
「やっぱみんな“レベル上がった”のか? 察するに、あの『ハイオーク』というモンスターはそれなりに経験値を貰えるんだろ?」
「「「………………」」」
途端に一堂トリオはネジの切れた人形のように活動を停止する。
それから少女らはがっつり十秒ほど一時停止した後、大慌てで再起動を始める。
「そうよ! ソレ一番重要なとこじゃない‼︎」
「すぐに確認してみましょう!」
「おいラム、お前も見てみろって!」
「は、はいです」
最後の一人は、どちらかというと流れに引っ張られた感じではあったが。天以外の面子が、慌ただしくドバイザーを取り出す。そしてーー
「キャアアアアアアアアアア!」
最初に黄色い歓声を上げたのはジュリ。
「嘘だろ⁉︎ 一気に『2レベル』も上がっちまったよ! ヒャッホー!」
ほとんど間を置かずに、淳が歓喜のガッツポーズ。
「し、信じられませんわ。魔力のステータス項目が上昇していますわ……しかも『4』もっ」
何やら思いがけない僥倖が舞い込んできたのか、弥生は肩を震わせながらドバイザーの画面を凝視している。
「あたし、また何か変なスキルが増えてますです……。なんですかこの『胃腸消化速度短縮』って……?」
そしてラムは……どうやら、あまり結果が芳しくなかったようだ。
宴も終わり、御開きムードだった店内が、また色めき立つ。
天は、ふと思い立ったようにある事を皆に訊ねた。
「みんな。よかったら見せてもらってもいいか? レベルアップしたみんなの『ステータス』を」
それはごく自然に口から出た言葉だった。
次の瞬間、打てば響くような答えが、何重にも重なり合って返ってきた。
「「「「もちろん(ですわ)(ですぅ)」」」」
実に気軽な調子で出された天の要求は、当然の如く四人に受け入れられた。
そんな訳で、食後のフリートークの題目は、仲間内での通信簿ならぬ『ステータス』の情報開示に決定したーー
「やったな、弥生! 魔力のステータス値が上がるなんて、すっげーレアだぞ!」
「兄様も、『剣術スキル』のレベルアップおめでとうございます」
「フッフッフッ……ついにボクの時代が来たのだよ! 五属性オールレベルツー以上達成! ア〜〜ンド『魔技生成速度短縮』ゲットー‼︎」
「あぅぅ。あたし、『4レベル』もレベルが上がったのにHP以外はほとんど変わらなかったですぅ〜」
四人が各者各様の反応を見せる中、
「やはり『レベル』というやつは普通に上がるんだな」
天は顎に手をやり、テーブルに置かれた四つのドバイザーを端から順に見ていく。
Lv 17
名前 一堂 淳
職業 Eランク冒険士
最大HP 150
最大MP 60
力 36
魔力 20
耐久 40
俊敏 35
知能 80
剣術Lv2 火魔技Lv1 生命魔技Lv1
Lv 17
名前 一堂 弥生
職業 Eランク冒険士
最大HP 95
最大MP 110
力 20
魔力 44
耐久 20
俊敏 31
知能 120
状態異常耐性 風魔技Lv2 水魔技Lv2 生命魔技Lv3
Lv17
名前 一堂ジュリ
職業 Eランク冒険士
最大HP 120
最大MP 150
力 29
魔力 50
耐久 31
俊敏 37
知能 95
火耐性 魔技生成速度短縮(効果小) 火魔技Lv3 風魔技Lv2 水魔技Lv2 土魔技Lv2 生命魔技Lv2
Lv14
名前 ラム
職業 Fランク冒険士
最大HP 350
最大MP 10
力 12
魔力 10
耐久 12
俊敏 12
知能 30
胃腸状態異常無効 胃腸消化速度短縮(効果中) 土魔技Lv1 生命魔技Lv1
天の予想通り、『ハイオーク』の経験値は破格なものだったらしくーー淳、弥生、ジュリの三人はそれぞれ2レベルずつ、最もレベルが低くかったラムに至っては一気に4レベルも『Lv』が上昇している。それに伴い、当然彼等のステータスもそれなりに上がっていた。
「これで少しは安心か……」
その瞬間、天はハッと口を噤む。
ーー安心だって?
天は自分の心に問いかけた。しかしすぐさまその思考を止め、ソレを頭の中から追い立てる。
ソレと向き合ってはいけない。
ソレについて考えてはいけない。
どうして自分がこの子らの成長を気にするのか……その本当の理由を、今さら自分が知ってはならない。
「……」
天は普段からほとんど開いてない細目を完全に閉じ、己自身の能力値を覗くーー
Lv100
名前 花村 天
種族 人間?
最大HP 30500
力 777
耐久 820
俊敏 750
知能 150
特性 ・ 全体防御力アップ(効果大)
魔法無効体質 状態異常無効 練気法 体内力量段階操作法 力調整法
備考
・中二病みたいな技を多数所持(笑)
皆には言ってない。言ってもどうせ信じない。
ーーだが。
既に彼は、この世界においての“己の力量”を知る術を熟知していた。
◇◇◇
ーーあれ? なんだかとってもいい気持ちですぅ。
「むぅ、不公平なのだよ」
「まぁまぁ。今日は朝からずっと張り詰めていましたから、きっと緊張の糸が切れたんですわ」
「そういや、この間『リザードマン』を討伐して村に戻ってきたときも、確かこんな感じだったよな」
ああそっか……あたしあのまま寝ちゃったんだ。
「まったく、なんで何もしてないラムの方が、毎度こんな至れり尽くせりのサービスを受けてるのだよ」
「その辺にしとけって。まぁ確かに、今日一番の功労者をこき使うのは、ちょっと問題かもしれないけどな」
「ラムちゃん、羨ましいですわ……」
はうぅ、みなさんごめんなさいですぅ。
「あ〜だめ、やっぱり納得いかないのだよっ」
「まあ、そう言うな」
あ……。
「あれだけの相手と対峙したんだ、たとえ直接戦闘にかかわらなくても、肉体的にも精神的にも相当こたえたんだろう」
天さんの声だ。
「そうでなくても、ラム先輩はこのパーティーでは最年少なんだ、多少のことは大目に見てやってもいいんじゃないか?」
天さんが、またあたしをかばってくれてる。
「もうっ、天はラムにとことん甘いのだよ」
「そうか? 俺の見る限りじゃ、この中で一番甘やかされてるのは、おそらくジュリさんだと思うが」
「ちょ、それはちょっと聞き捨てならないのだよ! ボクのどこが甘やかされてるっていうのさ⁉︎」
「いいえ。間違いありませんわ」
「なんだよ、まさか自分で気づいてなかったのかよ? 何気にビックリだぜ、それ?」
「なっ!」
「じゃあ、俺は一足先に村長さんが取ってくれた宿に行って、ラム先輩をベッドに寝かせてくる」
「ちょっ、待つのだよ天! まだ話は終わってない!」
「待ってろラム先輩。いま喧ましい女のいない場所に連れてってやるから」
にゃふふふ……やっぱり天さんの背中は、とっても広くて、とってもとってもあったかいです……
「…………ん」
あれから、どのくらいの時間が経ったのだろう。
「ーーッ‼︎ ッーーッ‼︎」
不意に、遠くの方から誰かの声が聞こえてきました。
「弥生を……なかせ……‼︎」
この声は……淳さん?
「ぜったいーー俺はお前を許さねぇ‼︎‼︎」
淳さんが、怒ってる?
「ん、んんぅ」
あたしが目を覚ますと、
「天、今すぐこのチームから出ていけ……」
淳さんが今まで見たことがないほど怖い顔をして、
「一秒でも早く、俺の前から居なくなれ‼︎‼︎」
「……分かった」
天さんのことを、力いっぱい殴ってました。




