夕日
★2
夕日が眩しくて
目が痛くて
背を向けた
俯いていた。
ただ歩く。
自分の影が遠くまで伸びている。
でもそれはどこまで伸びているんだろう。
でも、僕はそれを見ない。見る意味もないじゃないか。
夕日が刺す。
背中越しに。
僕は歩く。
闇のほうに。
夕日が刺す。
それは強く。
背中が暖かい。
闇は濃くなる。
僕は立ち止まった。
どれだけ
後ろの夕日は綺麗だろう。
どれだけ
光は僕を照らすのだろう。
でも…
いや、今見ないでどうする
こんなにも闇を濃くするそれがどれだけの光か。
僕は顔を上げた。
ずっと闇ばかり見ていた顔を。
振り返った先に見えたそれは
どれだけ美しいかなんて表現できないくらいで
いつの間にか頬に雫を落としていた。
眩しすぎるとか、
目が痛いとか、
そんなことじゃなくて
逃げていただけ。
光を浴びて良いような人間じゃないから
逃げた。
逃げ出した。
影の方。
闇の奥。
だけど止まった僕の足。
今しか出来ないことがある。
後悔はしたくないから。
また歩き出せるような気がした。
次は光の方へ。
また いつか
俯いてしまうことがあるだろう。
それでも、振り返ればいい。
前を向けばいい。
光へ向かえばいい。
俯いてしまってもいいから。
また、前を向こう。
夕日が暖かく見守ってくれている気がした。