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性癖が気になるJK

 ――で、ドラマを見終わったタイミングでメイを送るため外に出る。

 海浜公園の中にはすでにデカデカと咲いているひまわり畑があって、メイがスマホでいくつか写真を撮っていた。


「イイの撮れたっ! ねね、それとあのドラマやっぱ面白かったっしょ?」

「ああ。ああいうのあんまり観ないけど、さすが流行ってるだけあるな」

「でしょでしょ! あ、そうそうおにーさん。余ったカレー、粗熱とれたらちゃんと冷蔵庫入れといてね。できればタッパーとかで小分けにしたほーがいいんだけど、とりま鍋のままでもいいかな。明日味変したりしてもいーし」

「おう。てか帰ったらまた食うわ」

「アハハそんな気に入ったー? チーズとか入れても美味しいよ! ……はー、にしてもパパめんどくさー。なんで今日に限って早く帰ってくるかなー」


 と言って、さっきからブーブー通知の止まらないスマホを面倒そうに弄るメイ。どうやら『絶対認めないおじさん』からメッセージが来まくっているらしい。まぁ21時までに帰れとか言ってたしな……。


「ま、パパのことはいいや。それよりおにーさんちさ、今度ちゃんと片付けようね?  やっぱとっちらかってるの気になるからさー。そだ、休みの日とかにでもまとめてやっちゃおうよ。イイ食事はイイ場所で。家の乱れは心の乱れ。おばあちゃんが言ってたし! そゆの大事だと思います!」

「へいへい。俺は別に今のままでも困ってないんだがな」

「ダーメーにー決まってんじゃん! んもーこれだから男の人ってさー。っと、それじゃおにーさんまたね! 明日また連絡する~!」


 昨日と同じ別れ場所の橋まで来たところで、メイが鞄をかけ直してこっちに手を振る。


「メイ、ちょっと待て!」

「んーっ?」


 俺は駆け足でメイに追いつくと、ポケットに手を入れて中にあったものを取り出した。


「これ、持っとけよ」


 そしてメイの手にポンと乗せたものは、何の変哲もない一本の鍵。


「え? おにーさん? これって――」

「うちの合い鍵。つーかスペアキーな。使うことねぇと思ってたからちょうどよかったわ。もしお前が来たとき俺がいなかったらいろいろ面倒だろ? 好きに入ってくれていいから」


 俺の部屋の合い鍵を見つめるメイは、少し驚いたような顔で目をパチクリさせてからこっちを見た。


「……いいの?」

「いいから渡してんだろ」

「エッチな本とかAVとか見つけまくっちゃうけど」

「そういう意味!? 見つけまくるのはやめろ! つか探そうとするな!」

「じゃあその前に片付けておかなきゃだねー? あ、JKモノとかあったりするの? あたしの見立てだとそうだなー、おにーさんってドーテーだから清楚系の巨乳とか好きそうだしぃ、やっぱりパ――」

「JKが生々しい話すんじゃねえええええ! ことさらに人の性癖を暴くな! そもそも今時デジタルで実物なんかねぇんだよ残念だったな! いいからさっさと気をつけて帰れや!」

「アハハハ! 怒りながら心配してくれてんじゃん! おにーさんホント面白いんだけどっ! てか赤くなってカワイー! アハハハハ!」


 腹を押さえて涙が出るほど愉快に笑うメスガキめいた小悪魔JKにはさすがに「ぐぬぬ」としたもんだが、それよりも羞恥心の方が強い俺である。つーかヤベェちょっとだけあった現物(ヤツ)さっさと片付けとこう!


「ったく……んじゃなメイ。あーそれと、ちゃんと送ってくれる彼氏だって言えば親父さんも少しは安心するんじゃねぇの」

「え?」

「ま、ニセ彼氏とはいえ一応大切なお嬢様を預かってるわけだからな。せめてそんくらい言っときゃメイもこっち来やすいだろ」


 するとメイはしばし呆然として、それからちょっと照れたようにはにかんで笑った。


「んっ、そだね! ありがとおにーさんっ! おばあちゃん直伝の千のレシピまだまだ振るまったげるから楽しみにしててー!」

「そんなにあんのかよ! いやまぁ楽しみにはしておくわ」

「えっへへ! じゃーねバイバイ! あ、いちおー答え合わせしたいから捨てる前にエッチな本とかAVの写真とっといてね~!」

「撮るかアホ!!」


 めちゃくちゃ楽しそうな顔で走り去っていくメイを見送っていると、なんだかこっちの気持ちも軽くなる。アイツにはそういう力があるような気がした。


「つーか、付き合ってもない年下のJKに合い鍵渡すとか……俺もどうかしてんなぁ」


 けれどそんな、どうかし始めている日常を俺は心地良く思い始めていた。

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