表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
637/641

アレックスに閃光のスクロール実験のことを聞く

 シンディが商会の中で護衛部門を立ち上げている。そこで店の護衛など工夫している。ただちょっと仕事の進め方が不安だ。


閃光のスクロールを使った護衛方法を試している。それでちょうどいい強さの閃光を見出したが、そのときずいぶん強いものも使ったらしい。そんなの試して大丈夫なのだろうか。


それに商会では日報を書くことになっているが、ぜんぶ非常勤のアレックスに丸投げのようだ。その辺をアレックスに聞くことにする。



 アレックスを誘い2人だけで話す。


フェリス「わざわざ来てもらって悪いね」

アレックス「いえ、仕事ですから」


フェリス「それでさっそくなんだけど、あの護衛の訓練とかいろいろ聞きたくて」

アレックス「はい、どんなことでしょう」


フェリス「いやシンディがあの調子だからさ、なんか無茶なことしてないかって」

アレックス「いえ、別にそんなに無茶なことはしていませんよ」


そう言うがどうもあの界隈の無茶をしていないは本当なのかどうかわからない。


フェリス「ケガとか後に残る障害とかはない?」

アレックス「まあ擦り傷や切り傷くらいはありますけど、ふつうに道場に行っているのと大して変わりません」


うーん、それってどうなんだろう。道場はあらかじめ危険がわかっているところだから、ケガがあるのは仕方ない。さすがに大ケガでは困るだろうけど。


ともかく職場でケガはまずい。護衛の場合は仕方ないと言えば仕方ないのだけれど。でももしそれを他の店員にさせるわけにはいかない。


フェリス「うーん、本音言うと雇う側としてはケガは嫌なんだよな」

アレックス「それはわかりますが、護衛では仕方ないように思います」


わかってくれるのはありがたい。シンディだったら、そんなの当たり前じゃないとか言いそう。あとで護衛とそれ以外でちゃんと分けるように人事の方に指示しておこう。


さすがに前世と違い労災になるわけでも労働基準監督署が来るわけでもないが、なくせるブラックはなくしておいた方がいい。


フェリス「まあ、そうかあ。それはともかく、例の閃光のスクロールを使った時の訓練ってどうだったの?」

アレックス「ええ、あのときはスクロールを順番に試しました」


フェリス「1日でしちゃったの?」

アレックス「ええ、どんどんやろうって」


うーん、それもなんか嫌だ。うるさい上司だと言われそうだが、前に使ったものが影響しそうだし、1回では目などに問題なくても複数回では問題が起きそうだ。


フェリス「そもそもさ、はじめから断ることはできたの?」

アレックス「え? 断る人なんていませんよ」


あー、そう言うノリか。やめてほしい。シンディには後で言い聞かせておこう。護衛の中だけでするなら仕方ないが、外にされては困る。


何となく様子がわかってきた。いちおうアレックスの取った記録も見せてもらう。


フェリス「スクロールのときのメモ書きを見せてもらえる?」

アレックス「はい、こちらです」


メモ書きという割にはきちんとかけている。


フェリス「けっこうちゃんと書けているね」

アレックス「その日の夜に思い出して書いておきました」


フェリス「それは助かるよ」

アレックス「書いておかないとすぐに忘れるんですよね」


まったくもってその通りだ。忘れない人は忘れても大丈夫なようにメモを取ったりいろいろ工夫している。それに気づいているだけでも頼もしい。


ともかくメモを見ると、いきなり強いスクロールから試したらしい。しかも道場でやって周りにまで光が漏れて文句が来たとか。


どうしようもない行き当たりばったりだな。閉店中の店舗でしたっていいのに。ともかくそれを使うとしばらく目がくらんでいたらしい。やっぱり危なそうだ。


フェリス「目がくらんだって書いてあるけど、大丈夫だったの?」

アレックス「しばらくふらふらしましたが、30分くらいで元に戻りましたよ」


30分ふらふらするというのもなんか怖いな。それに弱い方から試さないのもシンディらしいと言えばらしいが、ちょっと実験としてはどうかと思う。


フェリス「それで道場で文句言われて2回目以降はどうしたの?」

アレックス「場所を変えました」


そうかあ。それは条件が違うから実験としてはどうかとも思う。本当なら想定の店舗でした方がよかった。


フェリス「どこでやったの?」

アレックス「道場の控室です」


まあ、あそこなら店舗に近いかもしれない。屋外とかでなくてよかった。


フェリス「屋外とかでなくてよかったよ。それから実験した場所もついでにメモに書いておいてよ」

アレックス「はじめ屋外って案も出ましたが、スクロールを売った魔法使いから屋外だと効きがよくないと言われたそうなのでやめました。それから何をメモしたらいいですか?」


フェリス「うん、実際に使う条件に近い方がいいからね。それからメモは後で見返して思い出すためのものだから。実験だと同じことを再現できるような情報が欲しい」

アレックス「わかりました」


ともかくメモを見ると少しずつ弱くして試したらしい。それでやっぱり弱くするごとに感じ方も弱くなって回復する時間も短くなったようだ。


なんともマゾヒスティックな実験だと思う。本当は前の実験が後に影響しないように別の日にするか別の人にして欲しかったけど、そこまで求めるのは無理かもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ