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スクロールの使い方

 シンディが商会の護衛部門を立ち上げている。商会が運営している店の護衛を検討中だ。はじめは店員をしょっちゅう剣術道場に来させようとしていたが、さすがに止める。


そりゃ無理だ。拘束時間に給料を払わないといけないし、剣術に向かない店員だって多数いるのだ。

なんとか誰でもできて年に一回くらい道場に行けばいい方法を考えてもらう。



 それでシンディは防衛主体の方法を考えてきた。なかなかいい出来だった。ただやはりあまりにも体力仕事に向かない人にはやはり難しいように思う。


それで閃光のスクロールを使う方法を検討し始めた。ただそれでもいろいろ問題はある。店員や他の客に害はないかということが一つ。


それに目くらましした後に捕まえられるかどうかということだ。その辺はシンディがまた持ち帰って検討することになった。



 数日してまたシンディから呼び出される。シンディはいつも一緒にいるからか割と気軽に呼び出してくる。まあいいのだけれど。


商会の方は遠慮する人もいるようだ。ただ悩ましいところで遠慮してくれた方がいい人もいれば、遠慮しないでもっと話しかけてくれた方がいい人もいる。あまり権限を持つと面倒が多い。できるだけ権限は人に任せた方がいい。



 ともかくシンディは仲間と閃光のスクロールの使用方法について検討したそうだ。

彼女の部下のエドアルトとアレックス、それにうちの高級装飾品店の護衛の店番2人も来ている。


シンディ「まず魔法使いに聞いてみたけれど閃光は後々まで障害は残らないそうよ」

フェリス「そうかあ。じゃあ使ってもよさそうだね」


断言はできない。問い合わせた魔法使いが本当に信じられる人かどうかも確かめないといけない。ただとりあえずは進めてよさそうだ。


シンディ「でもやっぱりあまり強いものを使うとしばらくは不快感が残るわ」

エドアルト「やっぱ、強いのはつらかったよな」

アレックス「最強のはその日1日なんかちらついたもんな」

店番A「ありゃ、もう使いたくない」

店番B「まあもう最強のは使わないってことで」


なんか大変な訓練だったようだ。だけどそれって大丈夫なのかな。なんかブラック臭がする。


フェリス「あのさ、それ大丈夫だったの? 後遺障害とかない?」

シンディ「とりあえず大丈夫だわ」

他のみんな「まあ、特に今は問題ないな」


いちおう閃光は安全とは言われているが、そう立て続けに何度もしかも強力なものを使うことは想定されていない。あまり怖いことはしないで欲しい。


フェリス「まあ、あんまり無茶はしないでよ」

シンディ「ちゃんと大丈夫かどうか確かめながらやったわよ」


そう言うが、なんとなく同調圧力が強そうだから、つらくても言い出せない気がする。


フェリス「あのさ、つらい人がちゃんとつらいと言えるような職場も作らないとダメだよ」

シンディ「ちゃんと見ているわ」


うん、なんか怖い。他はどうもシンディの言うがままだが、アレックスだけはちょっとこっちを気にしているので、目を合わせる。後でちょっと話そうかと思う。


シンディ「それでね、手順を考えたの。いろいろな強さの閃光スクロールを作ってもらって、中くらいのがいちばんよかったわ。強いのは犯人以外のお客さんや店員にもその日1日くらい影響が残るし、弱いのだと犯人もすぐに回復してしまうから」

フェリス「なるほど、ちょうどいいのを見つけたわけか」


シンディ「ええ、それで使う前の合言葉も考えたの。強盗犯に脅されたときに『言うことを聞きますから他のお客さんは巻き込まないでください』って繰り返し叫ぶの。それで犯人が客を解放するようならそれを待って、解放しないならみんなで目をふさいで閃光を使うの」


なるほど、もっともな言い回しの用だ。それに繰り返しというのがいい。


フェリス「なるほど、それはよさそうだね。その後はどうするの?」

シンディ「後は体力に自信があるなら、剣などで相手を攻撃する。自信がないなら隠れるか逃げるかする」


全員逃げるか隠れるかでもいいような気もするが、こちらの世界だとあまりそういう雰囲気ではない。まだ自力救済っぽい考え方と雇われている者が身を挺するべきとの考えが残っている。


フェリス「まあわりとみんな逃げてもいいと思うけどね」

シンディ「それは相手があまりに多いとかならそうだけど、攻撃した方が安全なこともあるわ」


フェリス「なるほどね」

シンディ「で、その間も外への警笛は鳴らし続けて助けを待つの」


フェリス「それはよさそうだけど、助けが来るまで時間がかかるときはどうする?」

シンディ「ええ、それも考えたわ。やっぱり1人でやっているとか近くに人が少ない場合はできるだけ逃げるようにするのがいいってことになったわ」


まあそれはよさそうだ。ただ一つ気になることがある。1人で店をしているというのはいわゆるワンオペでまずいのではないか。

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