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85. スクロールを使うことを考える

 シンディが商会の護衛部門を作り上げようとしている。仲間と道場で護衛の手順を作り上げている。


彼女のプランを見るとなかなかの出来のように思う。あくまでも素人の立場から見てだが、守りに徹しているのはいい。


もともとシンディは素人の店員に毎日道場に来させようとしていたがさすがにそれは止めた。


いまのところ上手くないと思うのは、本当にド素人でもできるかというと、そうでもなさそうなところだ。



フェリス「あとさ、シンディは考えてなかったみたいだけどスクロールを使うのはどう?」

シンディ「え?」


フェリス「ほら、簡単に魔法が出るスクロールがあるじゃないか。あれ使ったらどう?」

シンディ「だってそんなのずるじゃない?」


フェリス「ずるって……、剣術の試合じゃないんだから。そもそも強盗や恐喝に入ろうなんて言う方がずるだよ」

シンディ「そう言われればそうね。そっかあ、考えたらどんな手使っても制圧すればいいのよね」


シンディらしいと言えばらしいが制圧というとなんとも上位者に見える。俺も制圧されていそうだ。


フェリス「まあ制圧というか無力化というかとにかくやめさせればいいね」

シンディ「でもそれこそ素人の店員がうまく使えるかしら?」


フェリス「攻撃魔法とかはどう? 使えそう? たとえば道場のいちばん弱い弟子だったら使えるかな?」

シンディ「うーん、かなり不安ね。あまりうまくないわ。範囲の広い魔法じゃ店の中では使えないわよね」


フェリス「まあそうだよな。あまり大火力の魔法じゃ店まで焼けちゃうし、他のお客さんを巻き込むかもしれないもんな。もっと小さい魔法ならどう?」

シンディ「うーん、範囲が狭い魔法だと慣れてない人は当てられそうにないわ」


フェリス「そっかあ。武術はダメだけど魔法は得意って人もいないわけじゃないけど、ものすごく少ないもんな。スクロールはあまりうまくないか」

シンディ「うーん、大音響が出る魔法とか閃光で目がくらむ魔法とかならどう?」


フェリス「それだとどうなるの?」

シンディ「大音響とか閃光だったら店が壊れることもないし、お客さんを巻き込んでもすぐに回復するわ」


フェリス「あ、そうか。なんかいいような気もする」

シンディ「でしょ」


いいような気もするが、なんかまずいところもある。客を巻き込むのはまずいと言えばまずい。


ただ大音響も閃光も20分か30分もすれば何事もなかったかとのように回復する。それなら強盗に巻き込まれて人質になったりするよりましかもしれない。いちおう後で他の人にも聞いてみよう。


フェリス「その筋でするとして、例えば目くらましした後はどうするの?」

シンディ「そりゃ、犯人を捕まえるのよ」


フェリス「それってできる?」

シンディ「それもダメかしら?」


フェリス「ダメな人はダメっぽくない?」

シンディ「まあ、そうね。閃光のスクロール使ってもフェリスが強い人を縛り上げるとかあまり想像できないもの」


フェリス「俺のことは引き合いに出さなくてもいいよ」

シンディ「やっぱり閃光じゃまずいのかしら?」


フェリス「いや、それはそれでいいんじゃないかな」

シンディ「捕まえられないのにどうするの?」


フェリス「もともと警笛で外に知らせるのが第一だったじゃない。だから外から助けが来るまで時間稼ぎできるだけでもよしとしないと」

シンディ「あ、そうれはそうね。時間稼ぎなら強い閃光の方がいいのかしら」


フェリス「うーん、一緒にいるお客さんも浴びることになるからね。犯人は少しくらい被害があっても仕方ないけど、一緒にいるお客さんが巻き込まれたときに、後々まで残るとまずいよ」

シンディ「そうねえ。いろいろ難しいわね」


フェリス「とにかく閃光で目くらまししてそのあと何ができるか考えてみようよ」

シンディ「ちょっと待って、閃光が出たとき店員は目がくらまないの?」


フェリス「それは使う本人は目を隠したりつぶったりするから相当軽減されると思うよ。だけど他の店員は目がくらむかもね」

シンディ「そうかあ、そうよね」


何となくその辺になってまた話し合うことにした。数日してシンディがまた話を持ってくる。


シンディ「この前の閃光のスクロールの件だけどみんなでいろいろ考えたの」

フェリス「ふーん、どんな感じになったの?」


シンディ「まず店員はもちろん使うときは目をつぶって、スクロールを持っていない方の腕で目を隠すわ」

フェリス「それはそうするよね」


シンディ「それから別の店員も誰かがスクロールを使う場面になったら同じことをするように事前に訓練しておくの」

フェリス「なるほどね。全員は無理かもしれないけど大半はできそうだね」


シンディ「やっぱりそう思う? 仲間うちでもみんなできるだろうという人とやっぱりできないのも出てくるだろうと両方意見があったの」

フェリス「うん、それは人数が増えればできない人も出てくると思うよ。強盗なんて入ったら気が動転するだろうし。それにね。こういうときは安全を図る方に考えておいた方がいいんだよ」


シンディ「なるほど。まああたしはフェリスがそう言うだろうと思って、できない人も出てくる方のシナリオを考えたわ」


これはいったいシンディが考えたことになるのだろうか? 俺の存在が頭になければ考え付かなかったかもしれない。


ただ実は俺がそう言うかもしれないと頭に入れて考え付いたのはそれはそれでいい気もする。


さらに言えば俺のことがあたまにあったから考えたのに、さも自分だけで考えたと思うよりはいいのかもしれない。


ともかくシンディはまだ先までプランがあるようなので聞いてみよう。


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