表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
626/644

シンディは店員たちに武術を教えたい

 シンディが商会に護衛部門を立ち上げてうちの商会で経営している店の店番たちに護衛のための護衛術を教える方向になった。とりあえずは高級装飾品店だけだが、少しずつ増やしていくつもりのようだ。



 ただあまりやたらにたくさん教えたがらないでほしいとは思う。そりゃ高級店だったら強盗だって来るだろうからそういう心得があった方がいいのはわかる。


だけど食料品店などでそこまで必要かとも思えない。強盗がそもそも来ないと思うし、来たとしても黙って奪わせてしまったほうがいい。その辺、シンディは拡大したくて仕方ないようだ。


シンディ「それじゃあ防犯の観点からも、うちの商会の店舗の従業員には週に1回道場に来てもらいましょう」

フェリス「あのさあ、その分の道場代と従業員の給料払っていたら、うち潰れちゃうよ」


シンディ「でも従業員の安全には代えられないわ」

フェリス「いやいや、食料品店に強盗なんてめったに来ないし、来たとしても抵抗せずにおとなしく渡してしまった方がいい」


シンディ「だけど悪い奴が得するなんて許せないじゃない?」

フェリス「まあそうだけど、それは自警団とか騎士団に任せて。素人が下手に抵抗するとケガするよ」

マルコ「それに週に1回道場に来てもらったとして経費から計算すると5%くらいは値上げしないといけなくなるよね」

フェリス「5%値上げしたらお客さんも怒るし、よその店の方が安くなって来てくれなくなっちゃうよ」

マルコ「それに店員が道場に行っている間、別の人も雇わないといけなくなるし」

どう考えても現実的ではない。


シンディ「じゃあ道場に来させるのはなしにするの?」

フェリス「まあ、年に1回くらいならいいんじゃない?」

マルコ「そんなところだよね」


シンディ「年に1回じゃ何もできないじゃない!」

フェリス「うーん、その辺はできる範囲でするとしか言えないよ。時間をかけて上達させるなんて言うのはあきらめて、すぐにできることだけ教えるとかね」

シンディ「せっかくの護衛部門なのに何にもできない」


そう言われても護衛部門が商会の中でものすごく大きくなられても困る。商会なんだから商売の方が圧倒的に大きい割合でないと困る。


フェリス「とにかくできることから始めようよ」

シンディ「わかったわ」


何か妙に物分かりがいい。なんか変なこと企んでないといいけど。


フェリス「わかってくれたのかい?」

シンディ「ええ、だってフェリスは5年前にあたしと荷車から商売始めてこんなに大きくしたじゃない」


ああ、そう言えばそうだった。そうだよなあ。シンディと2人で始めたんだった。というと、なにか老夫婦の人生の振り返りのようだ。


フェリス「そうだったね」

シンディ「で、どうやって大きくしたらいいの?」


そこは人頼みなのか?


フェリス「護衛が必要なのってうちの店だけじゃないだろ。よその店まで広げればけっこうな規模になるんじゃないかな?」

シンディ「あ、それはそうね」


フェリス「それで、どうするつもりなの?」

シンディ「とりあえず、近くの店に声をかけて、道場に誘って……」


フェリス「うーん、それは上手くないと思うよ」

シンディ「なんで?」


フェリス「いま道場で店の護衛のこと考えているのって、シンディとエドとアレクと店番の2人だけでしょ。そんな少人数だったらあまり方向性を考えずに試行錯誤するのもいいけど、知らない人が多数来て方向性もなく試行錯誤するとみんな不満を持つよ」

シンディ「そうかしら? うーん、なって言うかあたしたちが行っていた寺小屋だったらみんな方向性もなく試行錯誤していたじゃない?」


フェリス「うーん、それは2つあって、実は寺小屋の(フェリスの義父の)ロレンスはある程度の指導方針はあったよ。それに試行錯誤の部分は確かにあったけど、こども相手だからそうするしかないし慣習的にもそれが許されて、大人相手だとそれは通用しにくいと思うよ」

シンディ「へー、やっぱりフェリスはこどものときからずいぶん違うものを見ていたのね」


フェリス「そりゃまあロレンスとずっと一緒だったからね」

シンディ「そっか。ともかく教えるとなるといろいろ難しいのね」


フェリス「うん、でも短い時間で何か成果を出そうとしたらやっぱり難しくなるのは仕方ないよ。それに道場に来て棒術に上達しなさいと指示するだけなんて、誰でもできることじゃすぐにまねされてしまうしね」

シンディ「そうかあ。でも武術なんてそんなに短い時間ですぐに成果なんて出ないものなんだけどなあ」


フェリス「それはそうなんだけど、店に強盗が来たときに店員も他のお客さんもケガをせずにうまく追い出したり自警団なんかが捕まえやすくするというものすごく限定された場面での方法なら工夫の仕方はあると思う」

シンディ「そんなのあるのかしら?」


フェリス「ほら、その辺は俺より武術に詳しいシンディしかできないことなわけで。それにそう言う難しいことなら他の人がまねしようとしてもすぐにまねできなくなる」

シンディ「なるほどね。ちょっとメンバーといろいろ考えてみるわ」


何か俺はコンサルっぽいことをしている。コンサルが何か劇的な成果を出せるはずもなく、本当に成果を出すのは本業として事業に関わっている人だ。


コンサルみたいなのはそれをいい方向に向けるくらいしかできない。ともかくなんとなくだがいい方向に行っている気がする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ