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シンディとエドは襲撃を相談中

 シンディが運営する護衛部門の仕事先を探すと言うことでうちで経営している装飾品店に目を付けた。シンディと視察に行くとまあまあの警備をしているが、2人なら襲えるらしい。


何かいろいろ間違っている気がする。護衛いう手段が先にあって護衛先を見つけるとか、わざわざ襲撃先を探すとか、ちょっとまともじゃない。


しかも訓練や警告とは言え、襲撃という手段だ。ただこちらの世界はいろいろ荒っぽいことも多いため、どうもまかり通りそうだ。前世の日本より契約についての意識は強いのだが、それでも上には逆らいにくい。



 2人で襲うと言うことだが、元から戦力にならない俺は外れる。シンディはアレックスも考えたが、彼は未成年なので俺が反対すると、シンディは受け入れた。


そうすると必然的に最近護衛に入ったエドアルトとなる。さっそくシンディはエドアルトに声をかける。


シンディ「エド、ちょっと仕事があるんだけど」

エドアルト「何ですか?」

前は「なんすか?」だったが、進歩したようだ。


シンディ「こんど中心街の装飾品店を襲うから手伝いなさい」

エドアルト「え? 強盗ですか?」


シンディ「ええ、護衛が店の中と外に1人ずついるけど大したことないわ」

エドアルト「腕がなりますね」

おいおい、いろいろ間違っている。


フェリス「おい! あくまでも訓練だからな!」

エドアルト「あ、訓練ですか?」

こいつ、どういうつもりだったんだ。もし強盗に誘われたら本当にするつもりだったのか。


フェリス「あのさ、本当に強盗だったらどうするつもりだったの?」

エドアルト「いえ、上の者に従いなさいと昔から言われているので」


何か昭和のクーデタに参加した下士官みたいな感じだ。


フェリス「あのね、上から言われたことでも、違法だと思ったらもっと上に相談しなきゃダメだよ」

エドアルト「はい……」

何かさっきのシンディに対する返事に比べると、なんとなく不本意っぽい言い方だ。やはり役職だけでなく武力も上の者の言うことを聞くのだろうか。


フェリス「それからシンディは言葉が足りない」

シンディ「はい。それは気を付けるわ」

あまり人前で注意したくないのだが、仕方ない。


フェリス「確認だけど、俺はいなくていいんだよな」

シンディ「ええ、もちろんよ。いない方がいいわ」

何か仕返しされたみたいだが、そう言うつもりでもなさそうだ。



 ともかく襲撃訓練には合意して二人で計画を立てている。訓練にしても襲撃のようなことはエドが嫌がるかと思ったが、そうでもない。


上から言われたことだから従っているのか、それとも自分がされたことを人にするのがうれしいのか、能力を示す機会だからなのかよくわからない。


シンディは店の見取り図を描いて、人の配置などを説明している。

シンディ「店員は1人で、あと店番が2人、外に1人と中に1人。外はそんなに強くないわ。中はそれなりにできると思う。外が気づかないうちに中を片付ければ簡単よ」

何かいろいろ違う気がする。


フェリス「あのさ、あの日行ったときはその配置だったけど、別の日は違うかもしれないだろ? もう1回か2回視察に行かないの?」

シンディ「あそこ行くのも疲れるのよね。面倒な服着ないといけないし。それでマルコにどういう態勢で護衛しているか調べてもらったら変わらないって」

そう言う気はきちんと回るらしい。


フェリス「行くと疲れるところだったらなおさら慣れておいた方がいいんじゃないの? それに本番のときだってあのくらいの服は着ないといけないでしょ」

シンディ「まあ、そうね。エドも慣れておいた方がいいから、もう一度くらい行くつもりよ。それから服の方はちょっと工夫したの」


フェリス「え? 何をしたんだい?」

シンディ「やっぱりこれ動きにくいじゃない? 襲われたときにすぐに脱げるようにちょっと細工してもらったの。下には動きやすい服を着るわ」


やれやれ。若い女性の中で人気の仕立て屋の服もシンディにとっては煩わしい拘束衣か何かに過ぎないらしい。あの店の職人さんも苦虫を潰していそうだ。ともかくいちいち準備ができている。


フェリス「あのさ、騎士団とか自警団への連絡はできているの?」

エドアルト「え? 何です? それ」

シンディ「あくまでも訓練だから、あらかじめ騎士団や自警団に知らせておくの。騒ぎになってもはじめから訓練ですって。そうじゃないと迷惑がかかるでしょ。ともかく、それは外部のことだから、計画ができてからするわ」

なるほど抜かりはないらしい。


エドアルト「では私のときもしましたか?」

何かシンディ相手だと言葉が堅苦しくなる。何か宇宙人語っぽい。俺相手だったら「じゃあ俺のときもしたんすか?」くらいで丁寧なつもりになっていそうだ。


シンディ「ええ、もちろんよ」

エドアルト「はあ。それなら新入りが入るたびに同じ訓練をして方がいいですね」

自分がされたことを人にもしたいらしい。しごきを下に伝えていく運動部みたいだ。


ともかくいちいち計画は整っていった。

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