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装飾品店の担当者のマルコに話を聞く

 うちの商会で少し高級な装飾品店をしている。シンディの護衛部門でそこの護衛をした方がいいかを見に行くために視察に行った。


わざわざシンディにそれ様の服まで仕立てた上でだ。するとシンディは、エドアルトを襲った時のように簡単にはいかないが、あと一人いればどうにかなると言う。


強盗の相談というのも恐ろしい話だが、犯罪を防ぎたかったら犯罪を想像する知力とそれをしない道徳を持っていないといけない。想像もできない人はあまり人の上に立つ資格がない。


フェリス「エドアルトもいればどうにかできそう?」

シンディ「まあできると思うわ。あの店番は専門の護衛ではなさそうだしね」


そこまでわかるものかと思う。


フェリス「そんなことわかるの?」

シンディ「なんとなくだけどね。何かいろいろ甘いのよね。しかもこちらの動きにいちいち反応していたし。あれじゃくたびれるだけよ」


確かにずっと続く仕事なら何でもかんでも反応せずにくたびれないようにしなくてはならないだろう。ただそうなるためには反応する時期を経ないとできそうにない。


それで反応すべきものとしなくていいものが区別できるようになる。初めからやれと言われても難しそうだ。


ともかく素人の護衛では困る。ちょっと調べてみようかと思う。さすがに担当者の頭ごなしに商会主人がいきなり強盗すると言うのもまずすぎる。とりあえずは誰が担当かマルコに聞いてみる。


フェリス「ねえ、中心街のあの少しお高い装飾品店だけど、あれって誰が担当なの?」

マルコ「僕がやっているけれど、何か問題でも?」


フェリス「あ、この前シンディと見に行ったんだ」

マルコ「え? シンディと?」


フェリス「なんか問題でもある?」

問うのが逆になってしまった。

マルコ「いや、シンディがあの店行ってもあまり面白くなさそうだから。君だってそんなに面白くないだろうし」

見事に見抜いている。そうでないと商売はできそうにない。


フェリス「まあ……、それはね。それはいいとして、ずいぶんたくさん担当しているんじゃない。少し別の人に任せたら?」

マルコ「いちおう部下にある程度は権限を渡しているよ。だけど役員が担当しなきゃいけないこともあるし。誰かさんがしてくれるといいんだけど」


何か火の粉が飛んできた。こちらは新規開拓とかいろいろしないといけないことも多いのだ。確かに俺は役員の中では一番暇そうにしている気がする。それはもうブラックはこりごりだし、子爵の襲撃とか心配事も多いからだ。


フェリス「役員とか増やした方がいいかな?」

マルコ「それは将来的にはそうかもね。ただいまでもそんなに無茶苦茶忙しいわけじゃないから」

余裕のあるうちに手を売っておいた方がいいような気もする。


フェリス「ところであの店のことなんだけど」

マルコ「そうだったね」


フェリス「シンディが言うには護衛がいろいろ甘いと言うんだ。その点大丈夫かなって」

マルコ「ああ、そういうことか。なるほど、それならわかる」

納得されてしまった。


フェリス「シンディが言うには1人じゃ無理だけど2人で襲ったらどうにかできそうだっていうんだ」

マルコ「うーん。護衛のことまでは担当していないからなあ。というかうちの店はどこもダメじゃない?」


フェリス「まあそうなんだけど、食品店襲っても大した金にならないし、襲う人もあまり多くなさそうでしょ。だけどあそこなら襲うのも意味がありそうだし」

マルコ「なるほど」


フェリス「だから、訓練で一度襲ってみようかなと」

マルコ「え? 何それ?」


フェリス「いや、この前やったんだよ。新しく雇った俺の護衛のエドアルトというのがやっぱりかなり甘かったんでシンディが襲って、それからはずいぶんよくなったんだ」

マルコ「なんか僕が知らないうちに恐ろしいことしているんだな」


マルコは少し唖然としている。確かにちょっと驚くようなやり方だ。ただ魔物の被害などが出ている世界だとまだ実力行使の風は強い。それくらいはみんなありうると考えている。


店を訓練で襲う方も、前世だったら訓練対象も含めて事前通告なしでやったら大問題になりそうだが、こちらだとなんとななりそうだ。



 ところで前はマルコと俺たちの間ではどんなことも共有していたが、今回はそうではなかった。装飾品店はたぶんオープンのときに視察に行っている気はするが、あまり気に留めていなかった。


逆にマルコの方は俺たちの護衛の方は詳しくなかった。忙しくなってくるとこういうことも起こってしまうのだろう。


もっとも3人で遊んでいたころから、お互い知らないことだってなかったわけじゃないのだし、そんなものなのだろう。


フェリス「とにかく、護衛がどうなっているのかそれとなく探りを入れてみてくれないかな?」

マルコ「うん、わかった。それでまずかったらどうするの?」


フェリス「とりあえず、シンディの下の護衛部門で引き受けられないか考えてみる」

マルコ「わかったよ」


フェリス「じゃあ、よろしく。抜き打ちがダメになるような探り方はやめてね」

いちおう注意しておいた。



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