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商会の中で護衛が必要な部門

 エドアルトが入ったので護衛はシンディと合わせて2人になった。ときどき冒険者ギルドから人が来ることもある。


またアレックスは俺たちより1つ下でまだ修行中なので完全ではないが見習いのようにはなっている。来年あたりは彼も入りそうだ。


とりあえずこれならシンディがいないときでも俺の護衛には困らないと思う。



 以前はエドアルトの護衛がまるっきりなっていなかったので、シンディが彼の護衛する俺の乗った馬車を襲ってエドアルトを縛り上げたのだった。


エドはすっかり手が出せず寝落ちして、水をぶっかけられるまで気づかなかった。そこで本番だったら殺されていたかもしれないと思い知らされる。


護衛を続けるかどうか本人に委ねたが、続けたいと言うことでまたやってきた。それ以降はエドアルトの方もずいぶんと真剣になった。


以前はまるっきり気が抜けていて護衛されても不安だったし、とても外になど出せない状態だったが、今はそうでもない。



 そうは言ってもまだシンディは不安のようだ。相変わらずこちらの様子を聞いてくる。さすがに付け回すのは禁止した。いつまでもその調子では彼女自身のことができずに困るし、エドも責任感が持てない。


その代わり、騎士団や自警団が来にくい路地などに入るのはなしにした。そちらの方は前にちょっと試してみたら、エドの方がダメだと制止した。


前だったら己の剣術の腕に頼って平気で認めていたが、いまは違う。もしよそに出したとしてもそれは続けてほしい。専門の立場から相手が目上でも止めないといけないことはあるのだ。



 人が増えたので俺の護衛以外もした方がよさそうだ。あまりに暇で暇で仕方ないとなると、経営する方としても困るし、彼らの能力も向上しない。


かといって完全に忙しく休む暇もないと言うのも困る。それは労働者側だけでなくて、実は経営側にもよいことはないと思っている。


嫌気がさして従業員は逃げていくだろうし、実は忙しすぎても能力は向上しないと思っている。仕事を振り返ったり、命令された以外のことをする時間は必要なのだ。


シンディ「さてと、人も増えたけど何したらいいかしらね」

フェリス「うーん、よその護衛の請負もありうるけど、とりあえずはうちの商会の中での護衛を考えた方がいいんじゃない?」

シンディ「それもそうね」


そういってシンディは役員たちに聞きまわって、護衛の必要そうな部門を探してきた。


俺以外の役員にも護衛が必要かというとまだそこまでは大丈夫なようだ。俺は主人で目立つし、だいいち子爵から個人的な恨みを買っている。


それに比べると役員たちはそこまで目立っていないし、子爵も彼らのことまでは知らないかと思う。むしろシンディの方が知られているかもしれない。



 それで護衛の必要性についてだが、装飾品を売っている店と、それから現金輸送で護衛をつけていることが分かった。


装飾品の方は子爵領にいたころから行商のときにそれほど高額でないものを扱っていた。


こちらに来てからもそれが続いていて、どうも俺がよく認識していないところで展開していたらしい。

装飾品について少し高級な商品ばかり集めた売り場を作っているとのことだった。


いちおう報告書では読んでいたし、売り場にも行った覚えがないわけではないのだが、記憶から遠のいていた。



 そちらの売り場ではさすがに高額の品を並べているだけあって護衛に近い者がいる。もともと少し体格のいいものを雇って店内を監視されている。


こちらの社会ではまだ大きなガラスを作るような技術はないので、ガラスケースなどは作れない。さすがに高級品は客の手の届く範囲にはおいていない。


カウンターがあり、そこで店員と客が対面しての売り方となる。商品は店員の後ろの棚に置いてある。客は商品は遠目にしか見えないため、よくよく見たいときは店員に声をかけて取り出してもらう。


とうぜん取り出されたものを触っているうちにそのまま支払いせずに逃げ出すようなものも稀にはいる。そう言う者を出口で押しとどめる者が必要になるのだ。



 いま雇っている者は専門の護衛というわけではないようだ。だいたいそれはどこの商店もそんなものだ。こちらの社会ではそこまで専門分化していない。だが本当にそれでいいのかどうかはわからない。


フェリス「あの装飾品店の護衛ってあれでいいのかな」

シンディ「そんなのわからないわ」

フェリス「だけどさ、シンディは俺より荒事が得意だろ」

シンディ「うーん、あの店を中に入ってちゃんと見たことないのよね」


それはそうだ。だいたい彼女の興味の外だ。武器屋などはよく行っているようだが、装飾品など興味ないだろう。オープンのときに俺と行って、俺と同じように忘れていそうだ。


フェリス「うーん、ちょっと視察してきてくれないかな?」

シンディ「いいわ、今から行ってくる」


そう言うが、止める。いま彼女が着ているのは道着のようなウェアだ。さすがにそんな恰好で行ったら店も困るし、護衛も最大限警戒するだろう。それでは視察にならない。


仕方なく、シンディに衣装を調達することにした。



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