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シンディの突飛な計画

 俺や店の護衛を組織的にするためにシンディを護衛部門の長にしてエドアルトを雇ったが、エドアルトはどうにも注意力散漫だ。


それでエドアルトが護衛するときにシンディが不安になったようで、こっそり俺のことをつけていたことが分かった。


彼女がいなくても護衛が回るように人を雇ったのに、これでは困る。ある時に予定外で馬車を路地に入れて、彼女がついてくるのを待ち、捕まえた。


彼女はたまたま通りかかったと言っているが、5日前もおとといもいたことはわかっている。帰宅して彼女を問いただす。エドアルトがいると面倒なので、彼には帰ってもらう。


フェリス「さてと、なんであそこにいたのかな?」

シンディ「いや、さっきも言ったけど、たまたま通りかかったの」


フェリス「うーん、おとといもいたよね」

シンディ「え? 何のこと?」


フェリス「おととい、君の姿を見たんだ」

シンディ「あら、よく似た人じゃない?」


フェリス「おととい路地に入っていたことを君は知っていたね」

シンディ「うーん、たしか馭者から聞いたんだったと思う」


フェリス「君がそう言うから馭者に聞いたけど、話してないって」

シンディ「あら、そうだったかしら」


フェリス「ついでに言うと、5日前に広小路で脱輪事故で渋滞があったときも君いたよね。服装は珍しくブラウスだったけど」

シンディ「あら、そうだったかなあ」

フェリス「あのね、こんな偶然あるはずないんだよ。心配で付け回しているんだろ?」


シンディの方は言い渋っていたが、さすがに言い逃れしきれなくなって、追い回していたことを認めた。

シンディ「ちょっと心配になって……」

フェリス「だけど馭者には安全な道を通るように指示していたよね」

シンディ「前にフェリスが言っていたでしょ。トラブルに対処するより、最初から起こさない方がいいんだって」

それを聞いただけで、すぐに応用できるのは、彼女はやはり荒事向きなのだろう。


フェリス「それはともかく、君がいなくても回るように人を雇ったのに、つきっきりはどうかと思うよ」

シンディ「誰でもはじめは面倒見なきゃいけないでしょ」


それはその通りだ。ただいまのままで初めだけで済むように思えないところが困る。

フェリス「エドアルトは少しは進歩しているの?」

そう言うと、シンディは答えにくそうだ。

シンディ「まあ、少しは」

と言ってもそう言う様子が見て取れない。


フェリス「現実的な時間でモノになりそうなの?」

シンディ「何とかモノにするから。いまだけは大目に見て」


フェリス「それって、ほんとうに今だけで済むの? ずっと続くってことはない?」

それに対してはすぐには答えない。


シンディ「うーん。それはどうなるかわからない。でも初めは誰でも仕事できないのは仕方ないでしょ」

それはもっともだ。ただずっとでは困る。


フェリス「それはわかるけど、ずっとこのままはよくない。どこかで期限を決めてどうにかしないとダメだよ」

嫌なことを言っているのはわかっているが、さすがにシンディがずっとついて回るのは明らかによくない。シンディはしばらく考え込んでから答えた。


シンディ「わかったわ。一週間でかたをつけるわ」

えっ? それはいくらなんでも早すぎじゃないか? エドアルトの意識を変えるにしてもそんなにすぐにはできそうにない。いくらいい加減な仕事ぶりとは言え、そんなに簡単に首にしていいとも思わない。


フェリス「それって早すぎない?」

シンディ「あら、早い方がいいでしょ?」

フェリス「だけど、あんまりすぐに首にするのもどうかなと」

シンディ「いい考えがあるの」


何か恐ろしいことを考えていそうだが、聞かずにはいられない。

フェリス「いい考えってどんなの?」

シンディ「あたしが覆面してフェリスの馬車を襲うの。それで守り切れたらまあ大丈夫でしょ。守り切れなかったら、たっぷりしごいてやるわ」


確かに効果的な気がする。守り切れなかったら、たぶんエドアルトも調子に乗ったことはできなくなるだろう。ただ何か考えることが恐ろしい。うーん、なんかよさそうでまずいところがあるような気もする。


だけどシンディに任せたのにあんまりこっちが口出してやめさせるのもどうかと思うしなあ。


ただちょっと一つだけ思いついたことがある。騎士団や自警団にあらかじめ知らせておかないとまずいと思う。彼らが駆け付けてくるとまずい。


フェリス「あのさ、騎士団とか自警団にはちゃんと話し通しておいてよ。訓練だって」

シンディ「そりゃそうね。言っておくわ」


というわけで俺は1週間以内にシンディに襲われることになった。騎士団や自警団はその日はなあなあでしか動かない。まさかその日に賊が襲ってくることはないだろうとは思う。


そう言うとフラグっぽいがさすがにそう言うことはおきそうにない。



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