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シンディとの護衛学校相談

 冒険者ギルドで紹介された護衛専門のマリーク氏に道場で教えてもらうと、多くの弟子たちが稽古を希望した。


マリーク氏は多人数に教えたことがないので戸惑っているが、何かが起こりそうな気がする。その辺をシンディと話している。


護衛専門の道場か学校を作ることや、護衛ばかりを集めた商会などだ。



 護衛専門の道場についてシンディはそんな学校に人が来るのかと疑問を持った。

シンディ「でもそんな学校に人来るのかな?」


これはもっともな疑問だと思う。


前世の専門学校はどうだったか。職業に就くためにその学校に行っていた人はけっこうな数いた。それ以外に職業つけそうにない学校でもそれなりに人気のある所もあった。


きちんとして就職実績がそれなりにあってもいまひとつ人気のない学校もあった。もっともそれは2010年代の求人があまりにも少ない時代だったからもしれない。


どうせ大した就職ができないなら楽しそうなことをした方がいいと思うのかもしれない。いまこちらの世界ではまだ若いうちに徒弟をさせる感じで長く学校にいる風ではない。


ということはやはり学校に行った方が明らかに得をする状態でないと、来てくれそうにない。


フェリス「そこを出ていれば護衛として雇われやすくなるとかより高給で雇ってもらえるなら来ると思う」

シンディ「なるほどね。でもそう言うことってできるの?」



 前世で大学で役に立つことを教えろと言われていた。ただそれも難しいように思う。あまりにも仕事内容が高度化して、それに伴って分化しすぎていた。


つまり職場によってすることがあまりにも違っていた。みな「社会では……」というが社会がちっとも一様でなかった。みんな自分の職場でしていることをみんなしていると幻想している。


そうすると役に立つものなど教えにくい。ある職場で役に立つことを教えても他の職場ではちっとも役に立たないからだ。



 ついでに流行り廃りが激し業界である時に役に立つものが5年後にほとんど役に立たないとなると、役に立つことを教えてもすぐに陳腐化してしまう。


長く役に立つものとなると、実はすぐには役に立たなかったり、あまり役に立つ実感がわかないものだったりする。



 ただこちらの社会はまだそんなに高度化も分化もしてないようには思うのだ。実際にマリーク氏のしていることはちょっとした工夫が多いがそれもできない護衛もいるらしい。


実は全く分化していないわけでもない。実際に師範代の護衛技術は魔獣や動物相手なら有効だったが、集団の賊のような者相手には対応できなかったのだ。


フェリス「うーん、いろいろ工夫が必要だと思う」

シンディ「どんな工夫なの?」


フェリス「つまり多くの職場で求められていることをあらかじめ教えるとかね。どこでもはじめは徒弟は見習いから始めるだろ。それを引き受ける」

シンディ「でもそれって職場で給金もらえるはずなのに、それがもらえない上に親は授業料出さないといけないのよね」


フェリス「うん、そうだ。だから学校出た者はふつうの徒弟よりはじめから多くの給金をもらえて得するようにしないといけない」

シンディ「そんな風にできるのかな?」

フェリス「いやそんな風にしてほしいんだけど」


実はシンディにその事業を任せようと思っている。正直言って護衛のことはよくわからないところが多い。商売とか組織のことなら割とわかるが、武力関係はよくわからない。


もちろんシンディが苦手なこともあるだろうから、それは誰か補助を付ければいいと思う。


シンディ「えーっ? あたしがやるの?」

フェリス「できないかな?」

シンディ「なんか難しそう」


職業に就いた者はいつかは後進を育てないといけない。それを大規模にしただけだ。とはいってもシンディはまだ15の成人をしたばかりで、後進を育てる年齢でもないことは確かだ。


フェリス「いや俺の妄想だからすぐにできなくてもいいけど……、だけどさ、どう、あのマリークさんの教えていることは?」

シンディ「そりゃいいと思うわ」


フェリス「だからさ、もっと多くの人に教えたらよさそうじゃない」

シンディ「そりゃそうね」


フェリス「だからさ、それをやってみない。少しくらい失敗したってお金のことならかまわないし」

シンディ「そう言われると面白そうね。やってみなきゃわからないわ」


そう言ってもらえると助かる。別に学校と言ったって3か月だけのコースでもいいのだ。それなら受講生の負担も少ないだろうし、ちょっとやってみるかと思うかもしれない。


あるいは職場の方でちょっと鍛えてもらおうかと護衛の徒弟をよこしてくれるかもしれない。それにそれくらいなら失敗しても運営側も受講生もたいして痛くはない。


何かいいものを得ようと思ったら、成功するかしないか危ういものに手を出さないといけない。前世の有力私立大学だって明治時代にできたころは学生が集められず危なかった時代もあったのだ。


フェリス「じゃあ、それはやってみると言うことで」

シンディ「わかったわ。そこまで言われてしないんじゃ武人としてすたるわ。だけどこまごました書類仕事はあたしは苦手よ」


武人といわれるとちょっととまどう、書類仕事苦手とはっきり宣言されるのも困る。ただまあ割と上出来かなとも思う。


シンディ「そう言えばさっきフェリスは何かもう一つ言いかけていなかったっけ?」

フェリス「あ、護衛ばかり集めた商会のことだよね」

シンディ「そう、それ。それはどんなものなの?」



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