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アレックスを呼び出す

 シンディが俺の護衛係に年下のアレックスを起用しようとした。だが彼はまだ未成年で体も十分できていない。


少しばかり剣術ができたとしても護衛としては不安が残る。シンディは会議にかけたが案の定親の同意がないと問題点を指摘された。


それでシンディに事情を聴いてみるとアレックスのことを彼の親御さんから頼まれていて、アレックスがブラック気味の働き方をしていたので助けたかったそうだ。



 アレックスの方は体を使う仕事をしたいらしい。別にうちだって体を使う仕事は護衛以外にもあるからそれにすればいいと思う。


護衛はやはり大人でないといろいろうまくない。だいたい大人でないと戦えないケースは多い。


それに前世よりはいい加減とは言え、やはり子どもが危険な仕事をしてけがをしたり死んだりすれば商会自体に悪い評判が立つ。


そういうわけでアレックスについても呼び出してどうしたいのか聞いてみることにした。


フェリス「ちょっと時間のある時にアレックスを呼んで話をしよう」

シンディ「じゃあいつでもいいってことね」

フェリス「なんでそうなるんだ!」

シンディ「だってフェリスはいつも暇じゃない」

フェリス「いやずいぶん忙しいぞ」

シンディ「別に外出しているわけでもないし、来客があるわけでもない。仕事だって部下に任せっぱなしだし、執務室でも関係ない本ばかり読んでいるし、家でいつもクロと遊んでいるじゃない」


まるで俺が仕事をしていないかのような言い方だ。あくまで余裕のある働き方をしているだけだ。そうでないと緊急時に対応できなくなる。新しいことも考えられない。


自分が余裕だらけで部下に押し付けていたらろくでもないが、部下にも十分余裕のある働き方をさせている。


上司が忙しくしていたら部下は休まらないだろうからと、率先して余裕のある働き方をしているまでだ。


本を読んでいるのも新しい商売のネタ探しだ。あまり直接関係するものばかり探していても大きく儲かるものはないので関係ない本を読んでいるまでだ。


だいたいうちは同業他社よりずっと効率がいい。そんなに忙しくしてたら、よそを潰してしまう。これくらいがいいのだ。


……と、頭の中ではずいぶんと回転が速く考えられるのだが、実際に口に出すのが難しい。それでつい適当なことを言ってしまう。


フェリス「いや、それはいろいろあるんだよ。それなりに忙しいし、忙しすぎるといろいろうまくないからね」

シンディ「とにかく暇なのはわかったわ。あとでアレックスを連れてくるから」


 そう言って実際に後になってアレックスを連れてきた。人の都合も聞かずに。


アレックス「仕事のことでお話があると聞きました。忙しいので手短にお願いできますか?」

口調は丁寧だが、仕事を割り振ってもらう商会の主人に聞く口ではないと思う。俺が道場に行かないことや弱いことで下に見ているんじゃないかと思う。


フェリス「あのな。仕事をもらうのにそれはないだろ」

そういうと少し思うところがあったらしい。


アレックス「すいません。護衛の仕事だと聞きました」

フェリス「それはなしだ」

アレックス「え、じゃあなんで呼び出したんですか。これからまた仕事あるのに」

何かやたらとせわしない。


フェリス「いましている仕事はどういう仕事なんだ?」

アレックス「え? 工事現場で……、あ、遅れると罰金なんだ」


未成年で工事現場というのも、こちらの世界でないわけではないが、やはりすこしよろしくない職場のようだ。


遅刻でいきなり罰金というのもかなりブラック臭がする。ちょっと伯爵府の官憲をつついてみようかと思う。


その結果、アレックスが辞めさせられる可能性は高いが、それはそれでいい。俺は彼の親のカスパーからよろしくと言われているしな。


フェリス「ちょっとあまりいい職場じゃなさそうだね。カスパーはいいと言ったのか?」

そういうと、アレックスはなにかまずそうな顔をする。


アレックス「いや、親父はここにはいないから」

親の許しを得ずに働いているということか。ただアレックスはクルーズンの道場に内弟子でいる。ということは道場主が保護者になっているはずだ。


フェリス「道場主はどうなんだ」

アレックス「いや、それもちょっと……」


つまり隠れて働いているということか。なんとなく見えてきた。道場では中の雑用をすることで最低限の衣食住は保障される。


だがそれだけでは誘惑の多い大都市では物足りない。それで隠れて働いているのだろう。


だいたいこちらの世界ではそこまで法制度が整っていないので、未成年が働くとなると親が目を光らせる。


危ない職場なら親が止めるのだ。もちろんそのやり方は子どもから搾取するような親だと上手く行かない。


だがふつうの親ならそれなりには有効に働く。ただ今回のように隠れて働くとそうもいかなくなる。


面倒を頼まれているだけの道場主では親ほどは眼を光らせないのもあるのかもしれない。


アレックス「俺、行かなきゃいけないから」

フェリス「まだ話がある、シンディ、帰すな」


そう指示する。

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