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護衛候補についてスコットに相談

 子爵に襲われ護衛が必要となり、組織的に護衛してもらことになった。


ところがシンディにその仕事を任せたところ、いきなりうまくないことをし始めた。


護衛としてはまだまだ未熟と思われる年下のアレックスを登用しようとしている。まだ10代前半で若すぎるし、年齢からみれば剣術もうまいが、大人と比べるとやはり見劣りする。


だが一度シンディに任せたのに頭ごなしに仕事を否定しても、彼女もやりにくいと思う。


それで冒険者ギルドのスコットに話しに行くことにした。ギルドからは護衛を派遣してもらっているし、今度もこちら専属の護衛を出してもらう話をしている。


フェリス「こんにちは」

スコット「おう、何の用だ?」

フェリス「例の護衛のことで」

スコット「ああ、そうだったな、シンディに任せたんじゃなかったのか?」

フェリス「ええ、彼女に任せたんですが、ちょっとまずいことに」

スコット「何があったんだ?」

フェリス「クラープ町から連れてきたアレックスって俺たちの1つ下の子がいますが、彼を護衛にすると言っているんです」

スコット「アレックスって、クラープ町の道場のカスパー・エルスターの息子か?」

フェリス「はいそうです。よくご存じで」

スコット「そりゃ、うちの組織は道場とは懇意だからな」

そうだった。そもそもスコットと知り合ったのもシンディの父親で道場主のレナルドのつながりだった。


フェリス「ええ、それで彼はまじめだし年の割には剣術も上手いでしょうが、ただまだ若すぎで」

スコット「確かにな。シンディは大人顔負けだが、誰でもがそう言うわけでもないからな」

フェリス「ええ、だいたいそれで彼はむしろ弓中心に転向したくらいなんです」

スコット「ふーん、それでどうしたいんだ?」

フェリス「できればアレックスは見送って欲しいんですが、俺がシンディに仕事を任せただけに頭ごなしに否定するのもうまくないかと」

スコット「ふーん、なるほどな」


スコットは「うーん」などと言いながら少し考えている。

スコット「まあわからんでもないが、はっきり言ったらどうだ?」

フェリス「どうですかね。武力がらみについては彼女自身が俺より詳しいと思っているだろうし」

スコット「まあそうか。確かにフェリスに言われたくないだろうな」

スコットは俺が剣術関係はまるでダメということはわかっている。もっともギフトを使えばそれこそオークにでも勝てるのだが、意味のあることではない。


スコット「まあ、俺が言ってもいいが、やはり中で解決した方がいいんじゃないか?」

フェリス「そりゃ中で解決できた方がいいでしょうが、やっぱり俺が言うのはちょっとうまくないかと」

外野に何か言われてそれで決まるより、中できちんと考えた方がいいのは確かだ。だけど今はそれがしにくい。俺が言うのはやはりうまくない。


スコット「いやフェリスが言わなくても金を出すのは商会だろ。商会の中の金出すところが何か言わないのか?」

フェリス「あ、なるほど」


確かにそれはありそうな気がしてきた。俺とシンディだけで話しているから、2人の間のことかと勘違いしてるが、商会の運営の話だ。


人の採用など他の役員が口を出すことはありうる。そう考えると、いろいろ見えてきた。


よくよく考えるとアレックスはまだ未成年だ。初めから未成年を雇うことを想定している職でなければ、物言いがつくのは当然だ。


スコット「何か思いついたか」

フェリス「はい、ありがとうございます」

スコット「またなんか上手く行かないようなら相談に乗るから」

フェリス「はい、よろしくお願いします。でも何でアレックスなんでしょうね」

スコット「そりゃシンディだって(道場の)カスパーから息子を頼むくらい言われているだろ。なんか年上っぽいところを見せたいんじゃないのか?」

フェリス「ああ、なるほど」



 何となく方向性が見えてきた。護衛は俺のポケットマネーで雇うわけではなく商会の経費で雇う。それなら役員会にも通さないといけない。


少額だったり継続的に使っている経費なら、形式的な審議で通るだろうが、新規でそれなりの金額であればそうはいかない。担当者に説明が求められる場面もあるはずだ。



 とはいえ、それで誰かが言ってくれるのを待っているだけだと、誰も言わない可能性もある。


やはり他人の意見に疑義を呈したりすると、それが組織に必要なことであっても、相手からはよく思われないだろう。だから躊躇する可能性はある。


それに今回のは無視できるほど少額でもないが、取り立てるほど高額でもないと言うこともある。


すると誰も何も言わないまま、かといって俺が介入するわけにもいかずに素通りしてしまう可能性はある。



 そういうわけでマルコに話をしておく。


フェリス「実は護衛のことなんだけど、シンディに任せたはいいけど、ちょっと候補者がまずいんだよ」

マルコも納得してくれて、他の役員にも言ってくれるらしい。


少しやり方が嫌な感じもあるが、組織的に当否を判断するとか、シンディがそれに通るように理論武装するとかは悪くない。


あまりに細かいことまでそうしていると煩雑になりすぎて組織が回らなくなるだろうが、それなり以上に重要なことはそうした方がいいように思えてきた。


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