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5. シンディへの打診

 子爵に襲われて警備の必要性を痛感するようになった。ただ思い返してみるとそれ以前からも商会がらみで必要性があった。


それで冒険者ギルドのスコットのところに行くと、俺が考えている内部での警備組織の長にシンディを当てたらどうかと提案された。


シンディは組織の長は向いていないと思うが、彼が言うには護衛を束ねるのは強い者でないとうまくないらしい。組織は組織で別の者に担当させればいいとか。


そこでそれは考えておくことにした。




 ところでスコットに相談に来たのは、誰か護衛になる者を回してくれということだ。

フェリス「それで人を回してほしいです」

スコット「それは候補がいる。ただその辺もシンディがした方がいいんじゃないか?」


確かにその通りだ。もしシンディが組織を動かすことになった場合に、俺が頭ごなしで決めてしまえば、シンディはやりにくいし面白くないかもしれない。


それに人を採ったり折衝したりするのもシンディが組織の上に立つなら経験しておかないといけないはずだ。


フェリス「わかりました。シンディに言っておきます。ちなみにどんな人です」

スコット「二十歳前の若い奴でな、なかなか見どころがあるぞ」



 若くて護衛は珍しい。もちろん剣術をしている者の選択肢ではある。ただ冒険者になって一攫千金を目指す方が多い。


実際には大半のものはそんなに儲からないわけだが。そうは言っても若いうちはそれにあこがれる。


若いうちは手探りでいろいろやってみた方がいいと思うし、海のものとも山のものともつかない職業にはある意味持って来いの時期だ。なんかやっぱり中年みたいなことを考えている。



 護衛というと、家族持ちになって妻からいい加減危ないことは止めて欲しいと言われたり、外を出歩くのは止めてくれと言われてなるケースが多い。


もちろん若くてもなる者はいる。俺みたいに向いてなさそうだとか言うこともありそうだ。ただ俺の場合は剣術も向いてないからまったくダメなのだけれど。


それ以外にもあまり町から離れにくい事情があるとか、危険だからと親に反対されるなどだ。


職業なども親が勝手に決めてしまう場合も少なくない。ただあまりに合わないと、本人が辞めたり首になったりで、仕事を変わることもある。




 ともかく商会に持ち帰ってシンディに話をしてみることにする。

フェリス「ちょっと護衛のことで相談があるんだけど」

シンディ「なに? 私がやるわよ」

フェリス「いや、そう言うわけにはいかないよ」

シンディ「私じゃ不満ってわけ?」

うーん、彼女に組織を任せて大丈夫なのかと心配になる。


フェリス「そうじゃなくて、シンディが中心になってするのはいいんだ。ただ1人でするのはもう限界だってこと」

そういうと少し考えている。


シンディ「でもいままでだってやってきたじゃない。ちょっとはまずいときもあったけど、その辺は頑張れば何とかなるわ」


頑張って何とかするようでは困るのだ。なくても構わないが、あればうれしい類の仕事であればそれでもいい。例えば全く未知のものの研究開発などだ。なければないでもいい。


それに対して、なくては困るものにたいして頑張って何とかするのは間違いだ。頑張って何とかしているとだんだん疲弊してくる。


それに何か大きな想定外の事態があったときに全く対応できなくなる。その辺を彼女に説く。


フェリス「あのさ、頑張るって言っても時間の余裕がないよね」

シンディ「それは何とかやりくりすれば」

フェリス「君が道場に行くこともあるし」

シンディ「フェリスも道場に来ればいいじゃない」

フェリス「護衛される側がする側の都合に合わせて動くなんて変だよ。それに他の用事で行けないこともあるよ」

実はあまり道場には行きたくないのだが、その辺はあいまいにしておく。


シンディ「その時はその時で人を頼めばいいじゃない?」

フェリス「前みたいに変な客がおかしな要求をしてくるくらいならそれでもいいんだけど、子爵みたいに本当の脅威があるときはそうはいかないよ。殺されかけたんだよ」

シンディ「そうねえ。で、どうするの?」

フェリス「ちゃんと組織を作って警備をしてもらおうかと思う」

シンディ「じゃあ、私はもういいってこと?」

フェリス「さっき言ったじゃないか。シンディが中心になるって。君が中心になって組織的に護衛するんだよ」

シンディ「えーっ、私が束ねるの? そんなの向いていないわ」

自分が上に立つのが向いていると思う者より向いていないと思う者の方が実は向いているような気もするが、今回の場合は論外にも思う。ただ突き放すのもいいとは思わない。


フェリス「でも俺だって商会のトップだし、マルコだって組織の中核で動かしているよ」

実は数か月だがシンディの方が年上だ。

シンディ「そ、そうね」


シンディは少し考えている。どうしたものかと思う。


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