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警備のあり方について

 いま住んでいるクルーズンの隣の領の子爵が俺を突け狙い、暴漢をけしかける可能性がある。それに対して警備が必要になってしまった。


剣術が得意なシンディが自前で警備をしたらどうかという。素質のあるものを育てて、警備に当たらせるのだ。




 いま警備は伯爵領の派遣した衛兵が俺の家の前を守っている。しかも裏口まで人を出してくれている。ただそれはそれで面倒なのだ。その辺をシンディにぼやく。


フェリス「門番はありがたいんだけど、ちょっと面倒だよね」

シンディ「何が面倒なの?」

フェリス「彼らがいなければ俺は商会から家までギフトで帰って、商会に行くときもギフトで行くことができるんだけどな」

シンディ「いてもギフトを使えばいいじゃない?」

フェリス「そう言うわけにはいかないよ」

シンディ「え、なんで?」

フェリス「だってさ入口から入っていないのに中に俺がいたら変だろ?」

シンディ「そうね。でもここに決めたときに入口を2つにしたじゃない。別の入口から入ったように見せかけられる作りにしたのよね。じゃあ大丈夫じゃない?」

フェリス「それはさ、門番は想定してないよ。ずっと見ているわけじゃないからね」

シンディ「確かに門番はずっと見ているけど、もう一つの入口から入ったことにしておけばいいじゃない?」

フェリス「だってもう一つにも門番がいるんだもの。しかも彼らは絶対に話すよ」

シンディ「あ、そうね。そうすると通ってないことがわかっちゃうわね」

フェリス「うん。だからやっぱり門を通らないといけない」

シンディ「あれ、でも伯爵にはギフトのことは話してあったんじゃない? じゃあそれでわかってもいいんじゃないの?」

フェリス「うん、話したよ。だけど警備の人にまでは話してないから。そこまで話しちゃったらもう世間中に広がっちゃう」

シンディ「あ、そうね」


というわけで俺はギフトで商会と家を行き来できるのに、門番から疑われないようにわざわざ馬車で行き来しなくてはならない。




シンディ「そうしたら、どうしたらいいのかしら?」

フェリス「やっぱり門番みたいのはやめてもらって、付き添いの警護の方がいいと思うんだよね」

シンディ「私なら付き添いで警護できるわ」

フェリス「うん、それはありがたいんだけど、一人じゃまずいよ」

シンディ「え、よほど危険なところに行かなければ一人で十分暴漢の相手くらいできるわ」

フェリス「いや、そうじゃなくて、シンディだって他のことしたいときだってあるだろ。道場行くとか武器買うとか」

かなりしたいことが女の子らしくない。別にそれはそれで本人が幸せならいいけど。



シンディ「そうね。道場はフェリスもついて来ればいいのよ」

やぶへびだった。

フェリス「だけどとにかく君がずっとついているのは無理だし、風邪ひくことだってあるだろ?」

シンディ「そうね。じゃあギルドか道場に頼む?」

フェリス「うーん、それなんだけどね。ギフトのことを話してもいいくらい信頼できる人を選んで頼んだ方がいいと思うんだ」

シンディ「なるほどね」



 やはり門番なしで、本当にギフトも話せるくらい身近な警護担当者がいればうれしい。


シンディはその1人だが、シンディだけでは足りない。いつも一緒にいるわけにもいかないし、だいたい警護というのはそう言うものではない。


3人くらいはいた方がいい。そうすると何らかの形で商会が主体になって警護の計画を立てた方がいい気がする。




 それに俺の身だけではなく商会の警護の方も、いまはギルドや剣術道場に頼んでいるが、そちらもある程度囲い込んだ方いいような気もする。ずいぶん儲かるようになってきて、前よりは何か仕掛けられそうな感じはある。


さすがにある程度長期契約で人を採っているので、信頼できない人が来ると言うことはない。


警備や用心棒だってこの世界ではすでに長い歴史があるから、犯罪まがいのことをすればすぐに追いつめられる。


だからその場限りで雇う用心棒などでない限り、犯罪に巻き込まれるようなことはめったにない。


だがそこまでいかない秘密保持なんかのことについては、外に頼んだ人は少し不安もある。


もうずいぶん前に前世でアウトソーシングがやたらと流行って、ある人たちは一つ覚えのように言っていた。


だけどそれだって利点欠点はある。もちろん必要な時だけ雇えて費用は浮くかもしれないが、忠誠心とか仕事の連続性ではやはり中の人の方がいい。


その辺のことをマルコと話す。



フェリス「やっぱり忠誠心とか仕事の連続性を考えると警備も外注でなく中で雇った方がいいと思う」

マルコ「それは相当な人数になってしまって費用も大変じゃない?」

フェリス「いや、別に全部じゃなくていいんだよ。例えばさ新商品の売り出しで大量に並ぶ人の整理なんて言うのは年中あるわけじゃないから外に頼めばいいと思う」

マルコ「うん、確かにそうだね。それらに向けてずっと雇っていたら仕事しない日の方が多くなりそうだもんね」

フェリス「うん、だけど機密なんかに関わる警備なら中の人の方がいいだろ。それに外注ばっかりだとノウハウが残らない気がする」

マルコ「確かにそうだね」

フェリス「ちょっとその辺を考えてみたいと思う」

マルコ「なんか思ったより大掛かりになりそうだな」


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