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165. 西部旅行のあと片付け

 西部への旅行の後片付けをしている。シャーベット騒動はだいたい片付いたようだ。出資者の会に出され、とつぜんレオーニ氏の発案で西部への冷蔵流通整備が懸案に上がった。


それは小さく始めると言うことで話がつく。出資者の中にも無茶苦茶な人はいるが、レオーニ氏の無茶ぶりをわかっている人も多かったようだ。


ただその辺の後片付けは俺ではなく他の役員たちに丸投げしてしまった。それはそれで担当者がした方がいい。



 ミルク主体のシャーベットという画期的なものができて、教会の司教からおねだりのような話が来た。


レシピか信者の分まで出させられる危険なあったので、聖職者の分だけの提供を申し出ることで話を済ませた。


これでよかったのかどうかはわからない。司教の方は1回の勝ち負けではなくこちらから長くとることを考えているのかもしれない。



 ただまだ後片付けが残っている。実は西部の旅行の飲食の方はいろいろやってみたが事件に翻弄されてきちんと枠組みや態勢を作れたわけでもない。


大半は担当のアランに任せるが、それでももう一回行って見ておいた方がいい。ギフトでの行き来もクルーズンの近くから帰ってしまったので、もう一度陸路を行くしかない。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)



 シャルキュのレオーニ氏の懇意の店に行く。冷蔵流通の氷魔法使いがかつかつなので休暇のはずの人を1人連れて行く。俺はブラックを嫌っているのになんともブラックだ。


ただそれにはきちんと通常以上の手当てを払う。本来は人を増やすべきだが、素質のある人を選んでさらに魔法学校で数か月となるとそう簡単でもない。


とは言え、いまいる少ない人間で回そうとするとそのうち破綻が来る。やはり無理をするからにはさせる商会の方にペナルティがあってしかるべきなのだ。


それで損する分は商会なり役員なり出資者がかぶればいい。間違っても従業員になど払わせるべきではない。


そんなことをすれば目先は得をしたとしても後々大損になって返ってくる。従業員は恨むだろうし、組織の矛盾は解消しないどころかますます積み重なる。




 シャルキュのレオーニ氏の懇意の店では主人とお互いにレオーニ氏についての愚痴を言い合う。


主人「なんかレオーニの方から冷蔵流通を始めるから食材を送ってくれと手紙が来てるが、どうなっているんだ?」


あれ、趣旨が変わってないか。もともとシャルキュのこの店から西部旅行者用にシャンプやグランルスに食材を送るために冷蔵流通を始めるという話だった。

クルーズンに送るのはついでだったはずだ。レオーニ氏はクルーズンでこの店の食材を使うのに夢中で話が変わってしまっている。


フェリス「レオーニ氏は出資者相手に冷蔵流通を始めるから出資してくれとぶち上げましてね。さすがに小規模で試験的に始めることで話を収めました」


主人「はあ、相変わらず無茶苦茶だな。ところで冷蔵流通というのは話には聞いているが、どんなものなんだ? そんなに食材が持つのか?」

フェリス「それもいろいろ実験してみないとわかりません。今日は氷魔法使いを連れ、食材運搬用の冷蔵庫を持ってきました。これで1日や2日持つか試してみましょう」

そう言って冷蔵の原理を説明する。別に難しいことではない。食材を凍らせるか、氷を一緒に入れるかして、熱の通りにくい木製の箱に入れて運ぶまでだ。


主人「なるほどな。けっこう面倒そうだな」

フェリス「ええ、氷魔法使いも流通手段も必要です。氷がなくなれば中の食材はダメになるので、氷魔法使いもバックアップの人も含めて必要です。それは経路全体でです」


主人「はあ、かなり大がかりだな。レオーニは簡単に言っていたが、ずいぶん大変なものだ。本当に苦労かけるな」

フェリス「ええ、お互い。ところで前にも言いましたが、西部旅行でこちらの食材が必要です。実験が成功した折はどうかお回しください」


ある意味ではレオーニ氏の要求するクルーズンより先に西部に回すように頼む。この辺はやはり現地に行った方が強い。


主人「ああ、そうしたいところだが、こっちもなかなか忙しくてな」

実際に難しいのかそれとも別の理由で断っているのかよくわからない。

フェリス「設備や人を増やすようであれば、出資も致します」


主人「そう言えば君は商会主人だったな。いや子どものなりなのでついつい小僧さんだと思ってしまう。とにかくその際は頼むよ」

フェリス「それでは番頭に伝えておきます」


 先行きはよさそうだ。後でアランに伝えておけばよい。さてそこで実験が終わるまで2日くらいこの町にいる用ができた。


もちろん街を見て歩いたりするが、しっかり用事もある。冷蔵流通で氷魔法使いが必要となると、この町に駐在させる必要がある。


そうなるとこの町出身の方がよい。採用については担当者に丸投げしてもいいのだが、ちょっと担当があいまいになっている。


アランは旅行の担当だ。ついでにさせてもいいのだが、いっぱいいっぱいの気もする。冷蔵流通の担当者は既存のクルーズン南北の流通に忙しくてこっちに来れない。


けっきょく人が足りていない。将来的には人を増やして、アランの下か冷蔵流通の方の人を増やして担当させるべきだが、とりあえずは俺がやってしまう。


絶対にとりあえずだ。そうでないとブラック化して破綻するに決まっている。だいたい効率よく少人数でできると言っている人間は順調な時しか見えていない。


トラブルやイレギュラーはそれなりにあって、その時にけっこうな時間と人手がかかるのだ。そのときにカツカツでやっていると絶対に破綻する。



 ともかく支店に行く。支店では将来に冷蔵流通を担当することを話す。それから教会に行く。教会は学校も兼ねていて人を取ろうとしたら教会に相談するのが一番やりやすい。もともと教会育ちということもあり、いろいろ話もしやすい。



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