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リアナたちのつかの間の休み

 クルーズンの西側の地方の山間の町グランルスから南のモンブレビルにいる。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


 拉致を仕掛ける危ない子爵から逃げるとともに、西部地方の旅行について見るために来ている。


俺だけグランルスでごたごたを片付けている間に、同行のレオーニ氏はその南のモンブレビルで騒動を起こしていた。


シャーベットの食べ歩きで、シャーベット売りの職人といさかいを起こし、料理勝負をして見事に勝ったそうだ。


そんなつまらないケンカに勝ってもどうしようもないと思うが、彼は彼なりに料理のことについては思うところがあるのだろう。


トラブルの起きた端緒は食べ歩きだった。レオーニ氏が少し試食してそれでやめにしたのが気に入らなかったらしい。


その前は全部食べていて頭を委託してお腹を壊したと言うから仕方ないのだけれど。俺が来た後もちょっとその時の影響が残っていた。



 レオーニ氏が少し食べてリアナに渡して、リアナが少し食べて部下に渡して、部下がまた少し食べる。それでも残っていることがある。


さすがにそれで残ったまま捨てるのは躊躇したらしい。そうは言ってもリアナや部下の子に無理やり食べさせるようなことはしなかったと言う。


レオーニ氏もブラック気味のところはあるが、自分もブラックで働き、部下にもブラックを強いているだけだ。部下にだけブラックということはしない。


もっとも本人はブラックと思っていないからたちは悪いのだけれど。前にリアナと部下が先にお腹を壊して、後でレオーニ氏もそうなったので、ちょっとまずいと思ったそうだ。


それでどうしたかというと、道行く子どもに声をかけて「あげる」と言って残りを配り歩いたそうだ。


前世の日本のように食中毒事件が起こったとか、子どもに誘拐やわいせつがあったとか、毒が盛られたとか、そう言う事件はあるのだろうけれど、報道がないからかみな心配していないようだ。


あるいは心配はあるのかもしれないが、魔物や盗賊の襲われて死ぬとかそう言う方が現実的なので、大したことではないのかもしれない。


ともかくそんな状況があるので、子どもたちは平気でもらっていたようだ。というより俺が来てからも、子どもが何人か付きまとっていた。


シャーベットの残りを狙ってのことだろう。この地の名物とはいえ、観光客向けであまり安くはなく、しょっちゅう親が子どもに食べさせられる値段でもない。




 だが俺が来た頃はもう食べ歩きも終わっていたようだ。子どもも最盛期には3~4人付きまとっていたらしいが、いまはたまに1人見かける程度だ。


それもたまたま歩いていたからレオーニ氏が通りかかったからちょっと様子をうかがってみようと言うくらいだ。


リアナに聞くと、いちおう開いている店は全部食べたようだ。ふだん開けていない店もあるようだが、そこはさすがにまだだが、いちおう聞いてみると特に味が違うわけでもないようだ。


というわけで俺が来てから、シャーベットを食べたいと言うと、リアナと部下の子はもうこりごりなのか露骨に嫌な顔をして、レオーニ氏が案内してくれた。それで彼に紹介された店に行く。



 確かにおいしい。結構素材の味が出るからか、前世に比べても遜色はないと思う。もっとも前世はろくなものを食べていなかったからな。


とは言え、前世はもちろんこの世界より技術が進歩していたので、その分はおいしいところもある。200年前の将軍や天皇が食べた物よりおいしいものは世にあふれている。


だけどその技術を使って安い材料で安く作ったものもあふれていた。シャーベットだって果汁をほとんど使わず、砂糖と酸味料と香料が大半のものもあった


その点では、このシャーベットはきちんとした素材で作られていて、十分な食べ応えがある。


フェリス「これ、おいしいですね」

レオーニ「そうだろ? 前に試食していい店だと思っていたんだ」

フェリス「そんなに違いがあるんですか?」

レオーニ「そりゃそうだよ……(その後、よくわからない詳細説明が延々と30分ほど続く)」

何かよくわからなかったが、ともかく、作り方によってずいぶん出来が違うことが分かった。

どこか止めるべきタイミングで止められない人っているよなと思った。



 リアナたちは試食地獄が終わって一息ついている。もちろんこの地はシャーベット以外の名物もあってそれを食べたりしている。


小麦粉を練ってゆでたすいとんのようなものがある。リアナたちのブームはもうそちらに移っている。だけどレオーニ氏の興味はシャーベットにしかないようだ。


リアナ「師匠、十分試食はしましたし、そんな食事にもならないものやめてこっち食べましょうよ」

レオーニ「いや、まだまだ研究は尽くしていない。そんんことじゃこのさき、店はやっていけないぞ」

リアナ「でも、この町は他にも名物はありますよ。それを見落とすなんて」

部下「ええ、このすいとんもおいしいですよ」

レオーニ「だいたいそれをうちの店で出せるか? 別に食べるのは構わないが、焦点を当てて追求するのは出せそうなものだ」


そう言われてリアナと部下はしゅんとする。そうは言っても、やはり他のものを食べ歩いている。


もうすぐレオーニ氏は試作三昧になるだろう。そうしたら彼らも試作に巻き込まれてまた試食も散々しないといけなくなる。


つかの間の休みを楽しんでもらえればよさそうだ。と、他人事みたいなことを言っているが、他人事ですまないような気もする。


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