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レオーニ氏のシャーベットの食べ歩き、リアナと部下の受難

 クルーズンの西側の地方の山間の町グランルスから南のモンブレビルにいる。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


 モンブレビルでは同行のレオーニ氏がこの地のシャーベットに注目して研究を始めることになった。


本当はそろそろクルーズンに帰らなくてはならないのだが、何のかんのと言って居残っている。



 さてそのレオーニ氏の研究だが、もちろん街を歩いてシャーベットの食べ比べもしていたそうだ。今はたいてい食べてしまったらしく、それもほとんどしていない。いやほとんどしない理由はほかにもあるのだ。



 俺より数日先にレオーニ氏はリアナとその部下と一緒にこのモンブレビルに来た。そこですぐに街を歩いてシャーベットを見つけたらしい。ここからはリアナから聞いた話だ。


レオーニ「ここはシャーベットがすごいんだよ」

リアナ「ええ、モンブレの山頂の氷を使うんでしたっけ」

部下「え? 氷魔法ではないんですか?」


レオーニ「あれもけっこう費用が掛かったからね。最近ずいぶん安くできるようになったけど、それはフェリス君の事業のせいで、以前はほとんど使える人はいなかったよ」

リアナ「そうでした。あれでシーフードもかなり広まりましたね」

部下「へえ、そうなんですか。シルヴェスタさんはすごいんですね」


レオーニ「おかげで、うちもずいぶんいい魚を使えるようになったよ」

それを聞いて、リアナはレオーニがいいものを横取りするように持って行くのを思い出して苦笑いだったらしい。それはともかく3人で食べ歩きしたそうだ。


レオーニ「そうか考えたら、氷魔法を使えばクルーズンでも夏にシャーベットが出せるな」

リアナ「そうですね」

部下「クルーズンで出したら人気が出そうですね」


レオーニ「そうとなったら、シャーベットも研究しないといけないな」

リアナ「(え、まずいわ……、また滞在がのびそう。いったい、いつ帰れるの?)あっ、あのレストランの方は大丈夫なんでしょうか?」

レオーニ「うん、大丈夫だよ。僕の作る料理はぜんぶ部下に仕込んであるから心配ないよ」


それを聞いて、リアナはかつて彼女自身も体験した部下たちの苦労がしのばれたそうだ。さらにこれからまた研究に付き合わされることも悩みの種だったらしい。


とは言え、もうこうなっては意見など聞きそうにないことも知っている。それで俺が止めてくれないかと期待していたが、それも見事に失敗したのだ。


部下の子はどちらのときもどうしようもなくそのままついて行くだけだったそうだ。


レオーニ「とにかくシャーベットを食べてみよう」

リアナ「ずいぶんたくさん店がありますね、30か40はありそう」

部下「あそこがたくさん人が並んでて人気店みたいです」

リアナ「町の人に評判を聞いてみたらどうでしょう?」


レオーニ「いや、全部食べてみよう。とりあえず並ばなくて済むところから行ってみよう」

彼はそう言ったと言うが、1つ400~500ハルクくらいする。さらに1つの店で3種類くらい出しているところもあって、けっこうな値段になる。しかも全部食べるなどと言ったらとてもお腹が持たない。


リアナ「いくら何でもそれは無茶です、師匠」

レオーニ「だけど評判の店が必ずしもいいとは限らないし、いいものを見落としたら研究としてはまずいよ」

この辺でリアナと部下は悪夢を想像したようだ。


リアナ「じゃあ、全部食べないで、シェアしましょう」

レオーニ「うーん、でも丸ごと食べてそれで料理の出来不出来というのはわかるものだよ」


そう言って、大食い選手権でできそうにない恐ろしい企画をレオーニ氏が立ててリアナと部下は付き合わされる。彼らはどういう恐ろしいことになるのかとうつだったらしい。


ともかく仕方なくシャーベットを買いに行く。楽しいはずのシャーベットの購入なのにリアナは気が重い。店員からどうしたんだいお嬢ちゃんなどと心配されるほどだったと言う。


ところがそれもすぐに破綻する。3杯も食べるとリアナと部下の子は頭が痛くなったり、おなかに来たりする。


レオーニ氏はお腹が強いのかもうしばらく平気だったが、6杯目くらいからきつくなってきたらしい。


レオーニ「うーん、ちょっとこの調査は無理そうだね」

とっくにきつくなっていたリアナと部下は呆れかえっていたそうだ。


けっきょくトイレに駆け込み、その後は宿に戻って、夕食も取らずに寝入ってしまったとのことだ。翌朝になってレオーニ氏と顔を合わせると、開口一番こういったという。


レオーニ「きのうはちょっとまずかったね。君の言う通りシェアにしよう」

もう少し食べる量を減らす方向に行くと思っていたのに、そうはならず、けっきょく食べ歩きは続くことになった。


リアナ「あのー、もう少し店を厳選した方がよいのではないかと」

レオーニ「いや、見落としの方がよくないよ。飽くなき困難へ挑戦が未来の味を作るんだ」


リアナと部下は今日はどこで脱落するのか、いや脱落できるのかと気が気でなかったという。


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