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125. 豆腐を作ることにする

 西部旅行ツアーを企画でレオーニ氏とリアナとその部下といまはグランルスにいる。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


グランルスでツアー向けに契約してた大手の食堂の内容が悪いので発注はやめて、小さい食堂・里の飯屋との契約を結んだら、大手から嫌がらせをされる。


大手の店は仕入れに圧力をかけ、領主との関係をちらつかせ、里の飯屋について悪い噂を流し、それも効果がないとみると、こんどはヤクザ者を店の内外によこしてきた。



 自警団も呼んでみたが、彼らが来るとヤクザ者は嫌がらせをやめる。自警団も面倒なのか、その場さえ収まっていれば、特にそれ以上のことはしてくれない。


しかもどうも嫌がらせをしている大型店の方が自警団に影響力がありそうだ。そこで男爵麾下の騎士を呼ぶことを考えた。それも里の飯屋の主人と相談する。


フェリス「騎士に来てもらいましょう」

主人「」


フェリス「何を言っているのですか。だいたい男爵にも来てもらったんですから、その麾下の騎士を呼ぶくらいどうということもないでしょう」


どうということもないまでは言い過ぎかもしれないが、男爵を呼ぶよりははるかに簡単な話だ。


もちろん意味のなく呼びつけたり、来てもらっても大した結果がなければ困るが、ちゃんと意味のある形ならいいだろう。


本来は警察のような力は結果的に意味がなくてもある程度の理由があれば来るべきだとは思うが、こちらの世の中では仕方ない。


主人「どうやって呼びますか?」

フェリス「男爵だって新たな料理があれば呼べたのですから、その手はどうですか?」


主人「なるほど。ただ男爵様と騎士の方だとちょっと食べる傾向も違いますね」

フェリス「どんな風にですか?」


主人「男爵様はやはり中年なのであまり脂っこいものは避けられますが、騎士の方だとそう言う者も好みます。やはり肉が少ないとあまりお気に召さないかと」

フェリス「それはまたむずかしいことですね」

主人「ええ……」


騎士の好みに合わせるとやはり肉を用意しないといけないようだ。ただ大型店が圧力をかけて特に肉の仕入れがしにくいのだ。肉を使わずに肉の風味を出すことを考えたい。


フェリス「肉を使わず、肉のようなものを作ることを考えましょう」

主人「え? そんなことできるはずありませんよ」


いちおうもくろみはある。前世で精進料理には肉や魚のもどき料理というのがあった。つまりそれらに似せたものだ。


詳しくはわからないが、豆腐を使っていた者があった。肉も魚もたんぱく質が中心でできているが、豆腐は豆腐で植物性とは言えたんぱく質が元になってできている。だから豆腐のようなものを作ればいいのだ。


ただ問題は豆腐の作り方をなんとなくは覚えているのだが、完全には覚えていない。それににがりが必要なはずだ。


その辺はいろいろやってみればいい。最終的には水を切って水分が少なめに作るから何となく固まるような気がする。


手順としては大豆を煮て、布で越して、容器に入れて、にがりを入れておいておく手順だ。


大豆については実は他の豆でも作れるはずで、前世にも他の豆の豆腐があった。


にがりの方は水回りに石のようになっている水垢にマグネシウムが入っているので、それを使ってみようかと思う。


料理を作るとなるとレオーニ氏にいてもらった方がいい気もする。というわけで一緒にいてもらう。里の飯屋は営業になりそうにないので、そこの客席も使って一緒に考える。


フェリス「ちょっと前に考えていた豆で作る肉のようなものを作ってみようかと」

レオーニ「豆で肉を作るって、君は突拍子もないことを考えるな」


フェリス「前に試していたことがあるんです」


自分で実際にしたことはないが、前世にあったから何となくできる気がする。それに試したことがあると言っておかないと、すらすら手順が出るのが変だ。


レオーニ「ふーん、それでどうするんだい」

フェリス「まず、豆を水で煮ます。それから布で越して液体の方を使います。残った繊維の方はまた別の料理に使います」

リアナ「なんか残った方が肉になりそうね」

レオーニ「そちらはそちらでやってみよう」


確かにおからの方が固体だから肉になりそうな感じがある。ただ豆腐なら濾した液体の方を使う。


レオーニ「うん、素朴な甘みのあってこれはいいな」


豆乳だが確かにクリーム色で素朴な甘みがあっていい。豆が違うからかもしれないが、豆乳の時点で前世の豆腐よりおいしい。前世では安い豆腐ばかり買っていたのでもっと白かったし薄っぺらな味だった。


それから容器に入れて水回りで石のようになっている物を削り取って入れる。にがりの代わりだ。


リアナ「何入れているの? ゴミ?」

フェリス「いや、前にこの豆汁を流したときに、この石の部分だけなんか固まっていたことがあって、使えないかと思っていたんだ」


いちおう理屈はついている。ただちょっと弱い気もする。


リアナ「まあ、フェリスが変なことするのはいつものことだからね」


何とか納得してくれたようだ。レオーニ氏の方は妙な顔で見ている。


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