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自警団に期待できず、次の手を考える

 西部旅行ツアーを企画でレオーニ氏とリアナとその部下といまはグランルスにいる。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


グランルスでツアー向けに契約してた大手の食堂の内容が悪いので発注はやめて、小さい食堂・里の飯屋との契約を結んだら、大手から嫌がらせをされる。


大手の店は仕入れに圧力をかけ、領主との関係をちらつかせ、里の飯屋について悪い噂を流し、それも効果がないとみると、こんどはヤクザ者を店の内外によこしてきた。



 ヤクザ者は客に無形の圧力をかけて嫌がらせをする。自警団にも来てもらったが、団員が来るとヤクザ者は嫌がらせ行為をやめるのだ。まったくやりにくい。


それからもヤクザ者が嫌がらせをするたびに自警団を呼びに行くが、そのたびにヤクザ者は嫌がらせをやめて平静を装う。それで帰って行ってしまうのだ。


ただもう少しお忍びでここに隠れているとか、工夫してほしいような気がする。制服なしで来るだけでも、たぶんヤクザ者の犯罪を見つけられると思うのだが。その辺を里の飯屋の主人と話す。


フェリス「自警団の人たち、もう少しいろいろ工夫してくれるといいですね。お忍びでここに隠れているだけですぐに連中の犯罪は見つかるのに」

主人「うーん、なかなか難しいのかもしれません」


フェリス「制服なしで来るだけでも、もう少し見つかりそうなものなのに」

主人「見つけたくないのかもしれません」


なんか不穏な雰囲気がある。


フェリス「見つけたくないってどういうことですか?」

主人「まあちょっとろくでもない話ですが、見つけると対応しなくてはならなくなります。そうするといろいろ面倒がある。見つからなければ、そうする必要はありません」


前世でもそう言うことは多々あった。目を背けている限り対応しなくてよいのだ。


フェリス「しかしそれではご主人の方は困るじゃないですか?」

主人「ええ、ですから、あまりひどくなったら、何かどこかで手打ちさせるのではないかと」


つまり談合か。そうするとうちの仕事もあのろくでもない大型店に回されるのだろうか。

それはそれで穏便な解決なのかもしれないが、何らの進歩もない。まずい店がまずいまま続くと言うだけだ。


フェリス「それじゃあ、うちはまたあの店に頼まないといけないわけですか」

主人「どうなるかわかりませんが、その可能性は小さくありません」


フェリス「自警団の方に何か伝手はないんですか?」

主人「まったくないわけではありませんが、ただ……」


フェリス「ただ、何です?」

主人「むしろ、あちらの大型店の方が影響力が強いように思います……」


ああ、それはそうか。自警団だって持ち寄りで金や人を出して運営している。大型店の方が金も出しているし、人も出している。


となれば、自警団の幹部は大型店が少しくらい横暴をしても目をつぶっていた方が大過なくやり過ごせるのだ。


法とか正義のためではなくてとにかく力の強い者に都合のいい状態を作る実力でしかない。


フェリス「それじゃ自警団には期待できないと言うことですか?」

主人「私の店をつぶすまではしないでしょうが、大型店を脅かすようなことは許さないでしょうね」


まったくどうしようもない。


フェリス「それじゃ、騎士団の方はどうです? 男爵麾下の騎士団ならそんなものに左右されないのでは」

主人「まったく左右されないと言うわけではないでしょうが、確かにずっとまともです。とはいっても……」


何か言いにくいことが多いようだ。だいたいこういう淀んだ社会は口にしにくいことが多くなる。


フェリス「今度はどんな問題があるんですか?」

主人「彼らもできれば面倒ごとは避けたいようです。それに市井のこととなると本当に事件が起こらないと介入してきません」


確かにそれはそんな気もする。騎士なんて称する人たちが細かく面倒ごとを聞くのもちょっと想像がつかない。


とは言え、この店は男爵がふらっと来ることだってある店だ。そう言う店にヤクザ者がとぐろを巻いているのを放置していいとも思えない。


フェリス「騎士団の方はこの店には来られますか?」

主人「ええ、来られる方もいますよ」


その辺が攻略の手口かもしれない。


フェリス「うーん」

主人「何かありますか?」


フェリス「何とかして騎士が来ているときにヤクザ者に暴れさせるのがいいでしょうね」

主人「そうは言っても、あの調子ですから騎士が来ていたらまたおとなしくしてやり過ごすでしょう」


フェリス「そこは考えようです。上手いことを隠してぶつけてしまえばいいのです」

主人「そんな風に上手く行くでしょうか?」


上手く行かないなら上手く行くように手を尽くすから、物事は進んでいく。この店の主人はいろいろ努力はしているけれど、この狭い町の現実に押しつぶされている。


別に大きい町に行って大成功しろとは言わないが、実力通りこの町でいちばんくらいになった方が、彼にとってもうちだけでなくこの町の客にとっても幸せだ。


何とか騎士団介入の線で考えてみることにする。

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