悪い噂への対策
西部旅行ツアーを企画でレオーニ氏とリアナとその部下といまはグランルスにいる。
(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)
グランルスでツアー向けに契約してた大手の食堂の内容が悪いので発注はやめて、小さい食堂・里の飯屋との契約を結んだら、大手から嫌がらせをされる。
仕入れに圧力をかけられ、領主との関係をちらつかせ、こんどは里の飯屋について根も葉もない悪い噂を流してきた。
里の飯屋で主人と善後策を話す。
フェリス「何かご主人について変な噂が流されているらしいです」
主人「どんな噂ですか?」
フェリス「まったくいい加減な話ですが、ここで食中毒を出したとか、ご主人がよそで何か問題を起こしていられなくなって流れてきたなどという話です」
主人「そんな。食中毒など出した覚えはありませんし、私はもともとこの町の出身です」
フェリス「ええ、御主人の活躍が気に入らない人が流しているのでしょう」
主人「まったく。お客さんにいいものを提供することだけ考えればいいのに」
まったくもってその通りだ。完全に努力の方向があさってになっている。
フェリス「ともかく旅行客の方はこちらできちんと説明します。地元の方は大丈夫ですか」
主人「ええ、そりゃ誰だって私がこの町育ちということは知っていますし、食中毒だって起こればすぐに噂になります。そんなことがないことはみな知っていますよ」
フェリス「それならけっこうです。うちは旅行客には噂は嘘ではっきりこちらの店の方が内容がいいからこちらの店にしたと説明します。ですからはっきり違うものを出してください」
そう言うと主人は少し不安げだ。
主人「そんなものが出せるでしょうか? 材料の仕入れにも不安がありますし」
フェリス「いえいえ、はじめからご主人の料理は他とは少し違いましたよ。何か品があった。それにこの前の野菜主体の料理はよそではとてもお目にかかれないものでしたよ」
そう言うと何か決意したような表情を浮かべる。
主人「わかりました。何とかやってみます。レオーニ氏にもいろいろ教えてもらいましたしね」
フェリス「ええ、お願いします」
それで店の方はとりあえず、対策はできた。
あとは旅行客の方だ。現地の係員には根も葉もない噂を流す者がいることと、噂が全く嘘であることと、うちはよい業者に頼んでいることを旅行客に説明するように指示する。
フェリス「今後くるお客さんには、全く嘘の噂をわざと流す人がいることや、うちが頼んでいる業者はいい仕事をしている業者であることをあらかじめ説明しておいてくれ」
現地職員「旅行にきてそんなことを聞かされたら心配になりませんか?」
フェリス「そうなんだけど、突然噂を聞かされたらもっと不安になるよ。たぶんわざと噂を流しているのがいるから、それが止まるまでは仕方ない」
現地職員「わかりました」
こういうのは先に説明しておいた方が、怪しい噂を聞かされた時に信じなくなるし、それを人に広めなくなる。ワクチンのようなものだ。
それからクルーズンにギフトで戻り、旅行事業の担当役員のアランに経緯を伝える。
フェリス「グランルスで飲食店を大型店から小さい店に変えたら、小さい店の悪い噂が旅行客の耳に入るようになったんだ」
アラン「え、そんなことが? そりゃまずいですね」
フェリス「とりあえず、現地職員には旅行客への説明を指示しておいたけど、背景も調べてくれ」
アラン「わかりました。調査に入ります」
フェリス「必要なら人も雇っていいから」
アラン「はい」
アランはこちらに来たいと言うのでギフトでそのまま連れてくる。たまたま俺も巻き込まれてしまったが、担当者の頭ごなしに仕事をするのはいろいろうまくない。
いつまでもこっちにいられるわけでもないし、アランに引き継いだほうがよさそうだ。
正直言うとこの町の滞在は長引きすぎている。あまりここに長居もできないし、この後の様子を見ることもできないと思っていた。ところが噂を流した方はもっと短気だったようだ。
すぐに効果が出て泣きついてくると思っていたらしい。わざわざ接触してきた。
大型店主人「おやおや、何かトラブルが起きているようで」
フェリス「いえ、特に問題もございませんが?」
大型店主人「は? 里の飯屋でトラブルが起きているともっぱらの噂じゃないか?」
フェリス「いえ、私はトラブルについては存じ上げておりません」
大型店主人「まったくそんな調子だからダメな店を選ぶんだ。食中毒出したとか、流れ者だとかいろいろうわさがあるじゃないか?」
フェリス「はあ、それらはいずれも間違いとわかりましたので、トラブルのうちには入りません」
大型店主人「なんだと!」
もうほとんど白状しているも同然だ。だいたいなんでそんなことこいつに言われないといけないんだ。絶対にしっぽをつかんでやる。




