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105. グランルスへ向かう

 西部旅行のメニューを考えるのに、レオーニ氏とリアナとその部下とで西に来ている。シャンプで農場巡りをしたが、うちの施設の厨房が狭くレオーニ氏はあまりお気に召さない。


もともと内輪のためだけの厨房なので仕方ない。夜に今後のことを相談した。


フェリス「厨房がお気に召さないようであればグランルスに行きますか? あちらならもう少し大きい厨房もあります」

レオーニ「うーん、まだこの辺で見ておきたいところもあるんだよな」

レオーニ氏は近くの集落なども見て回りたいと言う。



(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


フェリス「では厨房はいまのままでいいですか?」

レオーニ「明日僕らは集落を回るから、君はどこか使えそうな厨房を探してくれないか」


あいかわらずの無茶ぶりだ。しかし今は彼に頼るほかない。仕方なく、いまは使っていないと言う家を1軒1月だけ借りることにした。さいわい厨房はうちの施設のものよりは大きい。


家が見つかると、もう面倒なので彼らが帰ってくる夕方まではクルーズンの家にギフトで戻りクロをモフモフしていた。


この前、忙しくてクロが近づいてきたのに後でねと言って立ち去ったのを根に持ったのか近づいて来ない。仕方なく無理やり抱き上げると、おとなしく抱かれていた。



 夕方にシャンプに戻り、レオーニさんたちと合流する。


フェリス「どうですか収穫は?」

レオーニ「なかなか面白いものが見れたよ」


彼は面白いものが見れたらしいが、リアナたちはかなり疲弊しているようだ。


後で聞いてみると3つ集落を回ったという。それだけでもかなりの山登りだ。それで集落の長のところに行って名物を食べさせてほしいと交渉したそうだ。


レオーニ氏はそう言うところは上手くておだてて嗜好品などを渡して作ってもらったとか。若い頃からしていたんじゃないだろうか。


ただ中には作業を手伝ってくれという家もあって、労働もさせられたらしい。お疲れさまだ。



 ともかく借りた家に案内して厨房を見せる。

レオーニ「やっぱりこういう時に君がいてくれた方がいろいろ融通が利いていいね」

あまり便利に使われても困るのだが、彼の料理が一つの肝になっているので仕方ない。


けっきょくシャンプには3日滞在してその間、また試作品試食の連続だった。そして3日で次に行こうということになる。一行のかじ取りはレオーニ氏だ。何か新航路発見の旅の趣がある。遭難しなければいいけれど。


家を1か月借りたが3日であとにすることになってしまったことをぼやいていると、レオーニ氏はまた戻ってくるつもりだと言う。それならいい。


ただこの後グランルスとその南のモンブレビルに行くだろうから、いったい何日かかるのやらと思う。


俺は1週間か、それにちょっと延長したくらいで帰るつもりだけど、リアナと部下は1か月コースになりそうな気もする。



 そこで次にグランルスに行くことにした。あちらは少し大きい家を社屋として買い取ったので厨房もそんなに狭くなかったように思う。たぶんそうだ。そう信じたい。


途中でうちの食堂にもよる。店主だと言うが、顔を合わせたことのない店員で信じてくれない。子どもの顔だから仕方ないか。



 グランルスには半日程度で到着する。こちらは街も大きいし、道が分岐する町なのでうちの施設も少し大きい。厨房もそれに合わせて少し大きかった。


はやく食堂に行きたかったが、レオーニ氏がその前に厨房を見たいと言うのでそちらに先に行く。


フェリス「今日からはこちらを使っていただくと言うことでよろしいですか」

レオーニ「ここならいちおう4人入るね」


俺もしっかり作業を手伝う組に入っているらしい。リアナと部下はわかるのだけれど。ただもうあと3日ほどで帰る予定だ。


経営者だしそんなずっとこちらにいても困る。考えたらレオーニ氏だってレストランの主人で店の人は困っているだろうと思う。


素直に帰してくれるかどうかわからないけれど、いちおう3日くらいは延長しても大丈夫にしている。


ただそれを先に見せると、さらにそこから延長を求められそうだ。まるで駄々っ子相手の駆け引きだが、大人の交渉も似たようなところがある。


駄々っ子と変わらないような大人が世の中にはたくさんいるのだろう。



 それからうちの協力店の食堂に行ってニョッキというのかすいとんというのかそのような団子状のモノを食べる。


スープの味は少し出ているが、塩が主体の素朴な味だった。みな黙々と食べる。なんとなくみなそれほど満足していない様子が伝わってくる。


レオーニ氏が何か店の人に言いださないかとひやひやしていたが、それはなしに済んだ。

フェリス「さっきのあれ、どうでした?」

レオーニ「いまふたつだったね」

部下「私でももう少し何かできそうな感じでした」

リアナ「師匠が店の人に何か言わないかとひやひやしていました」

レオーニ「さすがにそう言うのは止めることにしたよ」


少し安心したが、おそらく昔はしていたのだろう。とりあえずよかった。またあちらの店主とは顔合わせの機会を持つようにしよう。


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